2010年02月27日

[まるや](新橋)

行列のできるとんかつや


ビーフン東に行った日の11時45分、食後にビルの中の飲食店を見て回った。なんと、行列が出来ている店がある。店名を見て納得した。これが「まるや」か。新橋で一番人気のとんかつ屋である。以前リストアップして、そのままになっていた店だった。

後日、10時56分に到着するとドアの前に1人待っていた。さすがに開店前から並ぶ人は少ない。開店時間ぴったりにドアが開いた。先客はカウンターの角に、銀髪は揚げ場の料理人の正面に座った。続けて入って来た2人を含めて全員がロースカツを注文した。5人目の男性がヒレカツ定食を頼んだが、銀髪が食べ終わるまでの間、殆どの客がロースカツを注文した。

目の前の調理人がカツを頭より高く上げて振り下ろした。まるでラーメン屋の湯切りのようだ。切った油が飛んでくるのではないかと一瞬身構えた。もちろんそんな心配はいらない。

テーブルには塩、辛子、醤油とトンカツソースの壷。何もつけずに食べると肉が香ばしい。次に塩をつけて一切れ。次いで醤油、さらにトンカツソースと味を変えていった。トンカツソースも悪くない。先客がごはんと味噌汁をお代わりした。無料なので大半の客がお代わりする。銀髪は味噌汁だけ2杯目を求めた。

食べ終わった皿に油は殆どついていない。油をしっかり切った証だ。キャベツからの水も出ていない。700円はとても価値あるものに思えた。

注文を受けると店員が声を合わせる。感謝の声はうるさ過ぎず、心地よい。内装と共に清潔な印象を与える4人の料理人と女性1人。なかなかいい店だ。昼のメニューは限られるが、夜にはもう少しバラエティーがあり酒の肴にもなる。

銀髪が一番で店を出た。11時半頃にはまだ行列はできていない。贔屓にしたい店である。家に戻り、このブログを書くために住所を調べたら、リストアップしていたのは烏森口店だと気付いた。相変わらずボケの銀髪である。


とんかつ まるや
東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館 1F

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2010年02月23日

[とりで寿司]④(新橋)

やっぱり楽しいとりで寿司


一昨年の12月に1回目2回目、昨年3月に3回目と短期間に訪問した。そのときの写真や寸評は銀髪グルメ紀行食べログ編でも見ることが出来る。それから何度か行こうとしたが予約が取れなかった。

複数のグルメ雑誌に紹介されたためか、先日は5時の予約も受けてもらえなかった。今回は約1週間前に電話した。週の前半だったこともあり、何とかもぐりこむ事が出来た。扉を開き店主の遠藤さんと目が合うと、お互い笑顔になる。「久し振り」の言葉がぶつかった。

雑誌の写真は店内を改装したようにきれいだが、特に変わったところはない。いつものように自家製の干物をお通し代わり選ぶところから始まる。「有名になったからって値上げしたんじゃないだろうね」と意地悪言ってもすぐに否定された。「ここまで支えてくれたお客様を裏切れない」とは明るく元気な遠藤さんには似合わない殊勝さだ。

いつものように次から次に酒の肴が置かれる。「オウッ!これは美味いね」とり貝が素晴らしくいい。さよりの皮の串焼き、アスパラの炭火焼き、手渡されてすぐ口に運ぶのもとりで寿司流である。

「アレッ?こっちにはホタルイカ来てないよ」と文句を言うと、「アッ!すいません。じゃあ、一個おまけ!」と余計にくれる。カウンターの6人に、同時に同じ物が出されるので多品種を味わえる。これもとりで寿司流。



芽キャベツ、アスパラ、トマト、ごぼうなどなど、野菜でアクセントをつけるのもとりで寿司流。「魚ばっかりじゃ飽きるでしょ」といつもの台詞。明るく元気なことを感心すると「楽しくなけりゃ、寿司屋なんかやってられないよ」と仰る。


前3回は身がくずれそうなウニだけだったが今回は全て手渡し。カメラマンの銀髪には気を使って皿に置いてくれた。銀髪がとりで寿司名物のゆで蛸を撮ると、客全員の携帯電話の内臓カメラにも記録された。蛸は恥ずかしくて真っ赤になった、かな?

とりで寿司は一昨年のベストレストラン of 銀髪グルメ紀行。マスコミにおだてられて変わってしまっていないか心配したが杞憂だった。めでたし、めでたし。

とりで寿司
東京都港区新橋4-10-6
03-5401-1441

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2010年02月15日

[ビーフン東](新橋)

ちまきは美味い、ビーフンは楽しい


「新橋のビーフン東に行ったことあるか?知ってる?」友人の電話は銀髪がこれまでカバーしていないのを責めるような響きがあった。グルメ雑誌で見たことがあるような気がする。一目置く優秀な友人である。見栄を張るより正直な答を選択した。「いや、知らない」

“昼メニューのビーフンは4-5種類が大・中・小とあります。それぞれ「焼き」か「汁」をえらびます。「バーツァン1個と、ビーフン(かに玉・汁・小)」がぼくの定番です。”電話を切ってすぐにメールで教えてくれた。行かねば!

11時35分、既に半分近くの席が埋っている。「奥から詰めてください」と促されてカウンターに座った。友人の定番は先に座っていた客に言われてしまった。すぐにやってきた中華ちまき・バーツァンの大きさに圧倒された。「巨大な」と表現した友人のメールを思い出した。バーツァンを割って、写真を撮っている間にかに玉乗せ汁ビーフンも到着した。

豚バラ肉2片、うずらの卵1個、ピーナツが入ったバーツァンが人気なのはよく理解できた。かに玉ビーフン(小)より高い600円を誰も躊躇しないだろう。右隣に座った女性二人はバーツァンを半分に切って出すように頼んだ。友人が言う、「バーツァン半切り」のようだ。みんな心得たものだ。入店して食べ終わるまで10分。焼きビーフンに後ろ髪を引かれた。

数日後、再訪した。五目焼きビーフンの大、850円を頼んだ。「にんにく醤油をかけて食べてください」何万回も言ったであろう台詞を置いて店のおばさんが去っていく。「大した量ではない」と口コミサイトに書かれたコメントを鵜呑みにしたことを後悔した。50歳を超えた銀髪には荷が重そうだ。

パサつくビーフン、この量を食べ尽くす自信がないと思ったところにスープが出された。その瞬間、閃いた。「つけ麺にしよう!」焼きビーフンを一口、二口食べて、続いてつけ麺風にする。これを繰り返すうちに苦もなく食べ終えた。汁ビーフンのように麺がのびることもないし、何より焼きビーフンと汁ビーフンの両方を一度に味わえる。気分も含めて満腹になり、一人悦に入った。

「昼と夜はメニューが変わります」再び友人のメールを思い出した。「ヌキ」を食べに行かなければならない。楽しみだなー

ビーフン東
東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館 2F
03-3571-6078

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2009年12月29日

[鮎正]④(新橋)

落ち着ける冬の鮎正


「カウンターがいいんだけどなー」と渋る銀髪に「近くなんだから、来たら?」と気軽に誘う。まるで電話の向こうから新橋駅にいる我々が見えるようだ。「そこまで言われたら仕方ない。行くよ」と答えた。場所が変わり新築した鮎正に行くのは初めてだ。

店は明るくなり、右側にあった小上がりがテーブル席になっているが、何となく懐かしくなるから不思議だ。カウンターの配置やキッチンの什器が一緒ということもあるが、主人、そのお姉さんを始め、スタッフの笑顔が変わらないのが一番の要因のようだ。

これまで来た3回はいつも鮎だった。メニューを一瞥しただけで「何を食べたらいいんですか?」とカウンターの向こうの主人に聞いた。「お任せ4品でどうですか?」と言う。断る理由はない。

先付けに続いてお造り(めじまぐろ、かわはぎ、ほうぼう、すみいか)4点盛り。日本酒はもちろん島根の純米酒。お代わりを頼もうとすると、主人がメニューに載ってない安いものを奨めてくれた。「酒で儲けようとは思っていませんから」とベテランの女性がフォローする。

全国的に名高い島根県浜田のカレイの一夜干。冬の鮎正名物の一つである。まとめ買いをして大きいものだけを仕入れ、店で干しなおしてから客に出すそうだ。浜田ではアジ、ノドグロ、カレイなどの最高のものに「どんちっち」というブランド名を冠す。主人がカウンターから出て来て魚談義が始まった。

湯葉巻き揚げ、椀物など、料理の説明を受ける。相変わらず凝っていて妥協を許さない。「弟も昔は痩せていて可愛かったのよ」と今度はお姉さんが我々の相手をしてくれる。鮎のシーズンは満員の客で大忙しだが、冬の鮎正は時間がゆっくり流れるようで楽しい。

もっと色んなものを食べたいが、先付けと4品でかなり腹は膨らんだ。迷いに迷った末に酒のつまみに適当な赤なまこと鯖のへしこを頼んだ。へしこは最初は生のままで、次に少し炙ってもらった。ノルウェー産の鯖を使ったへしこが一般的になってしまったが、鮎正のものは特注で長崎産の鯖で作ってもらっているそうだ。

カウンターには常連さんが二人と一人でのんびり飲んでいる。我々が終っても予約客は登場しない。鮎の時期とそれ以外とでは鮎正の雰囲気はまったく違う。それでも主人の料理に対するこだわり、スタッフの心のこもった接客は変わらない。居心地満点の冬の鮎正だった。

鮎正
東京都港区新橋4-21-14
03-3431-7448

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2009年12月09日

[立ち飲み 竜馬](新橋)

食い物は安い!


不況の影響か、立ち飲み屋がやたらに増えた。その中でも評判が高いのが竜馬で、以前から行く機会を窺っていた。そんなとき、「いい店見つけたんで今度連れて行ってやるよ」と長兄が嬉しそうに誘ってくれたのがなんと竜馬だった。異論はない。

兄が「もう一人連れて来る」と言うので期待して待ち合わせ場所に行くと、銀髪と同年輩の男が兄の横に立っていた。「なーんだ、美女だと思っていたのに」と初対面の人に先制パンチを放つ。続けて数発ジャブを繰り出すと、竜馬に到着する頃には気兼ねがなくなった。

カウンターの上の籠に兄が2千円を放り込む。1枚は銀髪のためかと思ったら、兄の同僚のTさんも2枚入れた。銀髪も観念して2枚出した。注文すると店員が籠から代金分を抜いていくシステム。この店のウリは壁に並んだたくさんの焼酎。最初の人が高級焼酎を頼むと、次も同程度のものを頼む。銀髪も負けじと続く。割り勘のシステムを利用する竜馬の戦略にまんまとはまる。

焼酎に比べると料理の安さは際立つ。鮪脳天の刺身など珍しいものもある。焼きそば(200円)は学園祭の屋台より安い気がする。嬉しくなってたくさん頼もうとする銀髪を横目に、兄とTさんは焼酎に集中している。

日本料理には日本酒が一番と思っているので、実のところ焼酎はあまり好きではない。もっとも竜馬の肴には焼酎が合っているように思える。割り勘競争からは離脱して、竜馬ならではの焼酎を探した。「ぼくじょうの夢を下さい」と店員に告げると「まきばです」と訂正された。この牧場の夢が滅法気に入った。吟醸酒のような香りと口当たりに驚いた。

3杯目を飲むために籠の中に千円ずつ拠出した。「まきばの友をください」と言うと「みんなが夢だよ、夢!」とからかう。店員も苦笑しているが気にしない。ちゃんと通じているから問題ない。最後に「イヤー、まきばのゆめは美味いね」と言って安心させてやった。

最初は入り口に近い場所に居たが、奥へ奥へと3回引越しをした。ほぼ満席になったところで兄が店を替えると言う。今度はご馳走してもらえる雰囲気なので自己主張は封じ込めた。

翌日兄からのメールで牧場の夢は牛乳焼酎だと知った。ホームページで見ると、「球磨焼酎伝統の米と当社独自のアルカリ温泉水、そして新鮮な生の牛乳を同時に発酵させて造り上げた焼酎。フルーティでほのかに甘いミルクの香り、軽快な飲み口が特徴。」とある。

竜馬では、牛乳焼酎に出会えたのが収穫だった。


立ち飲み 竜馬
東京都港区新橋2-13-3 ALC.BID 1F
03-3591-1757

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2009年12月01日

[白梅](新橋)

どて焼き?みそ鍋?


広島かき料理の白梅に興味を持ってから2年半。かき料理は10月~3月までと限られるので、思い出したときにはシーズンオフの繰り返しで時間が経ってしまった。新橋の路地裏らしい店は思ったより小さい。主人と会話できないのが残念だが、カウンターも寛げる広さではないので2階の座敷を選んだ。2階に上がると更に年季を感じる建物だ。

予約をすれば自動的に刺身をオーダーすることになる。カワハギの煮こごりでビールを飲んでいると瀬戸内の魚の盛合せがやってきた。牡蠣以外の瀬戸内の幸も味わってもらおうという配慮なのかもしれない。日本酒も広島の千福。

鍋は一人前でもいいと言われたが、出来上がったものを持って来てもらうのはつまらないので2人前を頼んだ。女将は綺麗に盛られた鍋の上のキノコ類を別皿に移して火をつけた。超弱火にして「私がやりますので絶対に触らないように」と釘を刺す。酢牡蠣を食べながらひたすら待つ。

10分して戻ってきた女将は鍋をかき混ぜ、キノコを乗せた。まだまだ道は遠い。鍋奉行がいたら半狂乱になるかもしれない。
牡蠣の塩焼きを食べながら待つ。白梅では殻ごとではなく、剥いた牡蠣を焼く。焦げ目がついて香ばしいからという説明に納得。

女将が戻って来て中火にした。まだ食べさせてはもらえない。キノコに火が通ったところで火を最大にした。グツグツと言い出したところでやっとお許しが出た。ここまで20分以上経過している。牡蠣が煮えすぎて縮んでしまわないか心配だったが、思ったよりプックラしている。「私の主人のお腹のようです。帰りに見てやってください」と女将が笑わせる。

一人前にしなくて良かった。20分待っても来なければ、忘れられたと怒ったことだろう。二人前にした恩恵は女将と話ができたこと。テキパキと働く姿に感心したら、白梅は女将の実家。調理場を預かる3代目はこの店の調理人だったというから上手く店が承継されたことになる。

最後は広島菜とジャコ、雑炊を頼んだ。通常、どて鍋とは鍋肌に味噌を塗って土手を作り、崩しながら食べるものだが白梅のものはみそ鍋と言った方がいいかもしれない。東京の人が食べやすいように工夫した白梅風である。

