2008年12月24日
[たん良]最終回
ありがとう、たん良

銀髪グルメ紀行の最終回ではないのでお間違えなく。大好きな赤坂「たん良」は今週末で閉店する。ご主人の体調不良のためだが、残念で仕方がない。見た限りはいたって元気そうで、回復に向かっているのがせめてもの救いだ。

ぐじ(あまだい)の刺身を初めて食べたのが10年前のたん良だった。メジマグロを京都ではヨコワと言うのもたん良で教わった。本格的なグルメ旅はここから始まったのだ。

藤九郎で銀杏にも名産地があることを知った。鮒寿しはここで好きになった。男たちは嫌がるのに、連れて来た女性たちはみんな喜んで食べた。女性のチャレンジ精神、適応力の凄さを知った。

琵琶湖名産のもろこもたん良で初めて食べた。琵琶湖の汚染やブラックバスの影響でいつまで食べられるか分からない貴重な魚だ。

いつも蒸し物、煮物中心に食べていたので、焼き物は避けてきたきらいがある。滋賀産と聞けば食べたのに鴨もうずらも最初で最後とは泣けてくる。

鯛の皮がパリッと煎餅のようになるのは今も不思議だ。これも食べられなくなる。トホホ…

まる鍋や、ああまる鍋や、まる鍋や。あー残念、残念。

最後の最後は葛きり。かぶら蒸しや吉野煮などなど、今回食べ損なった料理は多い。それでも最後の週に来れたのはラッキーだった。大物政治家も芸能人も、予約が取れずに涙をのんでいる。
壁にかかった銀髪の提灯を取り、紙袋に入れた。「元気になって、復帰してくださいね」と言って主人、女将さんと握手を交わす。
店を出ると見送りに出てきたご夫妻が頭を下げる。「おおきにー」の声を背中に聞く。振り向くと再び頭を下げてくれる。すべてがいつもと同じなのに、「また来ます」と言えないのが辛かった。
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2008年12月14日
[室町 砂場 赤坂店](赤坂)
メチャクチャ美味いのかな

口コミ情報の食べログで明治2年創業の室町 砂場本店より赤坂店の方が高い評価なのが気になっていた。赤坂に寄ったついでに念願の赤坂店に行った。
開店時間の11時半に到着。店の前の通りに黒塗りの車がたくさん停まっているが、口コミの言うように開店を待っているわけではなく、向かいの鹿島建設を訪れたようだ。一軒家のような小さな店に入ったら先客は普段着の1組のみだった。

かきあげがつゆに浸かって出てきたところで砂場の天ぷらがどんなものか思い出した。比較したいと言いながら、記憶が薄れてしまってからやって来るとは我ながらいい加減だ。そばの量にはあらためて驚かされた。疲れた胃を休ませるにはちょうどいい。
それにしてもそばの味はよく分からない。香りには敏感なつもりでいるが、そばの香りを嗅ぎ分けることができる人を尊敬してしまう。つゆはもう少し濃い方が好きだ。後味が悪くないのはいい。本店との優劣はおろか、星をいくつつけるべきか判断できない。
酒を頼まなかったことを後悔した。銀髪の後に入ってきた夫婦はビールを、その後に来た枯れた感じのおじさんは日本酒を頼んだ。近隣のサラリーマンよりグルメ本を頼り来たような客が多い。鹿島建設で会議を終えた黒塗りの主と思われる紳士が、数人を引き連れて座敷に上がる。12時過ぎにはほぼ満席になった。
「寿司幸本店」に置いてあるような爪楊枝には感心した。名前だけで高い値段を取っているわけではない。料理の素材はもちろん、随所に名店のこだわりがあるのだろう。
それでもやっぱり星の数は分からない。
室町 砂場 赤坂店
東京都港区赤坂6-3-5
03-3583-7670
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2008年11月19日
[コール・ド・ルージュ](赤坂)
カジュアルな赤坂のマキシム

自他共に認める天邪鬼。話題の赤坂サカスなんか行くもんか、と思っているうちに時が過ぎた。マキシムの銀座本店から赤坂店に異動になった店員に「必ず行くからね」と約束したことは、ずっと気になっていたけれど…
赤坂でふぐでも食べようかと歩いていたらきらびやかな建物が目の前に現れた。「これが赤坂サカスか」と好奇心で目を輝かせているとワインバーから声がかかった。ワイン好きの相手をおだてると、簡単に宗旨替えをした。