勘定をして階段を降りると、後ろで立ち止まったS氏が「あー、よく見える」と言う。何事かと思って振り返ると目の先に3代目の腹があった。「成る程、ここの牡蠣のようにふっくらしているね」と言うと、女将も一緒になって笑った。

店を出ると女将が頭を下げた。数歩進んで振り返るとまた下げる。角を曲がる間際に振り向くと女将はさらに頭を深く下げ、背中は地面と平行になった。寒くなれば牡蠣はさらに膨らむ。しばらくしてもう一度三代目の腹と比較しに来ようかな。

白梅
東京都港区新橋3-9-7 黒滝ビル
03-3459-8839

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2009年11月13日

[潮夢来]③(新橋)

上海蟹尽くし


「今日は中華です」と言うと意外そうな顔をされた。「上海蟹ですよ」と続けると「上海蟹を美味しいと思ったことないです」と来た。もう予約してあるので引き下がれない。どうしても嫌ならフカヒレだって北京ダックだってある。

店について「期間限定上海蟹メニュー」を手にしたら、初志貫徹上海蟹尽くしにすると決めた。嫌いなら好きにさせてやる。前菜三種盛りから無難なスタート。次は紹興酒漬けである。一口食べてKさんが驚いた顔をする。漬け汁まで飲み干すのを見たら愉快になった。

今年は上海蟹をあまり見かけない。不漁なのか不景気なのか、例年ほど日本に入ってないようだ。しかし、中国飯店グループなら必ずある。しかも系列店の中で潮夢来が一番リーズナブルに食べられる。「紹興酒は美味しくない」と言うKさんのために30年物を頼んだ。これを飲んだら紹興酒に対する偏見も変わるはずだ。

雌雄を1杯ずつ頼み、分けることにした。「イヤー、私も17年前に上海で初めて食べた時には美味しいと思わなかったんですよね。それが、10年ぐらい前に飯田橋で…」あー、駄目だ。美味しいものにありついたとき、Kさんの耳は塞がれる。「聞いてますか?」と言うと、ニコッとしただけで再び顔を下げる。中国飯店グループの店は身を取り出してくれるから楽だけど、料理に夢中で聞く耳をもたない。

上海蟹の小龍包を慎重に口に運ぶ。火傷するかどうかの賭けに出る。皮が少し破れて口中にスープが広がっていく。ちょうどいい温度になったところでモグモグする。あー幸せ。
「白菜炒めはどう?」と上海娘に聞けば「メニューにないけど、豆苗と蟹みその炒め物もできますよ」と言う。じゃあ、それにしよう。美人には素直に従う銀髪だった。

最後は上海蟹の炒飯。いろんな素材や調味料の味がどのように混ざり合っているのか分からないけれど、確かに美味い。
「どうしてもと言うならデザート食べてもいいですけど」と言うので止めようかと思ったところで、「サービスです」と笑顔の上海娘がマンゴープリンをテーブルに置いた。Kさんによると今まで食べた中で最高のマンゴープリンだそうだ。

「上海蟹は寒くなると、もっと美味しくなりますよ」と言うと、「これ以上になるんですか?」と眼を丸くする。好きじゃないといいながら、全ての料理がきれいになくなった。
あれっ? もしかしたら、これってまんじゅうこわいだったのかなー

潮夢来
東京都港区東新橋1-6-1 日本テレビタワー1F
03-5568-1818
http://www.chuugokuhanten.com/storechaomenglai/index.html

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2009年11月05日

[玲玲リンリン](新橋)

おいしい手作り餃子


「餃子を食べに行こう」と言うとSさんは意外な顔をする。最後の晩餐は餃子にビールと何度も書いているのに、銀髪はいつも高級店に行っているイメージが強いようだ。しかし切り替えが早い。「いいですねー」と笑顔を見せる。いい人だ。

急な階段を上ると中国人女性たちが談笑していた。その内の一人が近づいてきて「予約は?」と聞く。「ない」と答えると、中年女性2人と相席になった。店の8割のテーブルはまだ空いている。予約で一杯なのだろう。かなりの人気店に違いない。

お通し、薬味

玲玲の餃子にニンニクは入っていない。好きな人は刻んだ薬味のニンニクをつけて食べる。ニンニクを嫌いな人やこれから仕事の接客業の人たちには喜ばれるはずだ。我々はもちろんたっぷりつけて食べることにした。餃子自体に味がついているのでニンニクとラー油だけで食べた。

水餃子、焼餃子

中身の種類は白菜、セロリ、キャベツ、しいたけ、トマト、なす、しそ、にら、海老、フカヒレ、ホタテなど。具を選んだら焼餃子、水餃子、蒸餃子のどれにするか決める。Sさんに「どれにする?」と聞いても答えは返って来ない。銀髪もメニューを見詰めたまま固まってしまった。中国娘の助けを借りて水餃子は定番のキャベツ、焼餃子はニラ、蒸餃子はトマトにした。

蒸餃子、春巻き

自家製の皮はモチモチして美味い。しかし、厚いので思ったよりお腹が膨らむ。他の具を試そうと思っていたが、目先を替えることにした。餃子以外の料理を食べる相席のおばさま達にも刺激された。

小龍包、青梗菜炒め

小龍包には失望した。丸ごと口に放り込み、熱々のスープで火傷寸前になるのが大好きなのだが、大き過ぎてそれが出来ない。水餃子でも充分ジューシーなので、そちらで火傷すればよかった。

店は徐々に一杯になってきた。中国娘たちの応対を見ていると、電話で席を確保して来た人は僅かなようだ。予約をしていないにもかかわらず、最後の4人掛けテーブルは若いカップルが獲得した。神様は恋人たちに甘い。

家に帰ってパートナー殿に怒られた。ニンニクを使いすぎたようだ。哀れなことに彼女は翌日も同じ被害に遭う事を、そのときはまだ知らなかった。ゴメンネ


玲玲リンリン
東京都港区新橋3-19-2 2F
03-3432-9073

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2009年10月31日

[夢飯](西新橋)

これってチキンライス?


以前読んだ雑誌に行列が出来る店と書かれていた記憶が強く残っていた。大慌てで会社を飛び出し、西新橋のビルの階段を降りたのが11時5分。準備中の札がかかった店が多い。忙しそうにしている弁当屋を通り過ぎて振り返った。これが目指す店だった。8席のみのカウンターの上に弁当が並び、座る場所がない。

L字型のカウンターの端っこに座らせてもらった。「いいよ、ゆっくりで。急がないから」と声をかけた。弁当箱に料理を詰め終わるまで気長に待つことにした。
「ケチャップ味のチキンライスとは別物なんですよ」メニューを見せながら還暦を迎えたばかりの先輩に説明した。

中国の海南島の出身者がシンガポールで広めたものが海南チキンライス。シンガポールには何度か行ったが現地で食べたことはない。「トッピングは何にしますか?」店員がようやく我々の方を向いた。「一番人気はザーサイ入り玉子焼きです」と言われれば頷くしかない。

まずライスを食べた。鶏のスープで炊いてあるのでそのままでも充分味がある。その後の食べ方はメニューに従った。まず3種類それぞれのソースにチキンをつけて食べる。次にすべてのソースをライスにかけ、混ぜ合わせて食べた。

先輩は見るからに恐る恐る食べている。メニューの教えもまったく興味がないようだ。案の定、香菜は最初から皿の端に遠ざけられた。茹でた鶏の皮目を嫌うかと思ったけれど、それは大丈夫だった。「変わった食べ物があるもんだなー」食べ終わった後に呟くのを楽しく聞いた。

銀髪は美味しく完食した。My唐辛子を持ってこなかったことを後悔したけれど。後から入って来た男性二人はフライドチキンライスを食べていた。海南チキンライスといっても従業員は日本人。「よく間違えられるんですよー」と言うが、話をすればすぐわかる。西荻窪の本店でも日本人が切り盛りしているようだ。

日本人が美味しいと思うチキンライスの秘密は、日本人の経営ということかもしれない。

夢飯Mu-Hung
東京都港区西新橋2-15-12 イースタンビルB1F
03-3591-6558
http://www.mu-hung.net

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2009年10月20日

[宮崎食彩 王手門](新橋)

焼酎好きなら知らなきゃもぐり?


「今度3人で飲もうぜ!」お彼岸の墓参りの後に約束したのに時間が経つのは速い。長兄にメールをすると「今週はダメ」、次兄にメールすると「来週はダメ」。調整しているといつになるか分からないので、勝手に決めた。今週は次兄と二人で飲もう。

待ち合わせ場所はいつも機関車が見えるニュー新橋ビルの1階入り口。台風が来ようが猛暑だろうが快適だしわかりやすい。「遅れる」とメールをしてきたけれど、銀髪家の連中は時間に正確だ。特に店を決めていないがサラリーマンのオアシスである新橋で心配することはない。

お通し

新橋は郷土料理の店が多い。その中から宮崎料理の王手門を選んだ。有名な焼酎メーカー王手門の直営店らしい。ちゃんとしたお通しが出るのはいい店の証拠。しかし宮崎牛など食べたい料理は高いものが多い。

刺身、猪

素材は宮崎から直送されるそうだ。もちろん魚介類も。頼んだ鮪はキハダ、お奨めの炙りしめ鯖と盛り合わせてもらった。変り種は猪料理。炭火焼はやはり高いのでもつ煮でお茶を濁した。

地鶏の炭火焼

1軒目は兄に奢ってもらうつもりなので、なるだけ安い料理を選ぼうとした。しかし宮崎料理屋に来て看板の地鶏の炭火焼きは避けて通れない。これもちょっと高めに感じたが、いい地鶏を使っているのだろう。飲むのはもちろん自慢の焼酎。兄はロックで3杯、銀髪は氷なしの水割りで3杯飲んだ。

2次会で歌合戦。次兄は還暦間近だというのに若者の歌を高音で歌う。髭面は歌にそぐわないと思えるが滅法上手だ。しばらくして長兄が合流した。こちらは艶っぽく歌う夜の達人。大昔、この兄たちが成績を落とす度に、柔道、書道、バイオリンなどを習わされて自由を奪われた銀髪。恨み節でも披露したいところだが、今宵は笑い飛ばすことにした。


宮崎食彩 王手門
東京都港区新橋3-9-2 岡崎ビル2F
03-3433-2914


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2009年09月30日

[舞浜](新橋)

魚だけじゃなかった


舞浜と言えば多くの人はディズニーランドを思い浮かべるだろう。グルメ紀行を始める前は銀髪も他のイメージは持ち合わせていなかった。埋め立てや汚染などで千葉県の豊饒の干潟・魚介類の宝庫は縮小していく。今は遊園地で楽しむ人が圧倒的に多く、漁場の縮小を嘆く人は殆どいないだろう。

6時過ぎ、店はまだ空いていた。昔は割烹だったというのが成る程と思わせる店内だが、カウンター席の間隔が狭いのが大衆店に衣替えした証のように見える。調理場の職人たちや料理を運ぶ女性たちも大衆店の雰囲気である。

お通しに大根おろしが出てきたのにちょっと驚いた。海鮮料理の店には珍しいお通しだ。オーダーはもちろん刺身から。少量ずつ盛合せにしてくれるように頼んで、お通しに取り掛かろうとしたら、刺身を待つ間にすぐに出て来るものをどうかと勧められた。大きな谷中しょうがに驚いているところに刺身が出て来た。客が少ないので待つ時間は短かった。

豪快な盛合せは漁師料理のようだ。さすがに舞浜で魚屋をやっているだけのことはある。厚く切って美味いのは新鮮だから。これでリーズナブルなら店が混み合うはずだ。いつの間にかカウンターも一杯になり、予約していない客が入り口でUターンする。

あらためてメニューを見て気がついた。舞浜のウリは新鮮な魚介類と鶏料理。お通しが大根おろしだったわけだ。同行したNさんは鰈を頼んで充分と言う。銀髪が黒豚入りもやし炒めとトマトを頼んだ。焼き鳥も追加したかったが止めにした。勘定して外に出ると、店の前に出したテーブルで飲み食いしている客が居た。予約なしで入れた我々は本当にラッキーだった。

Nさんは約30年前は銀髪より痩せていたのに、今は20余キロを足して90kgを超す。2軒目で合流したKさんと久し振りに再会し、お互いのメタボを非難し合うのを見て銀髪は苦笑するばかり。共に煙草を止めて巨大化した。

美味しい料理を前にしても太る恐怖と折り合いをつけるのは大変だろう。せめていい料理屋に来たときには腹が苦しくなるほど飲み食いしたいものだ。


舞浜
東京都港区新橋3-10-6
03-3432-8540

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2009年08月02日

[ザ・カリ](新橋)

なるほど美味い


食楽2007年3月号に「旅先で出会ったチェンナイ以南の南インドのカリーに心奪われた店主が作るそれは、鮮烈なスパイスの香りと芳醇なコク…」と書かれている。一口食べてなるほどと感心した。

開店の11時半に店に入ると先客が三人居た。小さな店の割には店員が多い。多分12時を過ぎると店で食べる人と、テイクアウトの人で行列が出来るのだろう。まさに嵐の前の静けさに違いない。

オーダーして5分程度で銀髪の前にビーフカレーが差し出された。カレー屋はラーメン屋より料理が出て来るのが早い。行列が出来ても回転は早いはずだ。

雑誌や口コミで絶賛されているのも理解できる。肉質が違うけれど、ドンピエールの1,600円のカレーと比べても遜色がない。付け合わせのポテトがまた美味い。ドンピエールに何度も通う気にはなれないが、890円のザ・カリなら頻繁に来てもいい。

ビーフカレーに卓上のチリパウダーを加えたら強烈に辛くなった。ごはんが少ないという評判だったが、カレーが多いというのが正解だろう。我が家でも似たようなバランスで食べるので苦にならない。ところが、チリパウダーを入れた後はもう少しごはんが欲しくなった。

それにしても日本は面白い国である。海外では日本料理は日本人、イタリア料理はイタリア人など各国の出身者が自国の料理を作るのが普通だが、日本では日本人があらゆる国の料理屋を経営している。ピザのコンテストで日本人が優勝したりするなど、本場でも認められる料理人が少なくない。ザ・カリをインド人はどう評価するのだろうか。本場南インドのカレーに匹敵するのか、日本人好みのカレーに変わっているのか。

席についてから食べ終わるまで10分程度で店を出た。順調に客の入れ替えが進み、店の外に列はない。12時までに来れば待つことはなさそうだ。今度はチキンカレーでも食べに来よう!