ビールで喉の渇きを癒やした後、ワインに取り掛かる。ワインメニューは遊び心があって実に面白い。グラスの足に上の写真のような名刺大の札が掛けられている。もちろん、記念に持ち帰ることが出来る。
生ハムサラダ、バーニャカウダ

カジュアルな店に合わせて気楽な料理を頼んだが、思ったより美味しい。バーニャカウダのソースを余らせてはもったいないので頼んだパンが、滅茶苦茶いけると連れが感激する。
パン、牛肉のカルパッチョ

肉に合わせてちょっと高めの赤ワインを頼んだ。食べながら、飲みながら、話しながら、ワインリストを何度もめくる。オーパスワン、ラトゥール、ムートンなど後ろのページになるほど高級になり、100万円弱のロマネコンティまである。
赤坂でこんな高いワインを飲む客がいるのだろうか。湧き上がった好奇心に突き動かされて一番利発そうな店員をつかまえた。「赤坂にも私が勤めていた銀座の店以上のお客様がいます。恐るべし赤坂ですね」と言う。「銀座のどこに勤めていたの?」「マキシムです」「エッ!?」と名札を見る。何と「必ず行くからね」と約束した落合さんである。いや、落合君と呼ばせてもらおう。実に気持ちのいい若者である。
「入店されたときから分かっていました」と言われたら会わす顔がない。自分から声をかけるのは失礼だと思い遠慮していたとのこと。「カジュアルなユニフォームなので見違えた」と言い訳した。それからの会話の楽しかったこと。2階のレストランも見学させてもらった。
高級ワインがあるのも、パンが美味しいのもマキシムの支店なら不思議ではない。コール・ド・ルージュは銀座のマキシムの水準を求める客には物足りなく、赤坂の若い客には高すぎるかもしれないが、これからどのように折り合いをつけていくか楽しみではある。
何の気なしに入った店に落合君がいた。神様の存在を信じてもいいような気がした。
コール・ド・ルージュ
東京都港区赤坂5-3-1 赤坂Bizタワー マキシム・ド・パリ1F
03-5545-4505
http://www.maxim-s.co.jp
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2008年10月21日
[たん良]⑥(赤坂)
名店の味を記憶に留めたい

料理屋ではたん良が当ブログ最多出場を誇る。過去3年で800軒以上で夕食をとったが、依然として好きな料理屋トップテンに居る。そのたん良から葉書が来た。季節柄「松茸が入りました」「天然ふぐ始めました」などの案内が多いので、たん良なら「まる鍋始めました」かなと思ったら違っていた。
ご主人の体調不良のため12月26日を以って店を閉めると書いてある。驚いたのなんのってすぐに電話をしたら女将さんが出てきた。早速行くことにした。もちろん既にまる鍋は始まっている。
お通し、刺身盛合わせ

たん良は季節ごとに異なる料理以外は殆どメニューに変化はない。従って行く度に違うお通しは楽しめる。もっとも定番の料理が中心といっても、種類が多いので一度に食べきれるわけではない。
鯛の皮、松茸フライ、かぶら蒸し

初めての人には必ずかぶら蒸しを頼んであげる。伝統の料理をいつも客の記憶どおりの味に仕上げる腕にはいつも感心する。ご主人は、薬を飲んでいないので味覚は研ぎ澄まされたままと嬉しそうに笑う。針による治療と休養でゴルフができるまでに体力は回復してきたという。
藤九郎、土瓶蒸し、稲穂

松茸がたっぷり入った土瓶蒸しは、これまで食べたものとは別物と連れが感嘆する。鯛の皮、藤九郎銀杏、揚げた稲穂、初めての人は誰でも喜ぶ素材、技術、遊び心である。
まる鍋、卵