ザ・カリ
東京都港区新橋5-31-7  中村ビル1F
03-3437-2526

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2009年07月31日

[ビアライゼ ’98](新橋)

懐かしの名人芸


「くさやはないんですね」店主に対する銀髪の精一杯のアピールである。約17年前に日本一美味しい生ビールを飲ませる店があると聞いて、通ったのが八重洲にあった灘コロンビアである。珍しくくさやを焼いて出していた。いつの頃からか主人の姿が見えなくなり、やがて亡くなったと聞いた。そして店の前で呆然とする日がやって来た。店は閉店していた。

ビアライゼは灘コロンビアの亡き名人の技を引き継いだ松平さんが開いた店だ。銀髪は顔を覚えていたが、彼はもちろん覚えているはずはない。くさやの話を出したのは正解だった。距離はグッと縮まった感じだ。「トイレに行く時に見てください」と師匠と一緒に写る大きな写真を指さした。

新名人のビールをグイッとやる。新といっても数十年のキャリアである。さすがに泡がきめ細かくて口髭になる。お通しのパンと枝豆でグイッ、グイッ。アッ!ビールを撮り忘れていた。この店の主役はビールなのだ。

2杯目は本日の生ビールであるバスペールエール。つまみはハムステーキ。それにしても広い店は大賑わいである。予約の客がどんどん現れ、飛び込みの客はすごすごと退散する。灘コロンビアは長いカウンターのある鰻の寝床のような店だったと記憶している。ビアライゼはビアホールというのが相応しい。

くさやは置いていなくても、もずくなど日本的なつまみもたくさんある。撮り損なった一杯目のビールを写真のために再び飲むことにした。他の店なら「泡が多い」と文句を言いたくなるが、ビアライゼはこれが身上。かち割り氷で冷やすビアサーバーは灘コロンビアから引き継いだ。名人が注いだグラスを口に運び、もう一度口ひげを作って遊ぶ。

2種類の横浜ビールを飲み比べた。生ビールを3杯と小瓶でお腹はパンパンである。ビアガーデンで大ジョッキをがぶ飲みした若い頃とは、比較にならないほど飲めなくなってしまった。この辺で切り上げてショットバーに行くことにした。

途中でお漏らししないように、念のためトイレに行った。壁にかかった大きな新旧名人の写真がホールを見下ろしている。技が引き継がれ、多くの人たちが楽しんでいるのを毎日見て幸せだろう。写真を見ながら想像していると、銀髪もなんとなく幸せな気分になった。


ビアライゼ ’98
東京都港区新橋2-3-4
03-5512-5858

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2009年07月02日

[ホルモン建設工業(株)](新橋)

工事現場で焼肉


昨年11月、関係者を集めたプレオープニングで来たときは、まだ内装が出来上がってないと思った。もちろん、コンセプトは聞いていたが、まさか本当にそのまんま開業するなんて…

鉄パイプで組んだ足場むき出しの店内がウケるのか、店内はほぼ一杯の賑わいである。おやじ御用達のような店なのに、若いサラリーマンやOLが多い。

キムチ、お通し(キャベツ)

料理の注文は常連のS氏に任せる。工事現場の内装にもかかわらず、ちゃんとしたものが食べられる。それがこの店がウケる一番の理由だろう。

ナムル、もつ煮込み

ちょっと変わったもつ煮込み。この店ならではの特徴を出すのに熱心である。意外と美味しいので一人でパクパク食べていたら、S氏の視線に気がついた。慌てて皿を二人の間に置きなおした。

角切りレバ刺し、角切りユッケ

肉を厚めに切るのもこの店の特徴。レバーはともかく、ユッケの角切りはあまり見たことがない。壁のあちこちに貼られた料理の短冊。希少部位がたくさんあって、あれも食べたい、これも食べたいだが、2人ではちょっと辛い。

焼肉盛合せ

店長お任せにした肉の盛り合わせに圧倒される。タンもハラミも厚切りで歯応えがある。あくまで豪快に!という感じである。これも工事現場のコンセプトの一つだろうか。
忙しいのか酒が出て来るのが遅いのが玉にキズ。まあ、そのうち改善されるだろう。雑に見える内装が、こちらの気持ちも大らかにさせる。

店長と名刺交換した。肩書きは代表取締役。ホルモン建設工業株式会社なら店長ではなく社長というのも頷ける。焼鳥屋や焼きとん屋が幅を利かせる新橋界隈。果たしてこの焼肉屋が新橋の新名所になるのかどうか、乞うご期待といったところである。

ホルモン建設工業
東京都港区新橋2-5-6 大村ビルB1
03-3504-0074
http://www.horuken.sakura.ne.jp/horumon/


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2009年06月16日

[鮎正]③(新橋)

美味い!笑っちゃうほど美味い


夏の盛りの雄鮎、秋の子持ちの鮎を昨年食べて、次は何としても出始めの鮎を食べようと思っていた。ところが天然鮎の解禁日を見誤った。島根県高津川の解禁日はいつもより早い5月20日と知り、慌てて電話をしたが7月まで予約は取れない。粘ったら開店早々の5時~7時までならOKとのこと。ホッと胸をなでおろした。

骨せんべい、前菜

ドアを開けるとこちらを見た店員の表情が一瞬和んだような気がする。カウンターの真ん中に座って骨煎餅でビールを飲んでいると主人が現れた。今度ははっきりと顔に笑みが広がる。「オッ!今年も来たな!」という感じだ。

鮎の味噌仕立て、背越し

味噌仕立ても背越しも初めて食べた。鮎が大きくなると身だけの刺身になるが、今の時期は背骨ごと引いている。初夏らしく美しい逸品だ。

塩焼き

頭から食べて思わず「美味い!」と言った。何故か笑いが込み上げる。もう一度食べてまた「美味い!」。ハフハフ、ハッハッハッ!相方のしゃべくりを無視してまた「美味い!」
焼き場を見ると若い料理人が真剣勝負をしている。任せてもらえるまで何年も修行するという。まったく凄いものだ。

うるか茄子、うるか

鮎正自慢のうるか茄子は3度目だが、前2回と微妙に味が異なる。若鮎の内臓はどこか爽やかである。無理を言って来た甲斐があった。いつも同じ料理のように見えて、季節により異なった趣がある。

揚げ物、酢の物

忙しいのでアラカルトはダメと電話で言われたが、コースにして良かった。調理法が変わって素材の特徴を余すことなく味わうことができる。

鮎ご飯、青梅のデザート

鮎ご飯がまたまた美味しい。客ごとに炊き立てが出て来る。2人分で4匹入っていると聞いて驚いた。コース全体で7~8匹食べた計算になる。イヤー、満足満足。

早い時間に来たので今日も主人をほぼ独占。料理の話はもちろん、馬鹿話にも付き合ってもらえてとても楽しい。「カウンターに座って女を口説く奴は馬鹿だよねー」と銀髪も舌好調だった。

店を出て連れが「右隣で口説いていたの分からなかったんですか?」と銀髪に注意をする。「エーッ!そうだったの?気にしない、気にしない」何を言われたって気分は高揚したままだった。

鮎正
東京都港区新橋4-17-5
03-3431-7448

2009年秋、移転しました
鮎正
東京都港区新橋4-21-14
03-3431-7448

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2009年04月08日

[魚金本店](新橋)

一番人気の海鮮居酒屋


「魚金は安くて美味いよ」と以前の会社の同期が言う。「五反田店も良かったわよ」と我が家の神様が同意する。「今度3兄弟で魚金の浜松町店に行こうぜ」と長兄が誘う。これだけ聞けば待ってられない。新橋の本店に電話した。断られて2号店。やっぱりダメで4号店に。結局その日は諦めた。再び本店に電話して3日後の予約を受けてもらった。

約束の時間の5分前に店の前に立っていると、友人のFが料理人姿の男と歩いて来るのが見える。銀髪が手を上げるとようやくこちらに気付いた。一緒に居た若者は安心して4号店に戻って行った。6時ちょうどに二人でカウンターに納まった。

ミンク鯨、あわび

安くて量が多くて美味しいと評判の刺し身6点盛を頼む。あわびの刺し身も安いので追加。「刺し身が出てくるまで、すぐ出来るミンク鯨のステーキはいかがですか」と日本に長期滞在中と思われるアジア人が奨める。これはすんなり同意した。「人気の金目鯛の煮付けは時間がかかるので今頼んでおいた方がいいですよ」と続ける。これは拒否した。刺し身を見てから追加しても遅くない。

刺し身6点盛

みんなから話を聞いていたので、他のテーブルに運ばれる皿と同じものが来ると銀髪は予想できた。Fは度肝を抜かれたみたいだ。この顔が見たかった。
ビールを止めて熱燗を頼む。アジア人が日本酒をアルミの器に注ぎ、熱湯の中に入れるのをニューヨーク帰りのFが嬉しそうに見つめる。

左隣に老夫婦が座った。鷹揚にアジア人の勧めをすべて受けている。助言しようと思ったが営業妨害になるので自制した。時間がかかるはずの金目鯛は刺し身の前にやってきた。値段で想像できる限度を超えた大きさだった。老夫婦は半分食べてギブアップした。すぐに6点盛がやってきた。我々のものより豪華な刺し盛だった。それまで6点盛りにも種類があることを知らなかった。

「俺ばっかり食べてるんじゃないか?」とFが文句を言う。「俺の方が食べてるぞ」と銀髪が反論する。刺し身を食べ尽すのに大量の酒が必要だった。それにしても店員に乗せられなくて良かった。老夫婦は新しい料理の置き場に苦心している。

どんどん姉妹店が増えている魚金。不況の中でますます繁盛しそうだ。

魚金本店 新橋
東京都港区新橋3-18-3 第2富士ビル
03-3431-1785


刺し身6点盛り(平目入り)1980円、くじらステーキ780円、鮑1個380円

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2009年03月25日

[新ばし 久](新橋)

和洋割烹


2年前の「日経おとなのOFF」でお一人様歓迎の名料理店という特集があった。一人で来る機会をうかがいながら時は過ぎ、結局2人で来ることになった。

有名な寿司屋「しみず」の並びだったはずだが見つからない。電話して尋ねると、看板はなく傘つきの裸電球だけが頼りだと分かった。店に入るとまだ6時を回ったばかりなのに席は殆ど埋まっている。我々はカウンターの一番奥、店主の目の前に座った。

ほたるいか、お造り

「雑誌の写真よりいい男ですね」と声をかけると「いつも言われます」と言う。続けて「冗談ですよ」と笑うが、真に受けてしまった。料理はローストビーフまでの5品がお任せで、足りなければ追加する方式。ほたるいかの黄身酢和えから和風割烹らしい料理が続く。

若竹煮、太刀魚

どの料理も丁寧な仕事ぶりで美味しい。太刀魚に添えられた大根おろしを見て「オッ、いいおろし道具を使っているね」と誉めると、連れも気付いて感心する。目の粗い大根おろしは水分が流れ出ずに甘味がある。骨を抜いてあるので魚も食べやすい。

ローストビーフ、ポテトサラダ

ローストビーフはお任せ5品の〆を飾るに相応しく、洋食屋風の料理に移るきっかけにもなる。マヨラーには不満かもしれないポテトサラダが軽やかでいい。

エビフライ、ツブ貝のフライ

雑誌で絶賛していたエビフライ。もちろん頭も揚げてくれる。ツブ貝のフライは珍しい。料理が出てくるたびにうるさい銀髪。「会話を愉しむなら手が空いている時を見計らって」と雑誌に書いてあったにもかかわらず、ずっと付き合ってくれた。

ホワイトアスパラのフライ、鰹節ごはん

旬のホワイトアスパラの後に白いごはんが出てきた。席についてすぐにごはんを炊くかどうか聞かれたので、てっきり混ぜごはんが出てくると思っていた。同時に出されたのが鰹節。カウンターの端に置かれた削り器には気付いていたが、こんな趣向とは思わなかった。ほんの少し醤油をかけて食べる鰹節ごはんの美味いこと。今では滅多に味わえないぜいたくなごはんだ。

食事と酒を愉しむもよし、ノスタルジックに浸るもよし。主人の店や食に対する思いを想像するもよし。楽しさ一杯の店だった。

新ばし 久
東京都港区新橋2-15-13
03-3500-5772

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2009年03月19日

[とりで寿司]③(新橋)

いつも楽しいとりで寿司


いつものように6時に到着、いつもの席に座る。いつも運がいい。いつものように自家製の干物が出されたが、内容は若干異なる。大好きなサヨリの皮と珍しい穴子の内臓の串を選んだ。もちろん、連れが頼んだ分も少し味見した。

初めての客が注目したのは山陰沖に生息する鬼えび。いかつい顔をしている割に鋭利な角や殻は外敵に狙われないための鎧代わり。素材の説明を面白おかしく教えてくれる。
キンメ、ウマヅラ、カワハギなど刺身が少しずつ客に行き渡るのもとりで寿司の特徴。「こちらも同じものを」と言わずとも、客の心理を見透かしている。


目ざとく小さなとうもろこしを見つけた連れのために皮を剥ぎ七輪に乗せる。じゃがいもが出てきて「珍しいねー」と言うと、「刺身ばかりじゃ飽きるでしょ?」と明快だ。料理人だけでなく客が持っている常識や先入観に囚われない。さりげなく気取りがなく客に接する姿が心地よいい。


茹で上がったばかりのタコ、元気良く動く呼ぶ子のイカなど初めての人はみんな大喜び。遠藤さんの手のひらからウニや穴子の寿司を壊れる前に急いで口に放り込む趣向も受ける。素材の吟味や料理の腕は言うまでもないが、楽しい食事を演出するのも見事なもんだ。


女性客に供されるデザートは結婚前にパティシエをしていた奥様の手作りとのこと。3回目にして初めて聞いた微笑ましいエピソードである。なーんだ、愛されているじゃないか、こんちくしょう。

美味しい料理と酒、楽しい会話、いつものように満足して、さて勘定。値段を見て「アレッ?」と目を上げると、「お土産のちらしばら寿司が6,000円ですからね…」と申し訳なさそう。お互い苦笑いを交わした。見た目どおり美味しかったと後日教えてもらった。

海に囲まれ、北から南に長く伸びる日本列島。回遊する魚もあれば磯から離れない魚もある。浅瀬の魚貝や海の底に潜む深海魚・甲殻類。冷凍物や輸入物が幅を利かす昨今、日本の季節の移り変わりを感じることができる寿司屋は意外と少ない。またとりで寿司に来よう。

とりで寿司
東京都港区新橋4-10-6
03-5401-1441

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2009年03月04日

[海鮮徳寿](新橋)

新橋で海鮮バーベキュー


「先輩!いい店を紹介しますよ!」新橋通の後輩から誘いがあった。彼はいつもリーズナブルで美味しい店に連れて行ってくれる。海鮮徳寿は入り口にある生簀や大漁旗など新宿三丁目の丸港水産によく似ている。鮮度のいい魚介類や干物を自ら焼くシステムで洒落た装飾はなく、実質重視の店である。

後輩は慣れたもので、1日限定50食の海鮮籠盛りをまず確保、それから干物を頼んだ。

小アジのみりん干し、うるめいわし、ふぐ、するめいかなど大分産の干物。大分は椎茸の産地としても有名である。

さざえ、鮑、車海老、緋扇貝が2個ずつ入って3500円。毎日大分から空輸するというだけあって、活きがいい。特に鮑は右回転、左回転と踊る様が面白い。ちょっと残酷のような気もするが、この店の最大のショーだろう。

ホタテにしては変わった色だと思ったら、ヒオウギ貝というらしい。焼かれてしみ出たスープをこぼさないように火から下ろすのが大変だ。「オーイ、軍手ー!」後輩が店員を呼ぶ。よく分かっている。

野菜を焼いた後、あじの干物を焼いた。2月に開店したばかりで、まだ焼き物以外の品揃えが出来ていない。これから徐々に品数も増えていくに違いない。

「おにぎり持ってきてー!それとだし汁も」店のことを良く知っている人がいると心強い。少し焼き固められたおにぎりをもう一度目の前で炙り、だし汁に入れる。なかなか悪くない。

「もう一軒行こうか?」とご馳走になったお返しをしようと誘ったら仕事に戻ると言う。店に鎮座している大きな甕からオリジナルブレンド焼酎を数杯飲んだにもかかわらず、シャキッとしている頼もしい奴だ。

まだまだこれからの店だが、鮑の踊り食いだけでも来る価値のある店だった。


海鮮徳寿
東京都港区新橋3-2-6 杉本ビル1、2階
03-6268-8123
http://homepage3.nifty.com/kaisen-tokuju

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2009年02月17日

[ユック](新橋)

えぞ料理を老舗料理屋で


長兄と飲むことになった。「新橋あたりでいい店ないかな?」の問いに「ユックでどうだい?」と返ってきて戸惑った。先入観とは恐ろしいものだ。ユックの看板をあちこちで見たような気がする。チェーン店がいい店なのだろうか?