雌のすっぽんだったそうで、卵を食べる幸運に恵まれた。鍋に入れると熱ではじけるので慎重に慌てて食べる。
「ご主人が休養中に丸なべが食べたくなったらどの店に行ったらいいんですか?」と聞いたが答が返ってこない。「治ったらまた店を再開します」の言葉を信じて待つしかなさそうだ。
壁にかかる銀髪の名が書かれた提灯を記念に持って帰ってくださいと言われたが、「年内にまた来ますよ」と断った。閉店まで2ヶ月余もあるというより、たった2ヶ月しかない。いろいろな思い出と共に、名人の味をしっかりと記憶に残していきたいものだ。
赤坂 たん良
東京都港区赤坂3-7-15
03-3586-1914
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2008年06月28日
[木都里亭](溜池山王)
健康保険組合の料理屋

飲み放題付きの食べ放題が何と3,000円。鯛の活き造りや一匹丸ごとの香草焼がデーンと構える。刺身、オードブルなど前菜類が豊富にある。

別のコーナーでは料理人がサービスしてくれる。しゃぶしゃぶ、天ぷら、寄せ鍋、ビーフシチューもある。


安かろう悪かろうではない。素材も味も悪くない。これなら絶対お奨めだと言いたいところだが、誰でも行ける訳ではない。関東ITソフトウェア健康保険組合の被保険者やその扶養者のための保養施設なのだ。
この組合は(社)日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会を設立母体として昭和61年に設立された。大企業を含め福利厚生施設を売却したりする組合が多いのに、さすがに新しい業界は勢いがある。
数十年前になるが、以前勤めていた会社の保養(宿泊)施設を何度か利用した。まだ若かったので、食堂で一緒になるのは年上ばかり。大企業なので面識はないけれど、いつか直属の上司になるかもしれない人を前にして気疲れしたものだ。
もっと嫌だったのは施設の管理人(兼料理人)の横柄さ。彼らも社員なので、若い人に偉そうにしたがる。もちろん素晴らしい管理人が殆どだが、嫌な奴に当たったら悲劇だ。
関東ITソフトウェア健康保険組合には約5,500社が加盟しているというから、大企業の組合と様子が違うようだ。同じ会社の人と鉢合わせすることは滅多にない。羨ましい限りだ。
一般人でも木都里亭を利用する方法はある。被保険者と一緒に行けば1,000円増しで楽しめる。
他にも似たようなところがあるはずだ。探してみよう。持つべきものは友達だ。
木都里亭
東京都港区赤坂2-5-6 山王健保会館
03-5570-1803
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2008年06月12日
[ストックホルム](赤坂)
スウェーデン料理のバイキング

昭和30年代前半、帝国ホテルが食べ放題のことをバイキングと名付けて世に広めた。そのモデルとなったのがスモーガスボード。スウェーデンなど北欧の料理なので、帝国ホテルは日本人が覚えやすい「バイキング」にしてしまった。今ではバイキングよりビュッフェの方が一般的になり、本家本元のスモーガスボードの呼称は脇にやられてしまったままである。
レストランストックホルムは日本で唯一のスモーガスボード専門店とのこと。前々から行きたかった店である。ようやく1700年代より伝わるスウェーデンの伝統料理・スモーガスボードを味わうことができた。

常時60種類以上の料理がある。スウェーデン料理の代表的なものがニシンを使ったもので、上の写真の皿の手前に6種類並べた。基本はマリネ・酢漬けで、これをマスタード、ハーブ、トマト、ホースラディッシュ、バルサミコ酢など色んなソースに漬け込んだものがある。

せっかくだから、お代わりの皿にもニシンを乗せて、スモーク鱈、スモークサーモン、グリーンランド産甘海老ボイルなどたくさん盛った。
2皿目をたいらげながら、テーブルの上に置いてあるスモーガスボードの食べ方・解説書を読んだ。
「スモーガスボードの食べ方には、スウェーデンの伝統的な様式があり、例えばお皿の数が多ければ多いほどマナーが良いとされている、などがあります。たくさんの料理を少しずつ味わっていくことが重要となりますので、一度にたくさんの料理を取らずに、お皿には少しずつ盛りつけていき、テーブルとスモーガスボードを何度も往復しましょう。」
今更分かってももう遅い。「お皿をたくさん汚したら、使う洗剤も多くなり環境汚染につながる。」と負け惜しみを言って自らを慰めた。
温かい料理もなかなかボリュームがある。白いソースをかき回してスパゲティにかけたら、丸ごとのホタテがごろんと転がり落ちた。

最後はチーズ。ノルウェーのゴートチーズ、デンマークのクリームチーズやブルーチーズなどを食べる。もちろんケーキやアイスなど甘いものもある。ここまで来ると腹が重くて動くのが嫌になる。

ホテルのバイキングと比べると、こじんまりした空間で最初は拍子抜けするが、内容はこちらの方が上と思う。海賊よろしく豪快にスウェーデン産のリキュール・アクアビット(生命の水)をあおれば、楽しさは倍増する。
レストラン ストックホルム
東京都千代田区永田町2-14-3 赤坂東急プラザ1F
03-3509-1677
http://www.stockholm.co.jp/
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2007年11月28日
[十和田](紀尾井町)
ホテルニューオータニにあるそば割烹・十和田に行った

十和田の浅草本店は漫画「美味しんぼ」で紹介された名店だそうで、家に帰ってネットでチェックして初めて知った。浅草本店に以前行ったことがあると気付いたのは、さらに地図を見てからというのだから迂闊だった。ホテルに支店があるぐらいだから、浅草本店もかなり立派な店と勘違いしていた。
ニューオータニ店は「樹齢400年の秋田杉の薫り漂う店内」と紹介してあるように、ごつごつした椅子まで立派である。違和感のある重い杉の木の椅子に、5分もすれば慣れてしまうのだから我が臀部も適応力があり立派である。
海外からのお客様と昼飯に入ったので、ちょっと通ぶる。「そば屋では酒を飲まなければならない」と真面目な客を説得し、メニューを開いて驚いた。エビスの小瓶が840円もする。ビールで喉を潤し日本酒に進んだが、どれもビールと同じ驚きを突きつけられた。
ホテル料金の高級そば屋だとこのとき初めて気付いたアホな銀髪。
客を説得した手前引き下がれずに、仕方なく高額な日本酒を頼んだ。お通しのそばみそに怪訝そうな顔をする客を見て、気を取り直して講釈をたれ始めた銀髪。なかなか気に入ったようだ。
野菜の天ぷらを食べながらしばらく飲んでから、そばを食べることにした。

もりそばを勝手に頼む。。「なぜ海苔が乗っていないのか?」と聞いてくれるので、ますます楽しく通の食べ方の講釈をする。素直にうんちくを聞く客に銀髪はご満悦である。
パンフレットを見ると、「十和田のそば粉は、十和田湖周辺のものを仕入れて、ホテル内の製麺室で打ったうち立てのそばを使用する」とのこと。海苔を乗せなかったのが良かったのか、これまで食べたそばの中で一番美味しいと客も上機嫌である。調子に乗って十割そばや、二八そば、更科などの説明を長々としてしまった。
伝票を取って立ち上がり、出口で料金を払った。店員に「ここは十割? 二八?」と聞いたが答えられず、慌てて調理場に走ろうとするので制止して店を出た。
もしかしたら店員はホテルマン? 経営はホテル? 「浅草」の文字は間違いなく銀髪を惹きつけた。ニューオータニにしてやられたのかもしれない。
夜のメニューを見ると神戸牛、比内地鶏、河豚など高級食材が並ぶ。浅草本店は大衆的なそば屋だが、ニューオータニ店は「高級割烹で美味しいそばも出す店」と心得た方が良さそうだ。
浅草 十和田 紀尾井町店
東京都千代田区紀尾井町4-1 ホテルニューオータニ・タワーロビィ階
03-5276-5050
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2007年11月26日
[たん良]⑤(赤坂)
口は災いの元? 福の元?