待ち合わせに遅れそうだ。急ぎ足で駅を抜けるとニュー新橋ビル1階ガラス戸の向こうに白髪頭が見える。不安そうに携帯を持ち上げたところで目が合った。
銀髪が2つ揃ってエスカレーターに向かう。4階の店に入って先入観の修正を迫られた。客層はほぼ我々と一致する。カウンターの向こうで料理人が忙しく働く。和装の女将がやってきて完全に考えを改めた。

お通し、かき

えぞ料理を謳うだけあってお通しの上にさりげなく鮭とばが乗る。店名のユック(鹿)は親会社である北海道定山渓温泉の旅館「鹿の湯」から来ている。アイヌ語に馴染みのない者にとってはいつもユッケと読んでしまう。

貝盛合せ

「貝三種盛りにウニも入れてよ」5分もすれば、久し振りに来たという兄もすっかり常連さんに戻る。チェーン店らしい写真満載のメニューだが、客の我がままも聞き入れてくれる普通の割烹料理屋だ。

金目鯛の煮付け

母の濃い味付けに似た水分が少ない煮物に兄弟大いに喜ぶ。弟が頭を求めると、兄は尻尾を選ぶ。腹身は仲良く2等分。昔は食べやすい尻尾の方が末っ子に与えられ、それを喜んだものだったが、母と過ごした年月が一番ではなくなって久しい。

かじか鍋

「かじか鍋は出来る?作って持ってきてよ!」と兄。「ここで煮ていいよ」と遠慮する弟。「大丈夫ですよ!」と快諾する板さん。女将が来て二人の顔を覗き込む。「似てる?似てない?俺の方がいい男だろう?もう一人は新潟にいるんだよ!」兄は饒舌だ。

今度は3兄弟で飲みに行こう。

えぞ料理 ユック
東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル4F
03-3567-3388
http://www.yukku.net/

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2009年01月30日

[燕楽](新橋)

人気店は場所を選ばない


評判が高いとんかつ屋さんというので新橋駅前にあると思った。地図で探したら、浜松町一丁目の交差点近くで繁華街から離れている。
前を歩く人たちの数がどんどん少なくなり、燕楽の看板が見える頃には前にも後ろにも誰もいなくなった。11時ちょっと過ぎに暖簾をくぐると一番乗りである。

カウンターの向こうに料理人が3人、こちら側に女性が3人、開店の準備をしていた。「暖房を入れますね」と言われたものの、暖まるまで時間がかかりそうだ。調理場の火に近い席を勧められた。2,300円のロースカツを頼む。

「ロースカツについています」とポテトサラダが出された。漬物と交互に食べながらカツが揚がるのを待つ。冷蔵庫から取り出された豚肉は厚くて揚げるのに時間がかかりそうだ。揚げ油は3つあり、奥の鍋に銀髪の肉が静かに沈んだ。

ポテトを三分の一ほど食べたところでガラス戸の向こうに影が見えた。他の客が来たかと思ったら、鳩が2羽店先で遊んでいた。とんかつが目の前に来る頃、ようやく一人だけの寂しさから解放された。今度は間違いなく人間のカップル。11時30分過ぎからは次々に人が入ってきて、店は活気を帯びてきた。

衣は薄く、淡い狐色で上野ぽん太のトンカツに通じるものがある。何もつけないで食べてもしっかり下味がついているのが分かる。塩で、醤油で、とんかつソースで、味を変えながら食べていった。

カウンターの中を観察するのは面白い。2,300円のカツは弱火でじっくり揚げられる。900円のカツランチの肉は少し色づいた真ん中の油の鍋に入る。厚さの違いかカツランチの肉は強火でどんどん揚がっていく。一般的な濃い狐色のトンカツが好きな人や急いでいる人はカツランチの方をお奨めする。

揚げている料理人と女性店員の一人は中国人のようだ。名店の味や技を受け継ぐのが外国人というのが珍しくなくなった。真面目に働く外国人にはどんどん日本国籍を与えていいのではないだろうか。伝統が維持され、日本人の人口が増える。こんなにいいことはないと思うのだが…

勘定を払って外に出た。鳩のカップルは消えていた。


燕楽
東京都港区新橋6-22-7
03-3431-2122

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2008年12月09日

[とりで寿司]②(新橋)

いつ行っても楽しいとりで寿司


「約束したとおり直ぐ来たよ!」「予約した?」「もちろん!」カウンター席には既に3組6人。我々が入った後の残り2席も予約済み。右のカップルが見ていたのは何と銀髪グルメ紀行のコピーだった。連れも気付いて合図してくれたが、軽く頷くだけにした。

お通しは炭火焼き。皿かごに盛られた小魚などは殆ど手作り。鮪のつみれと聞いたら追加してしまう。小さな七輪は一杯になってしまった。鮪は赤身がかたまりのまま残っている。

セイコ蟹、ブリしゃぶ

「前回食べ損なったブリシャブを」と頼むと、他の客の目がオーナーシェフ遠藤さんの手元に集中する。舞台の主役は空気を読むのも上手。ブリは他の客にも行き渡った。美味い美味いの大合唱。

生きたイカが登場。福岡で何度か食べた呼子のイカ。捌いても動いている。「ゲソは噛まないで飲み込むと、喉にくっつくので気をつけてくださいね」と注意される。しょうが醤油、わさび醤油で味わう。

次は佐島のタコ。イカと対照的に湯気を上げて出てきた。「何分茹でるの?」「18分!」と中途半端な時間。季節やタコの状態で微妙に変わると言う。客の入りや予約が入っている時間を見て茹で始めるそうだ。まだ来ない左の2席の客は大事なショーを見逃した。

大トロ、野菜焼、なまこ酢

大間のまぐろの後は下仁田ねぎとズッキーニの焼物がアクセントをつけてくれる。

鬼エビ、しめさば

北陸名物の鬼エビ。もちろん頭は焼くだけでなく、食べやすくしてくれる。今日のさばは松輪産。前回の金華さばと同様にブランド魚だ。

美味い美味いの合唱に「この店の客は失語症になっちゃってるよ、美味いしか言わない」と軽口を叩くと、左端のおばちゃん、いやお姉さまから「あら私は食通で通っているのよ。本当に美味しいんだから」とにらまれる。客のみんなが笑っている。

「今日は遠藤さん元気いいねー」「きれいな女性がいますから」、再び左から「本当にこの店は美人が多いわね」と何故か自慢気だ。「イヤイヤ、いい男が多いんですよ」と返すと、遠藤さんが握手を求めてきた。「そう、一番いい男は遠藤さんだよ!」

自家製からすみ、鮪赤身の酒盗和え

「何故、色が違うんですか?」連れがいい質問をする。赤いからすみは赤ワインに漬けたもので、ワインを飲む人に出すと言う。まだ試行錯誤の段階で遠藤さんは不満のようだが、なかなかいける。
赤身に和えた鮪の酒盗も自家製。今日も自主規制値より1合多く飲んでしまった。この店で酒を我慢するのは無理だ。

前回食べたウニと、初めてのコハダ、穴子(塩味)を握ってもらいお開きにしようと思ったらデザートが出てきた。これも自家製。イヤー、何度来ても驚かせてくれる。

店を出る間際に右のカップルに「これからも銀髪グルメ紀行をよろしく」と声をかけた。振り返った女性の驚きの表情が面白かった。余韻を残したままドアを閉めた。


とりで寿司
東京都港区新橋4-10-6
03-5401-1441

前回の記事→「とりで寿司」 

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2008年12月03日

[とりで寿司](新橋)

新橋でいい寿司屋を見つけた!


昼3時から深夜3時までぶっ通しで営業して、自ら築地に買い出しに行く。熱意とアイデア一杯の料理は、若くなければ編み出せない。

新橋通のS氏に指定された店はちょっとくたびれた感じの外観。以前はうなぎ屋だったらしい。入り口に吊るされた籠の中のからすみをしばし眺めて扉を開けた。狭い店のカウンターの中に若い料理人が二人。カウンターの中央にデンと座ったS氏と共ににこやかに迎えてくれた。

げんげ、たいら貝、まんぼう

席につくなり、皿かごが差し出された。お通しは串焼きだと言う。7~8種の串から3種類選んだ。富山名物のげんげは思ったとおりの味だが、たいら貝、まんぼうが滅法美味い。内臓などの捨てるような部分をうまく使っている。

ぶり、ひらめ、かわはぎ、しめさば、いか

「今日、築地で一番のぶりです」と胸を張るだけあって、脂が乗っている。〆鯖は生より美味い。S氏が飛び込みで見つけた店と言うが、大当たりだ。主人が若くて明るいのが更にいい味付けになっている。

せいこ蟹、椎茸、あおやぎ

きれいに身を出して食べやすいせいこ蟹、香ばしい岩手産の原木椎茸。粗くおろした大根が美味い。
「ちょっとがっしりした純米酒」「爽やか過ぎない吟醸酒」などなど、訳の分からない注文をすると主人が酒の名前を店の女性に告げる。「ぼくは焼酎を」と言うS氏の注文は銀髪が断った。美味しい料理は冷蔵庫で出番を待っている旨い日本酒で食べたい。

タコが茹で上がった。ユーモアたっぷりに鉢巻きをする。パキスタン、ヒマラヤ、モンゴル、シベリア、カザフスタン、チリの6種の岩塩から一つ選んで削ってもらう。タコは塩で食べる。

たいら貝の海苔巻き、大トロ、シマエビ、こはだの海苔巻き

ぶり、からすみ、とり貝、うに

もう一度ぶりを頼んだ。早い者勝ちだ。自家製のからすみ。滅多に入らない国産のとり貝。最後に礼文のウニ寿司。写真を撮っているうちに崩れ出して、慌てて口に放り込んだ。

書きたいことはたくさんあるが紙面が足りない。近い内にまた行って続編を書くことにしよう。大吟醸酒などの高い日本酒を6合以上は飲んだはずだが、S氏は3枚払って数枚のお釣りをもらっていた。

いつの間にか満席になっている。予期せぬ客が扉を開くと「すいません、一杯です」と主人は威勢がいい。我々が出るタイミングに来た客は、幸運を噛み締めることだろう。

とりで寿司
東京都港区新橋4-10-6
03-5401-1441

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2008年11月07日

[鮎正]②(新橋)

子持ち鮎の生炙り


今日も一番乗り。「約束どおり来ましたよ!」奥から出てきた主人に声をかけるとニコリと返してくれる。9月に来た時に、10月になると子持ち鮎が食べられると聞いた。10月中に来るつもりが、予約が取れずに11月にずれ込んでしまった。みんな良く知っている。

前回は初めてなのでコースを食べたが、今回は子持ち鮎と鮎ごはんだけを予約時に頼んだだけ。ちょっと早めに来たので鮎が焼きあがるまで30分ある。メニューから数品を選んで熱燗を飲みながら待つことにした。

付け出し、子うるか、へしこ、

付け出しのくらげのような食感のものは白こんにゃく。さらしに包んで揉むとくらげのようになるそうだ。何でも手を抜かない主人だ。前回食べなかった子うるかは自家製だけに他の店で食べるものと全然違う。へしこは鮎正のために福井の業者に造ってもらっているとのこと。主人が惚れ込んだだけのことはある。今まで食べたものの中で一番美味い。

ゆり根まんじゅう

ウニ、コノワタを詰めて揚げたゆり根まんじゅう。紙で包んで熱々を口に運ぶ。カリッ、フワッ、ネットリ。他に例えようのない不思議な味。まー、よく考えるね。

子持ち鮎の生炙り

真打ち登場。これが鮎?っていう感じの体型。塩もふらずに串に刺して囲炉裏で炙るように焼くそうだ。これを手づかみで食べる。カリッとした食感と立ち上る香りが何とも言えない。1時間も炙ったにしては身も卵も意外とパサパサしていない。鮎の塩焼きとはまったく違う食べ物だ。一匹5千円もするが、10月になると予約が一杯になるのも頷ける。「鮎のシーズンが終わりに近づき正直ホッとしますよ」と主人は苦笑いする。

さあ、ぼちぼち鮎ごはんにでもするかと思っていると、隣から「うるか茄子が食べたい」と言う。渋々承知したら、今度は「土瓶蒸し、茶碗蒸し、揚げだし豆腐も食べたい」とのたまう。胃袋が異次元に繋がっているのではないかと疑う。鮎が終ると鮎正はふぐやかにの会席料理屋となる。それからでも良さそうと思うのだが、仕方がない人だ。

老舗の京料理屋の味を知る人には鮎正の土瓶蒸しなどは違うと言うかもしれないが、どれも主人が研究を重ねた鮎正風で創作料理にも思える。削り節、塩の使い方などのこだわりを拝聴すれば、感心しきりであった。

鮎ごはんの後に銀杏の焼餅を食べてお開きに。あー、腹が一杯で動けない。


鮎正
東京都港区新橋4-17-5
03-3431-7448


2009年秋、移転しました
鮎正
東京都港区新橋4-21-14
03-3431-7448

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2008年10月16日

[いいかげんや](新橋)

いい、加減、かな ?


いきつけの店がある人は頼もしい。S氏を誘うと必ず「いい店を知っていますよ」と返ってくる。常に新しい店を探さなければならない銀髪にとってこんな楽なことはない。焼き鳥激戦区の新橋で、彼が推薦する店となれば嫌でも期待してしまう。

お通し、刺身

店はすぐに見つかった。すでにS氏は奥の席で待っていた。座るとすぐにS氏が予約時に頼んでいた刺身が出てきた。白レバーを含む鳥の刺身をたべれば、焼き鳥の味は食べる前から保証されたようなものだ。


1本150円からというお手頃値段で美味しいとなれば店は一杯になる。S氏はカウンターを予約したかったようだが、奥の2人席で仲良く食べた。カウンターでなくても店主が料理を運んではだべっていくので楽しい。常連のS氏のおかげだ。


それにしてもSはよく食べる。肉ばかりでお腹が一杯なのに今度は野菜を頼む。不思議なものでこちらも負けずとオーダーしてしまう。鳥ばかりでは飽きるので豚バラ。ノスタルジックにハムカツ。琴線に触れるのが上手な店だ。

もう終りだろうと思ったらまだ頼むS氏。つられて追加注文をする銀髪。気の置けない相手との食事は楽しいが、身体に悪い。お腹が悲鳴をあげる。

激戦区で毎日席を満たすのは並大抵ではないだろうが開業して既に7年。問屋を通さず直接仕入れているので、素材は新鮮でしかも安いというのが人気の秘密だろう。

店名にオーナーの性格が表れている。ユーモアがあって、元気で、自信満々といったところだろうか。「いいかげん」という言葉は銀髪も好きだ。「いい」にアクセントを置く。風呂の温度をみて、いい(湯)加減というのと同じ。ちゃらんぽらんではなく、ちょうどいいという意味で使う。

値段、味、サービス、雰囲気。合わせて「いい、加減」の店である。

いいかげんや
東京都港区新橋4-20-9
03-3434-2911

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2008年09月16日

[そのまんま](新橋)

宮崎料理ではありません。土佐料理ですよ


機関車広場から電話した。「今晩、二人開いてますか?」「大丈夫よー」「それじゃー5分で行きます」「エッ?ワッハッハッ!」楽しい食事は約束されたようなものだ。狭い階段を3階まで上る。ドアを押すとガシッと留め金に引っかかって開かない。「アレッ?」と言ったところで女将が飛んできた。手伝いの子が来るまでは物騒なので鍵をしているそうだ。常連さんはドアの横の呼び鈴を鳴らす。

奥のテーブルに座るように言われた。既に炭火の用意がしてある。使うのは土佐炭。連れが目ざとく壁の張り紙を見つけ「お母さん、この店のルールを説明してよ」と調子がいい。基本的にお任せ。その日に空輸されてきた素材次第でメニューは変わる。

かつおのあら、心臓とハラス

お通しと言うには大きな皿が出てきて驚いたが、よく見ればあら。骨から身をはずして食べ終わる頃に赤身が出て来た。「パイ」と聞こえたので思わず「オッパイなの?」と言って笑われた。かつおにオッパイがあるはずがない。心臓のこと。鮮度抜群できれいな心臓を生で食べる。魚とは思えぬしっかりした食感。生が苦手な人はハラスと一緒に焼いて食べてもいい。塩は甘味のある土佐塩。

ガザミ(渡り蟹)、かつおの刺身

ハラスが焼きあがるまでの間、ガザミと分厚いかつおの刺身を食べる。ハラスの表面で脂が弾けてきたら食べごろである。続いていかを焼く。何度もタレをつけてひっくり返すので香ばしい。銀髪がいれば相手は食べるだけ。楽チンである。

ハラス焼き、イカ焼き

「四万十川の天然鮎と鯨の鍋とどっちがええ?」と女将が問いかける。これからが相談タイムだ。「鮎は近くの鮎正でたくさん食べたからなー」と言うと鯨を熱心に奨める。「ゴンドウクジラ?」「ミンクよ」「じゃー南氷洋だね」「そうです」。「それじゃあ、せっかくだから鮎にしよう」と言うと女将がずっこけた。「さんざん鯨を説明させて鮎かい?」と言う。高知沖で獲れるゴンドウクジラなら興味があるが、四万十の鮎の方が魅力的だ。鯨は鮎の季節が終ってからにしよう。


「匂いをかいでごらん?」女将が自慢気に鮎を差し出した。西瓜のような爽やかな甘い匂いがする。四万十川の新鮮な天然鮎を食べるのも初めてなら、匂いをかぐのも初めてだ。

しばし鮎談義。化粧塩をして、焼き始めた。丁寧に焼く銀髪の手つきを見て、女将は安心して他のテーブルに行った。それからは鯨の鍋を食べる隣の常連さんにつきっきりになった。かなり盛り上がっている。

うつぼ、鮎の骨

うつぼを初めて食べて連れが感激する。ワタがついた鮎の骨を再度炭火で炙った。もちろん連れの骨も炙らせた。柔軟な発想を持つ男だが、食い物に関しては保守的である。まあ、銀髪が変わっているのだけれど。
「ワー、美味しそうやねー」と女将も満面の笑みだ。苦味のあるワタが美味かった。

生ビール2杯、高知の地酒「慎太郎」を6杯飲んで二人で約2万円。これからもずく蟹など秋の食材が空輸されてくる。冬も楽しみだ。常連になりたい店である。

鮮活処 土佐料理 そのまんま
東京都港区新橋4-18-4 新橋太陽ビル3階
03-3434-1414

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2008年09月11日

[鮎正](新橋) 

日本随一の天然鮎料理


5時45分に到着。2階には既に先客があるようだが、1階にはまだ誰もいない。カウンターの真ん中に座ると、店の人たち(板前さん6人、仲居さん2人)に見詰められているような気がする。「イヤー、緊張しますね」と笑って空気を和ませた。

一品目が出てきたところで「写真を撮っていいですか?」と主人に尋ねる。「そんなこと言われるのは初めてですよ。最近はみんな何も言わずに撮ってますから」と苦笑い。名刺を渡して「今日はよろしくお願いします」と言う。主人からも名刺を受け取る。さあ、楽しい食事の準備は整った。

鮎の椀物、フッコ(スズキ)の刺身

通常は鮎の刺身だが、鮎の数が足りないのでフッコになったのが残念。次回の楽しみにしよう。

塩焼き、苦うるか

一人二匹の塩焼き。頭から食べ尽くす。鮎の内臓と塩だけで丹念に作られた苦うるか。器がサメに似ていると相方が言うので馬鹿にしたら「実物より頭が大きいですからね」と主人が優しくフォローしてくれる。

茄子の味噌煮込みかと思ったら、これもうるか。汁を残すのがもったいないので「ご飯でも入れたら…」と口に出そうとしたら、「白いごはんをお出しします」と先に言われてしまった。あー悔しい。

鮎の揚げ物は小麦粉の衣がパリッとしていて香ばしい。鮎の中に挟んであるのは赤味噌かと思ったら、白味噌にうるかを混ぜたものとのこと。
煮浸しにすると、鮎はまた違った味わいになる。実に面白い。

酢の物、鮎ごはん

いつものことではあるけれど、他の客は自分たちで話し込んでいるので目の前の主人を我々がほぼ独占した。大量に使う鮎の全てを無駄にしないために、考え抜いた技の数々を説明してくれる。披瀝したいのは山々だが、そんな野暮は慎もう。是非、店に出向いて自ら聞いて欲しい。

工夫は鮎料理だけではない。デザートの氷の下に隠れている青梅の鮮やかな色も主人の研究と試行錯誤の賜物。酒、什器その他、隅々まで細やかな配慮がある。

主人の、女将さんの顔がいい。自信と謙虚さが見事にバランスしている。二人が店の外までお見送りしてくれた。頭を下げる二人に「また来月!」と既に常連さん気分で偉そうに手を上げる銀髪。いい店だった。


鮎正
東京都港区新橋4-17-5
03-3431-7448


2009年秋、移転しました
鮎正
東京都港区新橋4-21-14
03-3431-7448

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2008年09月02日

[火鍋厨房 銀座 麒麟](新橋)

残暑は辛い鍋で乗り越えよう


業界の有名人F氏と初めての会食を企画した。別の友人I氏も誘った。どこで食べるか散々悩んだ末に、一番分かりやすい場所を選んだ。機関車広場の前にある、ニュー新橋ビルなら迷いようがない。

少し早めに到着したら、既にI氏は席についていた。一番遠くからやってくるF氏は多分遅れるだろう。料理を決め、ビールを飲み始めた。料理が運ばれてきた時にタイミングよくF氏も到着した。

お通し、ザーサイ、焼餃子

銀座にある「麒麟」は立派な中国料理を出す店である。系列である新橋の店は、遥かに大衆的な店だ。銀座店はビルを丸ごと使う大きな店で、ちょっと高級な感じ。大衆店故に場所を変えて一線を画するのも分かるような気がする。もっとも、火鍋専門店ながら小皿料理も豊富で、リーズナブル。サラリーマンが気楽に入れる店で、なかなかいい。

三色鍋

二色鍋の店は結構あるが、三色鍋は初めて。白湯と豆乳の塩味スープ、四川風の辛味と山椒の効いたスープ、干し海老風味の旨みスープの3つに分かれ、それぞれに合わせてつけだれも3種類ある。


みんな銀髪グルメ紀行のことを知っているので、具が到着する度に皿を持ち上げて写真を撮らせてくれる。気の毒なので、ほどほど撮ったところでカメラはバッグにしまった。後は食べることに専念するのみ。

論客のF氏の話はとても参考になった。頃合いを見計らって、こちらの意見も述べる。同意できる部分が圧倒的に多いが、ぶつかり合うものもある。食べるのに専念するつもりが議論に熱中して、スープが蒸発してしまう。何度か注ぎ足してもらったものの、議論は沸騰したままである。

鍋はなかなか美味しかったが、ゆっくり味わう会ではなくなった。若いときには上司や会社の悪口だけでなく、天下国家も含めて偉そうに議題にしたものだ。久し振りの議論満載の食事は面白かった。F氏と別れた後も、頭の中で論点を何度も何度も反芻した。酔いが醒めると、記憶もなくなってしまいそうで怖かったからだ。

火鍋の薬膳効果のおかげか、翌日は体も脳も快調。もちろん口も滑らかだった。

火鍋厨房 銀座 麒麟
東京都港区新橋2-16-1
03-3502-0039

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2008年08月04日

[和楽](新橋)

豪快な活魚料理屋


数軒めぼしをつけて来たけれど、客の「この店良さそうだよ」の言葉に異を唱える勇気がない。結果がどうあれ相手の意向に従えば、こちらの責任は免除される。

店は満席に近く、奥のカウンター席の隅に入れられた。目の前は壁で、配膳のための小窓から鳩時計のようにときどき若い調理人の手が出て来るだけ。調理の様子を見ることはできない。メニューを見ても値段が入っていない。高級なのかと腰が引けそうだが、客層を見ると会社員風の若い人たちが多く、ちょっと不思議だ。

お通し、いか刺身

豆腐だけのお通しも素っ気無いが、大皿にいか刺しがドタッと出てきたのには驚いた。普通は曲げたり重ねたりするものだ。

さんまの刺身、岩牡蠣、枝豆

今年初物のさんまの刺身はイカよりも刺身らしく造られている。やれば出来るじゃないか。もっとも岩牡蠣はレモンを添えられているだけ。
枝豆は茹でたてのホカホカで出て来た。これは手間をかけている。こだわりは飾り付けではなく味にあるようだ。

かさご

デーンと出て来たかさごの活き造りにまたも驚かされた。これまでの刺身同様、刺身のつまは魚の敷物扱い。あまりの大きさに圧倒されるが、おこぜにも負けないかさごの上品な白身には満足した。

きんき

これも付け合せなしで魚だけが皿に出て来た。本当に潔い店だ。ここまで飾りを廃されると気持ちよくもある。相手はこの煮付けには我慢ならないらしい。水分が少ない濃い目の煮汁が好みのようで、ちょっと箸をつけただけで食べようとしない。きんきの煮付けが美味しい四谷にある店と比較にはならないと憤慨する。怒っても店を選んだのは貴方だよ。銀髪には悪いとは思えない。一人で頭から尻尾まで美味しくいただいた。

先ほどのかさごは味噌汁にしてもらった。刺身よりも白身が美味しく感じる。

日本酒もたらふく飲んで二人で約25,000円。かさごやきんきなどの高級魚を丸ごと食べてこの値段なら悪くない。若い客で賑わうのは納得である。飾りを排除したのがリーズナブルな価格に結びついているようだ。盛り付けに気を遣わなければ最小限の人手で多くの客に料理を迅速に送り出せる。つまの使い回しを疑う必要もない。

シンプルで潔い料理は評価しても良い。3~4人のグループにお奨めの店だ。


和楽
東京都港区新橋2-9-14 三浦ビル1F
03-3595-2187

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2007年12月17日

[まこちゃん](新橋)

あこがれの焼きトン屋さんへ


新宿・のみやで牛もつを食べたとき、新橋の焼きトン屋・まこちゃんのことを思い出した。半年以上前に目をつけた店だが、行く機会がなくそのままになっていた。ところが数日後部下が持って来た仕事が新橋で、まこちゃんまで歩いて5分もかからない。しかも5時過ぎに終わる仕事と理想的である。神様は日頃の行いがいい銀髪の味方だ。

5時15分に店に着いた。すでに半分近くが埋まっている。後で人数が増えると断って4人掛けのテーブルに座った。後から来る奴が絶対食べないものから注文する。

レバー刺し、コリコリ刺し、軟骨やわらか煮

まこちゃんも新宿・のみやと同様に「芝浦から毎日直送」を謳っている。レバー刺しはイチオシと言うだけあって予想以上だった。「叙々苑・游玄亭でも食べないのにこんな店で…」と言う奴が来る前に、さっさと楽しまなければならない。部下はコリコリ刺しが、銀髪は歯ごたえのある軟骨も気に入った。

生キャベツ、ポテトサラダ

野菜で口直しをしている間にも人がどんどん入ってくる。カウンターの客は横に移動させられ、広がった空間が全て埋められていく。ついに店の人が我々のテーブルの2席に眼を付けた。「後の人はまだ時間がかかりますか?」と聞かれると同時に、タイミング良く携帯が鳴る。ほどなく電話の主が飛び込んできた。滑り込みセーフだ。