仕事の話のつもりがいつの間にか食べ物の話になる。いつもお決まりのパターンである。最初は相手の話を聞いているが、「スッポンなんか美味しくない!」なんて言われるともう堪らない。「それじゃあ、今度連れて行ってあげますよ!」と言ったところで相手の策略に嵌まったことを知る。
たん良は変わらない。メニューは夏の鱧、冬のすっぽんなど季節で少し変わるが、基本的にはいつも一緒だ。大将も女将さんも齢を取らない。壁の提灯が少し増えたようで、年に数回しか来ない銀髪の提灯も同じところにある。
お通し

季節を感じさせるお通しだけは毎回違う。
刺身

よこわ(メジマグロ)、ぐじ(アマダイ)、赤貝、鯛、貝柱。刺身の盛合わせでも京料理の伝統を守っている。
フナ寿司

たん良で食べさせると誰もが美味しいと言う。1年物なので臭みが少ないとそうだが、品質の違いもあるのだろう。
吉野煮、蕪蒸し

二つとも葛粉でとろみをつけて似ているが、具の違いを楽しめる。
まる鍋

いつもと変わらぬ澄んだスープ。プリンプリンの癖のないスッポンの身とタップリのコラーゲン。どうだ参ったか!
相手の笑顔を見たら懐の寒さは気にならない。いつものように大将・女将2人の「おおきに、おおきに」の声に見送られて外に出た。まる鍋で温まり、外気の寒さも気にならない。
さて、これからどこに行こうかと思案していたら、なんと相手が次の店は持ってくれると言う。口は災いの元のはずが、転じて福となった。これも美味しいたん良の料理のお陰だろう。
メデタシ、メデタシ
たん良
東京都港区赤坂3-7-15
03-3586-1914
PS
江戸ねぎまさんのコメント、ドンピシャのタイミングでした。たん良ともども銀髪グルメ紀行をよろしくお願いします。
ミシュランより銀髪グルメ紀行を愛してくれる皆様、本当にありがとうございます。これからも食べ歩き頑張ります。ミシェランではなくミシュランでしたね。優しい皆様、重ねてありがとうございます。
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2007年08月22日
[Botanica ボタニカ](東京ミッドタウン)
大好きなウエイターを追っかけて

グルメ紀行を始めてフロアスタッフの重要性に気付いた。教えてくれたのは「SHIZUO TOKYO」の中田さんだった。高名な井上静雄シェフの料理の妙だけでなく、自らの思いも的確に伝えてくれたことにより料理に命が宿り、店は輝きを増した。その中田さんが店を替わると手紙をくれた。しばらくして彼が移った店がオープンした。東京ミッドタウンの予約が取れない店「Botanicaボタニカ」だった。彼と再会するのが至難だと知って失望した。
ミッドタウンのオープンから4ヶ月以上が経過した。相手の都合で8時を回ってしまったため、もしやと思って行ってみるとピークを過ぎた店内は空き始めていた。入り口で中田さんを呼んでもらった。数分後に現れるなり笑顔が満面に広がった。がっちりと握手をする。嬉しい再会だった。
オリーブ、パン

中田さんのサービスで心地よい食事がスタートした。
数種類のオリーブを食べながらビールを飲む。そば粉を交ぜて焼いたパンをオリーブオイルにつけて食べる。塩気はオーストリア産のローズソルトで補う。
テーブルの飾りかと思ったグラスの中のハーブ(タイム、ミント、ローズマリー)をちぎってオリーブオイルにアクセントをつけるように奨められた。店名のボタニカは植物を意味する。ハーブ類は窓の外の菜園でスタッフが育てたものだ。どれもこだわりがある。
キッパーとジャーマンポテトサラダ フライドエッグと共に

自家製の燻製にしん(キッパー)が美味い。もちろん添えてある野菜も。
フォアグラのリゾット トリュフソース

1品を2つに分けてもらうには10%の上乗せ料金を払うのがこの店のシステムだ。SHIZUO TOKYOのような高級店に比べると、ボタニカは意外とカジュアルで席数も多い。10%はサービスの公平感を維持する面白いシステムだ。
濃厚に感じるリゾットの一皿は半分で丁度いい量だった。大変美味しい。
ボタニカ特製のローストビーフ

ボタニカはフレンチの「ひらまつ」のグループ店だが、イギリスのコンラングループとのコラボレーションで生まれた店でもある。そこで自慢料理はローストビーフ。ソースを断り、塩胡椒、ホースラディッシュ、マスタードで食べてみたが、この店のローストビーフはソースをかけて完成品のようだ。ソースをかけた方が美味い。
ハーブティー