シロ、レバー

焼物はボリュームたっぷりだ。後からやってきた彼はシロが大好き。2本、2本と注文して更に5本追加する。彼はちょっとタレが辛いと文句を言うが、シロはどんどん消費されていく。酒飲みは店自慢の辛目のタレが気に入るはずだ。

まぐろ串(頭)、かしら・ハツ

銀髪はホッピーのお代わりをした。他の人は抹茶ハイを飲む。

さつま揚げ、チャンジャ

トイレに立って見回すと、女性だけのグループもチラホラいる。トイレもちゃんと女性用と区別してあり、もはや焼きトン屋もオヤジの聖域ではない。店の外を見ると、中を覗いては諦めて帰る人たちが居る。
腹一杯になって、チャンジャだけでホッピーを飲んでいては申し訳ない。そろそろお開きの時間だ。窓ガラス越しに店の中を覗く人と目が合った。手を上げたら気がついたようだ。

さてこれからクラブに行こうか、ショットバーにしようか。結局どっちも行って午前様。神様は今日も行いがいい子と言ってくれるだろうか。

まこちゃん
東京都港区新橋3-18-7 桃山ビル1階
03-3431-5700
http://machi.goo.ne.jp/03-3431-5700


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2007年11月12日

[とんかつ 河](新橋)

新橋で評判のカツの店


「日本で一番美味いトンカツだ!」と絶賛する仲間に連れられてタクシーに乗った。銀座を過ぎて新橋の機関車を左にやり過ごしてすぐに看板を見つけた。想像したより小さな店だ。開店して4年とのことだが、店は開店して間もないかのように磨き上げられている。店主と女将の中年夫婦の笑顔をも考え合わせると、味は保証されたようなものだ。

エビフライ

まず特大のエビフライから。揚げる前に見せてもらった海老は20㎝近い大型のブラックタイガー。車海老のプリッとした食感には負けるが、かぶりつくと食べ応えがある。
自家製のタルタルソースはざく切りしたゆで卵にマヨネーズを和えただけのもので、そのまま卵サンドにも使えそう。

ロースカツとヒレカツ

じっくり揚げた厚い肉の中心部はほんのり赤くジューシーである。衣は生パン粉でサクサクしている。個人的には昔ながらの薄い衣の方が好きだが、今はサクサク衣の方が好まれるようだ。

カキフライ

大型のカキフライを一口食べたら中から汁が溢れ出して来た。これを見てみんなが歓声を上げた。家でカキフライを作るとあたるのが嫌なのでどうしても揚げ過ぎてしまう。
鮮度と揚げる技術に自信がないとジューシーなカキフライは食べられない。

トンカツなどの揚げ物は家庭や定食屋の定番料理。高い料金を払って食べるものではないように思う人も多いが、高いトンカツ屋で混んでいる店は確かに何かが違う。たまには贅沢して2~3日分の昼飯代をつぎ込んでも後悔はしないだろう。

常連さんを気遣ってテレビ取材は断っているという小さなお店。新橋で見つけた美味しいとんかつ屋さんはいかが。


とんかつ 河
東京都港区新橋3-16-21
03-3578-0778

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2007年07月22日

[パスタ・デ・ココ](新橋)

あんかけスパゲッティを東京で


以前、中京地区で人気のあんかけスパゲッティを紹介した。PEAKさんから神田駅南口の「ほう芽」という店があると教えられた。いつか行こうと思っていたら、西新橋でパスタ・デ・ココを見つけた。

パスタ・デ・ココはカレーハウスCOCO壱番屋の新業態の店である。COCO壱番屋は全国に1,000店以上あり、東京証券取引所にも上場しているので知らない人はいないかもしれないが、何故あんかけスパゲティの店を開くか不思議に思う人が多いだろう。COCO壱番屋は愛知県西枇杷島1号店から出発した。以後、辛さやご飯の量を数段階選べるシステムがウケて急成長した。本社は愛知県一宮だから、あんかけスパゲッティを始めたのは自然な流れかもしれない。

パスタ・デ・ココの東京進出1号店は外堀通り西新橋1丁目交差点を愛宕方面に曲がって郵便局の裏手にある小さな店だ。丸4年経っても東京での店舗展開は進んでいないので不人気かと思ったが、12時前に満席になり待ち客も出てきた。

メニュー

メニューもろくに見ないで「おすすめです」となっているミラカンを注文したら、「量はどうしますか」「辛さはどうしますか」と質問された。カレー屋成長のシステムはスパゲッティにも活かされているようだ。量は普通、辛さは3段階の一番辛いものを選んだ。隣の先客に運ばれたものが巨大だったのでビビッたが、多分2段階上の2L。

ミラカン

目の前の箸立てに紙エプロンが入っていたので、首からかけて料理を待とうとしたら先客に睨まれた。彼は目をそらすとエプロンを取り自分の首にかけた。堂々としていたので常連さんと思っていたが、どうやら初めてらしい。そういえば何度もタバスコをかけて味の調整をしていた。量も想像以上だったに違いない。

当方の皿は胡椒が効いて期待通りのものだった。タバスコで辛さを調節するよりはるかにいい。量も適量。トッピングに揚げ物がないのが残念だが、調理場に制約があるのかもしれない。麺は一般的なパスタ(1.6㎜)より極太の2.2㎜のもの。もちろんちょっと茹で過ぎがちょうどよく、とろみのあるソースに良く合う。

弾力のある極太スパゲッティが複雑に絡み合い、あんかけソースが麺にへばりついている。ソースが飛び散らないように慎重に食べた。上手に食べたのでエプロンの必要はなかったと自画自賛したが、よく見たら一箇所ソースが飛んでいた。エプロンは嬉しい気遣いである。

あらためてメニューを見ると標準価格のM(300g)は9段階の下から3番目。多分L(400g)や2L(500g)を選ばせるために上の4つ(600g以上)があるに違いない。見事に陰謀にはまってまだ食べている先客を残して店を出た。

COCO壱番屋の急成長の秘密が少し分かった気がした。

パスタ・デ・ココ
東京都港区西新橋1-23-9
03-5512-8677

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2007年06月28日

[オレゴン バー&グリル](汐留)

酒の注文を取りに来た女性にいきなり尋ねた。「オレゴンってどこにあるの?」


「ワシントン州の南です」と言われてアメリカの首都ワシントンDCを思い浮かべてしまった。それを見透かしてか「ワシントン州はイチローのいるシアトルがある州です」と続ける。南にネバダ州、東はオハイオ州、モンタナ州、その向こうにワイオミング州がある。名作「シェーン」を思い出した。

店内はほぼ満席。客の殆どは汐留シティーセンターの42階からの景色・夜景が目的で、店がオレゴンだろうがドラゴンだろうが関係ないだろう。窓際は最高のデート席で、我々は夜景を見るふりをしながらカップルの品定めができる特等席をいただいた。

メインはすぐに決まった。ステーキと州の魚・キングサーモン。アメリカサイズの料理を予想して、前菜は抑え気味にした。

ズッキーニ、ポタージュ

日本語では「花ズッキーニのフリット ビスト添え」だが、英語では「Fried Zucchini with Vegetable Sauce」。よく分からないままナイフを入れると、スープが飛び出してきた。ワイシャツやズボンが味見をできて喜ぶほどに美味だった。

安っぽい1枚もののメニューだが、毎日変わるというので納得。料理の種類は思ったより多い。変わらないのはもちろんステーキだろう。

ステーキ

ステーキはメキシコ産、日本産、米国産の3種類がある。メキシコ産が一番安く、米国産は2番目。米国産カスタムエイジ・サーロインの一番小さいサイズ、80オンス(230g)4,800円のステーキを食べることにした。エイジ(Aged)なので老牛かと店員を茶化したら、笑ってくれずに熟成の意味だと諭された。
和牛のような柔らかさはないが、脂っこくなくて噛むほどに味が出る。結構好きなタイプだ。

キングサーモン

200グラムのキングサーモンは野菜の串焼きを従えて巨大な一皿になった。アメリカらしくていい。備長炭でしっかり焦げ目がついてこれもなかなか美味かった。大味と言うなかれ。これがアメリカ料理だ。

ワインもオレゴンのものを飲んだ。どうせ気取るなら西部の男を気取った方が楽しい。
オレゴンはシェーンに匹敵するような名作西部劇の舞台になったのではないかと調べたら、もっとも有名なのは「スタンドバイミー」。西部劇ではないがスティーブンキング原作の映画もノスタルジックでいい。

オレゴン・カフェ&グリルの話を書いているのに、ベン・E・キングの主題歌が頭を離れない。Stand by me と何度も口ずさむと、窓際のカップルたちにぴったりの店だったのかもしれないと思えてきた。


オレゴンバー&グリル
東京都中央区築地4-5-7
03-3524-1500


♪スタンドバイミー
When the night has come  And the land is dark (夜がやってきてあたりは暗くなってしまった)
And the moon is the only  Light we'll see (ただ月だけが 僕らが見ている ただひとつの光) 
No I won't be afraid Oh I won't be afraid (それでも僕は 恐れたりしない 怖がることなんてないんだ) 
Just as long as you stand Stand by me (ただ君が僕のそばに いてくれる限りは)
So darlin', darlin' Stand by me, oh stand by me Oh stand, stand by me Stand by me
(だからねえ そばにいて 今僕の そばにいてほしいんだよ 僕のそばに 君がいてほしい)

If the sky that we look upon Should tumble and fall(見上げればいつもそこにある空が たとえ崩れ落ちてきたとしても)
Or the mountain should crumble To the sea (たとえ山が 海の中に崩れ落ちてしまったとしても)
I won't cry, I won't cry No, I won't shed a tear(僕は泣かない 泣いたりしない 涙なんか 流したりしない)
Just as long as you stand Stand by me (ただ君が僕のそばに いてくれる限りはね)

And darlin', darlin' Stand by me, oh stand by me Oh stand now, stand by me Stand by me
(ねえ だからそばにいて 今僕の そばにいてほしいんだよ そばにいて そうしてほしいんだよ 僕のそばに 君がいてほしいんだ)
Darlin', darlin' Stand by me, oh stand by me Oh stand now, stand by me Stand by me
(ねえ だからそばにいて 今僕の そばにいてほしいんだよ そばにいて そうしてほしいんだよ 僕のそばに 君がいてほしいんだ)
Whenever you're in trouble Won't you stand by me Oh stand now, stand by me...( たとえ何があっても 僕のそばにいて 今僕の そばにいてほしいんだよ)

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2007年04月15日

[クロンダイク・ハイボール](新橋)

ちょっと気取ってシェリー酒でもどうですか?


食前酒は日本ではビールに決まっている、と書くと怒られそうだが厳然たる事実だと思う。フレンチやイタリアンの店でも男はビールを飲む。シャンパンを飲む女性も多いが、外国ではシェリー酒もよく飲まれている。シェリー酒は食前に飲む酒で、ちょっと甘めの女性用の酒だと思っていた。

シェリー酒に対する誤解は「Bar 武蔵」で消えた。スペイン産の生ハムにはスペインのシェリー酒が合う。当たり前の話だ。

シェリーを飲ませる店と聞いて、新橋のクロンダイク・ハイボールに行った。ところが店名はベルモットやジンジャーエール等で作るカクテルの名前。棚はスコッチウイスキーをはじめ各種ウイスキーで埋め尽くされている。ちょっと拍子抜けしたが、めげずにシェリーを頼んだ。

店長の佐川さんは喜んで応じてくれた。彼は銀座のシェリークラブに居たとのことで、ショットバーとしては珍しく30種類ものシェリーを提供してくれる。
シェリーの原料はブドウだが、アルコールを添加した所謂「酒精強化ワイン」である。スペインのへレスという町とその周辺のみで作られるそうだ。

味はスッキリしたものもあれば、コクがあって濃厚なものもある。辛口もあれば甘口もある。色が透明なものもあれば琥珀色のものもある。
好みを言えば佐川さんが推奨してくれる。

もちろんスペイン産の生ハムは必須だ。

小さなショットバーを愛する常連さんが多いようだ。左隅でスペイン料理を夕飯にして1人で飲んでいるお父さんは単身赴任者だろうか。右側に座った女性は恋人と待ち合わせだろうか。
佐川さんが忙しくなってきたので我々はお開きにすることにした。

色んなショットバーがあるもんだ。


クロンダイク・ハイボール
東京都港区新橋3-16-22 池野6号ビル2F
03-3438-3825

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2007年04月03日

[恭恭](新橋)

幻の鮭児はなかったけれど


雑誌には「鮭児に黒魚、大穴子、希少食材の夢の饗宴!」と書かれていた。これは行かねばならない。「店先は新橋によくありそうな居酒屋」の記述どおりの店構えだ。まだ6時をちょっと回ったところなので客はいない。カウンターでメニューを書いている女性の横に陣取り、ビールを頼んだ。

残念ながら鮭児は11月まで待たねばならないようだ。メニューは毎日変わるが、定番・看板料理の中から数品を選ぶことにした。

お通し、牛すじ煮込み

初めて来たと言ったらカウンターの上の大鉢に入った前沢牛のすじ煮込みを奨められた。最高級(A5等級)の前沢牛が自慢とのこと。カウンターには烏骨鶏の卵など数種類が置いてある。卵かけご飯に使うものだが、卵にもこだわりがある。

鶏の刺身(左からささみ、胸、もも)

前沢牛に並ぶ自慢の素材・幻の地鶏「土佐ジロー」は、高知県原産の土佐地鶏のオスとアメリカ原産のロードアイランドレッドのメスとをかけ合わせた一代雑種の鶏。放し飼いで育てるので身がしっかりしているというが、きれいな色のもも肉を食べると口上の正しさがよく理解できる。

穴子、しゃこの刺身

穴子は香川産、瀬戸内の穴子白焼きとなれば避けては通れない。今の時期でも美味かったので、脂が乗った頃に再訪したい。
本日の一番の驚きは岡山産しゃこの刺身だった。生まれて初めて食べたが、食感は海老が少しくたびれたような感じ。海老のようなプリプリ感はないが、くネットリとしていて味は海老にかなり近く悪くなかった。

岩塩、牛レバーの刺身

煮込み以外の前沢牛も食べようということになったが、中年2人組みにはA5等級では脂がきつすぎる。いい肉は内臓も美味いので、レバーを食べることにした。ヒマラヤ産の岩塩をすりおろしてレバーをつける。

ポテトサラダ

銀髪の頼む料理はいつも変わったものばかりで、生食も多い。これを嫌がる男性は多いが、今日の連れも同様だ。最後の口直しにポテトサラダを頼んであげた。メニューは変わったものばかりではなく、普通の料理の種類も多い。

日替わりメニューが多いので、毎回行くときは何があるか楽しみな店だ。


恭恭
東京都中央区新橋4-21-15 河合ビル1F
03-3434-5655

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2007年03月14日

[漁亭](新橋)

素晴らしい店が新橋にあると言われて行った。


店の名前を聞いて、おおよその想像はできた。料亭ではなく、同じ読みで漁亭と書くにはそれなりの意味がある。気楽な居酒屋よりもちょっと上の料理を出す店と思えば分かりやすい。料亭ほどではないが負けないぞという心意気や洒落っ気が感じられる。
目を見張るような料理がないかわりに、驚くほど高くもない。メニューは豊富で目刺しからふぐまで何でもござれである。

10人の男たちが次から次に頼んだものを見てもらおう。





これだけ人がいると、いろんな料理を試食できる反面、行き当たらなくて文句を言う連中も出てくる。女性がいない飲み会は楽しいやら味気ないやら。もっともこんな宴会に呼ばれたら女性は面白くないかもしれない。
いや、最近はオヤジよりオヤジっぽい若い女性が増えたので、とっても喜ばれるかもしれない。

たくさん食べて、飲んで、1人約6,000円は評価されるだろう。特に珍しい素材や料理がないのが銀髪にとってはちょっと寂しいが、懐が悲鳴を上げることはなかったので、まずは良かったということになる。

季節料理 漁亭
東京都港区新橋2-11-4
03-3591-3321

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2006年10月06日

[潮夢来]②(新橋)  上海蟹

上海蟹のシーズン到来。

グルメ達にとって今年最大のショッキングなニュースは活上海蟹が、外来生物規正法で一般客への販売を禁止されたことだろう。これまでは築地や上野、ときにはスーパーでさえ売られていたものが、日本の在来種に影響があるとのことで、飲食店関係者しか買えなくなってしまった。

料理法は生きたままの状態から約15分蒸すだけだから、自宅で簡単に食べられたものが、料理屋でしか食べられなくなった。嘆いていても始まらない。どの店で食べるか決めなければならない。

随分と悩んだが最終的に選んだのは、新橋汐留、日テレタワーの1階にある「潮夢来」だった。以前、潮夢来に行ったときはフカヒレ姿煮、北京ダックを2大メインにしたが、今回はフカヒレ姿煮、上海蟹をメインにした。

食べた時期や自らの体調などの違いもあり、同列には論じられないかもしれないが、一番美味しかったのは神田神保町の「新世界采館」。それまで食べていた上海蟹のイメージを一変させてくれた。一番品が良かったのが東麻布の「富麗華」だった。今日は接待なので富麗華にしようと思ったが、担当のFは上海蟹は食べたことがないのに嫌いだと言う。蟹ミソが嫌いなので、上海蟹は不味いと決め付けている。

そこで単品で上海蟹を食べることができる富麗華と同じ中国飯店グループの潮夢来にした。富麗華の良さは蟹を食べやすいようにきれいに捌いてくれることにある。潮夢来は富麗華に比べて雰囲気は落ちるが、味は同等で値段は安い。サービスは落ちるかと思ったが、期待通り蟹は捌いて出してくれた。全ての料理を個々に取り分けてくれるので、奪い合い、譲り合いがなくていい。

出始めの今はメスの卵が美味く、オスはもう少し寒くなった方がミソが濃厚になってくる。店の人にもメスを奨められたが味比べのためオス、メス2匹ずつ頼んだ。

左がオス、右が卵(鮮やかな橙色)を抱いたメス

身も取り出してくれる

上海蟹は嫌いだと言っていたFに無理矢理食べさせた。一口食べたFはグルメレポーターの石塚ばりに目を剥いた。美味いを連発して喜ぶ姿を見ていると、こちらも嬉しくなってくる。Fは自分の客がいることなどすっかり忘れて食に没頭している。

黒酢を主体にしたタレがかかっていて食べやすいが、銀髪的には何もつけないでそのまま食べたかった。蟹はお腹を冷やすと言われるので食べるときには黒酢、生姜茶、紹興酒の3点セットは欠かせない。でも今度行ったらタレは別に持ってきてもらおう。

つなぎでアスパラに似た中国野菜「芥蘭菜」の炒め物、焼き餃子、小龍包を食べた。Fはスープがたっぷり入った焼き餃子に感激して、再び石塚レポーターになっている。
これをみて他の二人もニコニコしている。


あっさり味の野菜炒飯と、麻婆豆腐は銀髪定番の締めくくり。山椒が効いた本格四川風麻婆豆腐はお気に入りの一品だ。サービスで出してくれた杏仁豆腐は意外と甘味が少なく本物の味だとEさんに言われて口にした。成る程、杏の香り高く品の良い甘さだった。
  
料理屋のチョイス、料理の内容・品数・量が完璧だったとみんなに散々おだてられて、銀髪は登る木を探した。


潮夢来
東京都港区東新橋1-6-1 日本テレビタワー1F
03-5568-1818
http://www.chuugokuhanten.com

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2006年07月24日

[ビーチェ](新橋)  夜景のきれいな店

カレッタ汐留47階、東京でもトップクラスの夜景を見ることができるレストランに行った。

夜景がきれいなレストランと言っても、完璧な状況を作ることができるのは1年の内にそうたくさんはない。太陽に輝く街が夕焼けで赤く染まり、薄暮になり、次第に灯かりが浮き上がってくる。やがてビルのネオンが様々な色を発し、道路はテールランプの川となる。

冬は日没が早すぎて、夏は遅すぎる。夕食の時間を約2時間と想定する。6時からスタートするのであれば終わるのは8時。その間に日が暮れなければならない。理想的な日没時間は7時。今がその時期だが雨が邪魔をする。

以前、夜景のきれいなレストランで有名な聖路加タワーの最上階へ行った。窓際の席はいつも一杯で、ようやく予約が取れた日は雨。窓の外は白く霞み灯かりは最後まで浮かんで来ることはなかった。

ビーチェは1926年にミラノで創業して、全世界に20以上の店舗を展開する。2002年、カレッタ汐留にオープンしてしばらくは予約が取れないレストランとして有名だった。今は比較的予約を入れやすいが、完璧なシチュエーションを作り上げることは難しい。
この日の天気予報は晴れだったが、6時頃雨が降り出した。不安がよぎったが後戻りはできない。

恋人たちに人気のレインボーブリッジが見える側ではなく、銀座・日本橋方面が見える窓際を予約してある。会食の相手は既に到着していた。いつものようにメニューを開き、いつものように銀髪が仕切る。

水牛のスモークモッツァレッラとフルーツトマトのオーブン焼き

他の料理にも共通することだが、盛り付けが絵画のようで美しい。

ホワイトアスパラガスとタレッジオチーズのフォンデューポーチドエッグ添え

ポーチドエッグは壊して食する。

幸い天気予報は大きく面目を失することはなく、灯かりが次第に浮き上がってきた。夕焼けを見ることはできなかったが夜景には問題なさそうだ。

的鯛とファンネルの蒸し煮

的鯛(マトウダイ)は体に丸い斑点があり、これが的に見えることからこの名前がつけられた。白身の上品な身でオーストラリア時代によく食べた。

和牛フィレ肉のパンチェッタロール空豆のペースト添え

ハンバーグにベーコンを巻いた料理はよく見るが、高級和牛に高級なイタリアベーコン(パンチェッタ)を巻いてある贅沢な一品。脂身が少ないヒレ肉に脂身の多いパンチェッタの組み合わせの妙。香りも良くていい出来だ。

日はすっかり暮れた。昭和通りの左側に一際光輝く筋がある。最初に見たときは橋と思った。しかし、あの方向に橋があるはずがない。店の人に聞いたら中央通りと言われて驚いた。

店には悪いが、実はこの日本一明るい中央通の夜景が今日のメインディッシュだ。料理の評価を忘れて、しばらく中央通とその周辺の銀座・日本橋を見つめ続けた。

「君よ!あれが銀座の灯だ!」

ビーチェ東京
東京都港区東新橋1-8-1 カレッタ汐留47F
03-5537-1926

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2006年07月14日

[潮夢来](新橋)  手頃な高級中華

冨麗華の姉妹店が汐留にあると聞いて行った。

東麻布にある冨麗華は日本一美味しい中華料理店との評判が高い。連れて行ってくれたのは中国人の友人だったが、ちょうど上海蟹のシーズンでなかなか予約が取れなくて随分と苦労をかけた。

冨麗華は店の雰囲気、料理の質はもちろんだが、そのサービスに感激した。食べるのにてこずる上海蟹をきれいに捌いて食べやすくしてくれた。こちらが何も言わなくても、料理を全て個々人に分けて出してくれた。中華料理は大皿でドーンと出て好きなだけ取って食べるのがいいところだが、客との食事会だと皿に残った料理を譲り合い押し付け合いとなってしまう。他の店でウエイターに取り分けて出すように頼むと、嫌な顔をされて気分を害したこともある。

潮夢来も冨麗華と同じようなサービスをしてくれる。取り分ける方法なら、大皿をいくつも乗せるための大きなテーブルが不要だ。店にとっても意外と合理的な方法なのかもしれない。小さなテーブルなら収容人数も多くなるはずだ。大皿をいつまでもテーブルで遊ばせておく必要も無い。

さて潮夢来。待ち合わせの時間より早く店に入って、前もって料理を選ぶことにした。行ってみたら前に一度来た事があることを思い出した。そのときはランチだったが、冨麗華よりリーズナブルだということはホームページでも確認しているので選びやすい。店に着く前から料理の目玉は決めていた。北京ダックとフカヒレの姿煮である。

可愛い店員との相談が始まった。
まず五種前菜盛合せを決める。以前来たとき麻婆豆腐が美味しかったので、最後も決まった。白いごはんがいいと思ったが、麻婆豆腐にも合うさっぱりした高菜チャーハンがいい言われて従った。間にもう一品欲しいので、本場の酢豚を加えた。町の中華屋さんでは食べられない代物なので、お客様は驚き・喜ぶに違いない。フカヒレは2人前を3人で分けてもらうことにした。

準備万端、2人のお客様が相前後して到着した。

五種前菜盛合せ

フカヒレ姿煮

北京ダック

黒酢の酢豚

高菜炒飯と麻婆豆腐

どの料理も評判がいい。冨麗華と比較すると可哀想だが充分満足できる。なんたって、フカヒレの姿煮だってあるのだから。量も腹一杯プラスちょっとだけαというところだから完璧だ。コース料理ではないのでデザートもなく無駄が無い。満足、満足。


潮夢来
東京都港区東新橋1-6-1 日本テレビタワー1F
03-5568-1818
http://www.chuugokuhanten.com

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2006年07月12日

[越](新橋) 大衆割烹

気の置けない友と居酒屋に行った。

先日、「梅美津」を載せた時、兄に紹介されたのが梅美津の数軒先の「越」だった。階段を上り扉を開けると正面にカウンター席、右手に座敷のテーブル席がある。最近は座敷であぐらをかくのがきつくなってきた。そこで勧められた正面のクーラーの冷気が心地良い席ではなく、左端の席を選んだ。銀髪は壁を、友は冷蔵庫を背にすることができて楽チンだ。

まずビールと言ったら大、中、小のどれにするか聞かれた。永らく居酒屋らしい店に行ってないので無難に中を頼んだら、友は大を頼むという。そこでこちらも大に変更した。出てきたジョッキの大きさを見て二人ともニヤッとした。昔、ビアガーデンなどで散々飲んだ大ジョッキを思い出したためだ。最近、こんな大きなジョッキを使う居酒屋は少なくなった。

初めての店なので女性の店員にお奨めを聞いたら、人気ランキング表を渡された。そこで1番から順番に頼むことにした。「刺身もお奨めですよー」と言われて、気の弱い二人は断ることができない。友はしめさば、銀髪はマゴチを頼み、同じ皿に盛ってくるように言った。女性の店員に「この店の娘さん?」と聞くと、「他の人の娘さんです」と応える。可愛い顔して中年オヤジのあしらい方は堂に入っている。

人気ランキングは一番から順に、いわしのはさみ揚げ(620円) うわさのジャガ明太(620円) 豚の角煮(730円) 自家製がんも(600円) かにしゅうまい(730円) 牛アスパラ巻(780円) かに爪(780円)と続く。

いわし、ジャガ明太

いわしはミンチにしたものをシソで挟んで揚げたもの。ジャガ明太は熱い鉄板に細切りのジャガイモと、さらにその上に明太子を乗せる。鉄板が熱いうちにジャガイモと明太を混ぜ合わせて食べる。これらがトップ2に位置するのは頷ける。我が家のメニューに加えよう。

角煮、がんも、しゅうまい

牛アスパラ巻、かに爪、刺身

個人的にはかにしゅうまいを3位に上げたい。

ビールを飲み終わって焼酎を1本頼んだが、底にわずかに残ったところで満腹になりもう飲めない。いつの間にか店内は満員御礼。もちろん隣にもサラリーマンと思しき中年3人組。そこで余った焼酎のボトルを彼らに「飲んでください」と渡した。拍手喝さい、喜んで受け取る彼らと談笑しばし、今度は先方からお返しのステーキが2切れ来た。

双方でお礼を言って一期一会、袖振り合うも他生の縁。いやはや、野郎ばかりの居酒屋も楽しいもんだ。友の愚痴を聞く会も、いつの間にか単なる飲み会になって何の話をしていたか忘れている。嫌なことを忘れて、楽しくさせてくれるのが酒の最高の効用だ。


大衆割烹 越
東京都港区新橋2-9-17 雪村ビル2階
03-3591-6601

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2006年04月20日

[土佐家](新橋)  あなたの焼肉年齢は?