お茶を頼んだら数種類の茶葉が入った箱を見せられた。ハーブティーはボタニカのオリジナル品。お茶好きの人は小躍りしそうだ。
食事の間、常に中田さんが目を配ってくれた。ゆっくりサービスできる時間帯だったのが幸いした。それでも彼が忙しいときは星野支配人がカバーする。20年近くコンビを組んで来たと言うだけに、2人は信頼と尊敬で結ばれているようだ。
食後にデザートを頼もうとしたら既に中田さんは料理長に頼んで立派なものを用意してくれていた。フロアと調理場のコミュニケーションも素晴らしい。

食事が終り、ガーデンテラスを案内してもらった。4階とはいえ高台にあるため素晴らしい夜景が広がる。秋風が吹く頃には店内よりも人気になるだろう。
忙しい一日が終りに近づき、安堵と満足感を漂わせるスタッフたちがお見送りしてくれた。「やっぱり中田さんが僕にとってはナンバー1です」と言ったら、「褒めすぎですよ」と星野支配人が笑う。
本当に楽しい夜だった。
ボタニカ
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガーデンテラス4階
03-5413-3282
http://www.conran-restaurants.jp/botanica/
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2007年07月28日
ローストビーフ 赤坂プリンスホテル
バイキングでローストビーフ

バイキングやパーティーでの主役は昔も今もローストビーフ。牛肉の輸入解禁は1991年だから、それ以前のローストビーフはもちろん和牛。牛肉を食べることは年に数度しかなかった。
すき焼きで肉を奪い合った思い出を持つ人は多いだろう。1978年、就職が内定して会社からご馳走になったのがすき焼き。貧乏学生には美味し過ぎてコロリと懐柔された。入社後は地獄の日々が待っていた。
輸入牛も日本向けの穀物飼育で美味くなり、「わらじのような」という表現もなくなった。もっとも、わらじを食べた人が居たとは思えない。チャップリンは黄金狂時代で靴底を煮て食べたけれど。

赤坂プリンスホテルの昼食バイキングに行った。昼食なので値段が安いが料理の種類も少ない。まずはオードブルなどを数種類食べたが、目玉になるような料理はローストビーフしかない。
ローストビーフ

「オージー・ビーフですか?」と聞いたらちょっと間を置いて頷いた。別に引け目を感じることはない。帝国ホテル、第一ホテル、ホテルニューオータニ、どの一流ホテルもオージービーフを使っている。
1985年からオーストラリアに住んだが、日本からの出張者を必ずローストビーフの店に連れて行った。牛肉に飢えた彼らを喜ばすためだが、量の多さに音を上げるのを笑うためでもあった。銀髪も赴任してすぐに連れて行かれて笑われた。そして教えられたのが、よく焼けた端っこが美味いということだった。
端っこ

塩・胡椒をすり込み、落ちた肉汁を丹念にかけられた外側の肉が一番美味しいところだ。ステーキでは敬遠するウェルダン(well-done)だが、ローストビーフではここが一番いい。オーストラリアでよくしたように、ソースは遠慮してマスタードを持ってきてもらった。ミントのゼリーでもあれば、ホースラディッシュと3種類の味を楽しめ、オーストラリアの思い出に浸れたかもしれない。
和牛のローストビーフの外側(カブリ)を最近では唯一「SHIZUO TOKYO」で食べた。あれは滅茶苦茶美味かったなー。
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2007年06月22日
[千羽鶴](ホテルニューオータニ東京)
料亭の千羽鶴に行った訳ではないけれど…

稚鮎

赤坂のホテルニューオータニで開かれたパーティーに行った。会場を一回りしてこの日一番の目玉が料亭「千羽鶴」の出し物・稚鮎の塩焼きと決め付けた。主催者の挨拶が終わるやいなや、稚鮎に直行してまず一尾を食べた。
それから会場を2周ほど回った。毎年招かれるパーティーだが、年々知った顔がいなくなる。ひととおり知った顔と会話をした後の関心は食事に向かう。
カツサンド

ニューオータニの洋食・カフェ部門からの出張のようだが、目の前でトンカツを揚げ、熱々のカツサンドを供するとは珍しい。滴るソースが服を汚さないようにして一流の味を楽しんだ。
そば