新橋で評判の焼肉屋さんに連れて行ってもらった。今日のスポンサーは8歳上の兄である。

グルナビにもヤフーグルメにも載っていない知る人ぞ知る店のようだが、個人のブログでは誰もが美味い焼肉屋と書いてある。新橋駅前の機関車から歩いてすぐの2階に店はある。新橋は銀座の隣町ながら狭い路地がたくさんあり、小さな飲食店がひしめきあっている実に面白い町だ。

まだ時間が早いせいか比較的空いている。席に着くとエプロンと上着を入れる袋を渡された。臭いが服につかないようにするための配慮で気が利いている。
兄は店員を呼び、量と肉質にちょっと迷った末に11,000円の上級セットを頼んだ。


  
最近肉を食べるときに、昔の映画か何かの中年男性と若い女の台詞をよく思い出す。
男「なんで借金までしてブランド物の服を買おうとするんだい?」
女「だって、お金が溜まるまで待っていたら、歳とって服が似合わなくなるじゃないの!」

若いときは食べ放題の焼肉屋によく行った。牛肉の輸入自由化は平成3年のことだから、食べ放題でもそれなりの料金はした。普通の焼肉屋に行くのは上司と一緒のときだけで、霜降りの焼肉なんてあり得ない。それなりに金ができて、霜降りの高級焼肉も食べられる余裕ができた頃には、脂が乗りすぎていて食べる気がしないのである。

先日、A5等の牛肉を友人が送ってくれた。サシがきれいに入った見事な牛肉だが、フライパンで焼くステーキは脂が切れずちょっと辛かった。焼肉にしたら溶けた脂が網の下に落ちて美味しく食べることができたが、それでも50歳を超えたらあまり多くは食べられない。

焼肉チェーン店で食べる肉は薄くてすぐに焼けるが、土佐家の肉はタンもロースも分厚く切ってあり食べ応えがあった。脂の乗りも銀髪にはちょうどいい。仲良く半分ずつ同じペースで食べていたが、途中から兄は食べなくなった。量なのか、脂の乗りなのか、はたまた前日呑み過ぎたせいなのか、兄の焼肉年齢は銀髪よりかなり上のようだ。

最後に食べたミノが意外と美味かった。銀髪の焼肉年齢も上がっているので、最近は脂が乗っているロースやカルビよりも、もつ類の方が美味しく感じる。残念ながら頼んだセットの量が多かったので、他のもつ類の追加はやめた。きっと美味いに違いないと思いながら、歳を気にしてセーブした。

若けりゃもっと食べるけど、若けりゃ金がなくて食べられない。若いときに借金までして最高級の肉を食べる勇気はないもんなー


土佐家
東京都港区新橋2-9-5 中銀ビル2階
03-3502-8929
http://tosaya8929.hp.infoseek.co.jp/frame.htm

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2006年04月19日

[梅美津](新橋)  上品な店できれいな食べ方

長崎出身の女将が切り盛りしている品のいい店に行った。

新橋・烏森神社の路地の前で車を止めると、連れは銀髪を伴って神社に向かう。鳥居の前で「申し訳ないので」と言いながら頭をチョコンと下げて境内に入っていく。こんなところに?と思っていると、すぐに神社左の路地に抜けていく。確かに通り抜けをしたら申し訳ない。

路地には銀髪好みの店が並んでいるが、左側の小路の奥に目指す梅美津があった。カウンター席に座りちょっと長崎訛がある女将と挨拶を交わした。長崎県の出身者や駐在経験があるような人が常連さんらしいが、銀座のクラブの「同伴」にも使えそうな雰囲気のある店だ。

料理は上品なお袋の味と言ったところか。どれも奇をてらわずやさしい味付けになっている。

それにしても感心したのは連れの食べ方の見事さだった。えびの唐揚を頭も残さずきれいに食べたのはまだ分かる。小あじの干物は女将が自分で干したものらしいが、横を見ると一匹丸ごときれいになくなっている。「頭まで食べたんですか?」と聞くと「当然です」と言われてしまった。負けじと銀髪も残そうと思っていた頭を食べたが、成る程苦もなく食べられて美味い。

聞けば鯛のかぶと煮も目玉や口元、頭などのゼラチン質のような類が好きだとのこと。銀髪と好みが一緒なので、どちらが食べるか喧嘩になりそうだ。

台湾に行ったとき、魚の蒸し物の頭と尻尾が主賓の銀髪にではなく、ホストの方に持っていかれたときは悲しかった。それをホストが口にしないのを見て今度は腹が立ったものだ。

長崎出身の女将らしく、食事は長崎皿うどん。これも手頃な量で品がいい。食べ終わって横を見ると連れの皿には揚げた麺のかけらも残っていない。なんともきれいな食べ方をする人だ。料理人も嬉しいだろう。それに比べて我が皿には麺のかけらがたくさん残っていて恥ずかしい。きれいに食べ尽くそうかと思ったときには片付けられてしまった。

最後は葛きりを食べた。甘い黒蜜は別になっているのでちょっとだけつけて、そうめんを食べるかのように口に入れた。冷たく喉ごしがよく、これなら銀髪でも食べることができる。

さて、お腹が膨れたところでショットバーにでも行きますか。この人になら、どっかいいところに連れて行ってもらえそうで期待が持てる。


梅美津
東京都港区新橋2-9-17
03-3597-8250

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2006年04月17日

[竹邑庵太郎敦盛(ちくゆうあんたろうあつもり)]  おばんざい&京そば

生まれてこの方、色んなそば屋に行ったがこんな型破りの店は珍しい。

そば屋と言えば、誰もが描くイメージがある。大きく型を外すところは滅多にないがこの店は違った。本店は京都にあると言うが、京都のイメージからはさらに大きく外れる。店内を見渡すと中華料理屋のイメージの方が勝る。店に流れる音楽はテレサ・テンが歌う演歌の名曲集だ。自分の持っている京都のイメージが間違っているのだろうか。

メニューも多彩だ。そば屋は蕎麦に入れる材料が多種のため酒の肴も多種できるのは判るが、この店の場合は蕎麦とまったく関係のない料理、おばんざいのオンパレードである。フカヒレだってあるのだから驚く。みんなが頼んだのは非常にオーソドックスな日本料理だった。

値段も良心的なので、居酒屋気分で来るサラリーマン客が多そうだ。若い連中だって安心して入って来られる。事実飲んでいる間に若い女の子二人連れが入ってきた。

だんだん店の雰囲気に慣れてもう驚くものは何もないと思っていたら、最後に本当に驚かされたのはやっぱりそば屋だったこと。蕎麦にはかなりのこだわりがある。まずネギがたくさん入った器が出てきた。ネギの横に山芋とその上にわさび、ネギの下には卵の黄身が入っている。

たっぷりの九条ねぎはまず酒の肴に(右)

これを混ぜてそばつゆを少しかけて酒の肴にする。酒は伏見の大吟醸。有名な銘柄ではないが大吟醸が不味かろうはずがない。

ネギは京都の九条ねぎで、ネギを食べてもらう料理と言う。ネギの味を楽しんだらそばつゆを足して蕎麦にとりかかる。そば殻ごと挽いたため色が濃い蕎麦(暖簾には黒いそばと書いてある)は、味はもちろんだが健康にもいいそうだ。一人前を5皿に分けて出してくれるので、食べ切れなければ分け合ってもいい。これを「追っかけ皿そば」と呼ぶ。足りなければ食べられるだけ追加できる。
店の名物「あつもりそば」はせいろで蒸した暖かい蕎麦だ。次回はこれを食べねばなるまい。

今日の連れと女将は昔からの知り合いらしく、丁々発止とことばをぶつけ合っている。女将は京都でクラブを経営していたそうだが、さすがに中年おやじの扱い方を知っていて負けていない。

銀髪の亡父は大学時代を京都で過ごしたため、母と喧嘩したときは決まって「俺は京女を嫁にもらうつもりだった」とぼやいていたが、ここの女将を見たら舞妓さんなどに代表される京都女性のイメージが崩れてしまった。天国の父に「九州女で良かったよ!」と言ってあげたいと思った。

まあ、行けば楽しく美味しい食事ができることは間違いない。

竹邑庵太郎敦盛
東京都港区新橋3-16-5(村上ビル1階)
03-5473-8803

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2006年03月08日

[おおたけ](新橋) 焼き鳥激戦区のルーキー

ルーキーと言ったら怒られるかもしれない。開店から早4年。まだ若い夫婦が切り盛りする焼き鳥屋へ行った。

(店名はそのままでも、経営者が変わりまったく違う店になっているようです。商売は難しいですね。 2008年8月29日)

またまた中学の同級生Nさんからメールが入ってきた。連日の朝帰りで胃が悲鳴をあげているのに誘われたら断れない。彼が絶賛する「おおたけ」は新橋烏森口から焼き鳥屋が林立する辺りを数分歩いたところにある。店は古いので老舗の焼き鳥屋かと思ったら、居抜きで入ったそうで比較的新しい店だ。小さな店で夫婦が手を取り合って頑張っているのが微笑ましい。

焼き鳥屋の善し悪しは肝で決まると言っていい。火が通り過ぎるとパサパサになるため、食感だけで嫌う人がいる。焼き鳥全般にタレ焼から塩焼きに味付けの主流が変わってきているのに、パサパサ感をなくすためか肝は今もタレで食べる人が多い。

焼かなければ肝は柔らかい。肝焼きを美味しく食べさせる店は、肝の刺身を置いている。中が生焼けのレア状態であれば食感も悪くなく、味もいい。そうであれば肝も塩味だけで食べるのも悪くない。

おおたけの刺し盛はささ身、砂肝、肝の三種。この肝であれば焼き鳥にしても美味いのは当たり前だろう。肝の刺身を置いている店ならば、他の部位の肉も生で食べることができるはずだ。肝だけでなく鶏の肉は火を通すと固くなる。刺身で食べることが出来る鮮度のいい肉ならさっと焼くだけで美味いに決まっている。

Nさんが絶賛するもう一品はつくね焼。鮮度で食べさせる他の焼き鳥と異なり、各店の技術やこだわりが出る品だ。鶏のひき肉に何を混ぜるか、塩とタレとどちらで食べさせるか、どの程度の固さに仕上げるかなどなど。

銀座路地裏の老舗「鳥長」では最初に必ずつくねが出てくる。つくねを看板にする店の代表格だろう。おおたけのつくねが鳥長のそれに追いついたのか、未だ追いつけないのか議論はするまい。好みは各人各様異なってあたりまえ。

注文を受けてから店主はつくねを串に付け始める。つくねにはきざんだ軟骨が入っており、心地良い食感がある。

しばらくしたら店は一杯になった。カウンターで一人飲みながら店主夫婦と談笑する常連さんがいる。焼き鳥屋にしては料理の種類も豊富なので、毎日通う客もいるに違いない。

夫婦だけで数十年の人形町「鳥長」のように、老舗への道を仲良く歩んで欲しい。

下の写真の料理に酒を加えて全部で10,600円。中年オヤジ3人組のお財布にもやさしい店だった。


 

おおたけ
東京都港区新橋3-13-2
一清ビル1階奥
03-3431-1316

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2006年01月07日

[台湾海鮮](東銀座)  薬膳鍋  

一昨日、昨日に続いてもう一つ鍋料理。
みんなが集まる。女性も一緒である。幹事役は店をどこにするか悩むところだ。食事には驚きも大切な要素。考えた末に薬膳鍋にした。

「台湾海鮮」に来たのは銀髪にとっては3回目。最初はrobert さんのアレンジで中学時代の仲間と行った。火鍋は銀座で、新宿で、そして上海などで何度も食べたことがあったが薬膳鍋=天香回味鍋は初めてで楽しめた。鍋が二つに分かれているのは他の火鍋と一緒だが、今まで食べたものとはちょっと違った。

天香回味鍋は60数種の純天然植物と多くの香辛料をじっくりと時間をかけて煮込んでいる。スープには胃腸を保護する成分が多く含まれているため、食後の胸焼け、胃もたれもないと説明される。これまで食べたことがある火鍋は麻辣鍋と呼ばれるものらしい。

麻辣鍋が二つに分かれているのは唐辛子が入っているかいないかで、好みによってどちらかを食べる。天香回味鍋も似た組み合わせだが、両方のスープを混ぜて食べる。片方の辛味は唐辛子ベースではあるが、味と香りの中心はカレーのそれである。肝臓にいいウコン(ターメリック)やクミン、その他にも体にいいものがたくさん入っているらしい。

具も薬効がある各種キノコやにんにく、しょうがなど豊富だが、店員の説明では具よりスープを飲むのがこの鍋の特徴だとのこと。普通なら具を追加するところだが、代わりにスープを注ぎ足してもらって、何杯もおかわりした。

みんな「初めての味を経験出来てよかった、美味しかった」と言ってくれた。幹事に面と向かって駄目だったとは言えないのかもしれないが、素直に聞いておこう。驚きを感じてくれたのは間違いない。

しかしあまりにも店の人が薬効を強調してくれたので、安心してスープより紹興酒のおかわりの方が多くなってしまった。

紹興酒は必須アミノ酸9種を含む18種類のアミノ酸を含んでいるため悪酔いしないと言われる。「これも薬効があるからたくさん呑んでも大丈夫」と勝手に解釈して盃を口に運ぶ銀髪でした。
本当かよ! 酔っ払い!

東銀座「台湾海鮮」
http://r.gnavi.co.jp/g959900/

本店「天香回味」は日本橋三越近くにある。
http://r.gnavi.co.jp/g959901/

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2005年11月07日

[かに道楽](新橋)  ズワイガニ漁解禁  

11月6日能登半島以西の日本海でズワイガニ漁が解禁された。いよいよ冬の味覚の王様が食卓に登場する?

蟹は美味い。どれも美味い。でも高い。どれも高い。
ズワイガニ毛がにタラバガニが近海物のトップクラスか。その中でも越前蟹、松葉蟹などと呼ばれるズワイガニが多分一番高い。グラム当たりの値段なら上海蟹の方が高いだろうが、身の美味さはズワイガニが一番。

いやいやタラバガニの身のほうが美味いと言う人もいるだろう。しっかりと引き締まった身は美味い。身が太くて食べ応えもある。内子、外子、みそも意外と珍味だ。

みそが美味いのは毛がにが一番か。いやいやズワイガニのみそも捨てたものではない。上海蟹のみその濃厚さは別格だ。

高足がにはテレビで見るだけで食べたことがない。伊豆に行かなければ食べられないのだろうか。

ワタリガニの身は白くて美しい。活きワタリガニを使った中華料理は絶品だ。韓国料理のワタリガニの刺身ケジャンもいい。

そうだ。オーストラリアのキングクラブも美味かった。片方の爪が妙に大きくて、この爪の身が引き締まって美味い。爪一個でも相当な量だった。

ストーンクラブマッドクラブなどの海外のかにもいいが、やっぱり地元で食べるべきなのか。

ときどき生きたカニを買ってきて料理をしたが家族には不評だった。なぜかうまくいかない。かに料理屋で食べる方が良さそうだ。

解禁前、かに道楽に行った。活かにを茹でてもらった(上の写真)。解禁前なので多分ロシアかカナダ産。手頃な値段だった。11月7日から松葉かにが入ってくるそうだが、いい値段だろう。
ニュースでは最高値が一杯3万円。とても手が出ない。

かに宿にでも行こうか。かに解禁のニュースを見るたびに今年こそと思うが、実現したためしがない。今年も夢のまま終わりそうだ。


かに道楽
http://www.douraku.co.jp/


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