浅草十和田もニューオータニに店を構える。客が寄りつかず可愛そうなので一つもらった。「お店の人?」と聞いたらアルバイトだった。一流の経済人が集まるパーティーで、アルバイトの店員に任せるとは大胆な店である。つゆで蕎麦をほぐすのに苦労した。客が来ないのも頷ける。
テーブルに並んだ料理をいくつか食べて、再び稚鮎の焼き場に向かった。この時期にしか食べられない貴重な稚鮎なのにまったく人気がない。もう一尾食べたところで、板さんに声をかけた。千羽鶴に所属するものの、主にパーティーの担当だそうで、名前は峰岸さん。卵はいらないからと断り、今度は2尾を皿に盛ってもらった。

食べて、喋っている間に誰もやってこない。峰岸さんの嘆くこと、嘆くこと。折角の季節の物を日本人は知らない・食べたがらない。「先日のパーティーで6尾も食べた人がいた」と峰岸さんが言うので、もう2尾を食べた。これでタイ記録だ。峰岸さんが喜ぶのでもう1尾。これで新記録。ようやく客が1人やってきて2皿(1尾ずつ)を持って行った。「骨も食べられますか?」と聞くのでちょっと驚いた。
峰岸さんが新たに焼き始める。オイオイ、そんなに焼いてどうするの?

焼きあがっても誰も来ない。このまま冷めるにまかせるわけにはいかないと、もう2尾食べた。「凄いですねー」の峰岸さんの声に乗せられて更に2尾。全部で11尾を食べてしまった。「この記録は絶対破られませんよ!」と言われて有頂天になったアホな銀髪。
和歌山産の稚鮎は朝まで泳いでいた上物らしい。料亭「千羽鶴」で食べたらいくら取られるのだろうか。
お腹一杯になったので、パーティー会場を出てニューオータニの見事な庭園を散歩した。
数組の恋人たちを追い抜きながら、1人で歩くのはちょっと寂しかった。
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2007年06月21日
[明治記念館ビアテラス 鶺鴒(せきれい)](信濃町)
クーラーの風を逃れて庭園でビールを

最後にデパートの屋上で大ジョッキを飲んだのはいつのことだったろうか。昔は夏になると涼を求めてよく行った。特大の大ジョッキに枝豆、焼き鳥、唐揚げ、フライドポテト、焼きそばなどのしけたつまみでも嬉しかったが、やがてどの店にも空調が完備するようになって廃れていった。多数の大ジョッキを1人で運ぶ名人芸を見ることもなくなった。
「ビアガーデンに行こう!」と連れて行かれたのは明治記念館。結婚式場の印象しかなかったが、和洋中と立派なレストランがたくさんある。ビアテラスは緑の芝生がまぶしくて、想像以上にいい雰囲気である。
ソーセージ盛合せ

ビールならソーセージ。パブロフの犬さながらによく躾けられたのん兵衛だ。レストランの思惑にまんまとはまる。
冷しトマトと白アスパラ

いまだにトマト1個に数百円を支払うのに疑問を持つが、肌にいいリコピンが豊富と聞けば頼んでしまう。男だってエステに通う時代である。
最近流行りの白アスパラには素直に喜んでしまう浅はかさ。昔は缶詰が高級品で憧れだった。
庭園ではショータイムが始まった。2人の芸者さんが芝生の上で日本舞踊を踊りだす。あまりに遠くて美人かどうか判別できないのがいいのか悪いのか。品の良さと話を邪魔しない雅楽が好ましい。
オクラの揚げ物

何がなんでも変わったものを食べなければならないのが銀髪の宿命。オクラは蓮根をすり潰したもので覆われ、海苔を巻いて揚げてある。これは美味い。今度家でやってみよう。
山芋ステーキ

これも家のレシピに加えることが出来そうだ。最近、鉄板焼きなどにする機会が多いので予想どおりの料理だが、味付けは参考になった。
トイレを我慢できる程度のビールでお開きにしてタクシーに乗った。品のいい庭園で飲むには丁度いい量だと思ったが、二次会の目的地に着いたらわれ先にトイレに駆け込んだ。明治記念館のきれいなトイレで済ませればいいのに、まったく酔っ払いはしょうがない。
明治記念館ビアテラス 鶺鴒(せきれい)
東京都港区元赤坂2-2-23
03-3746-7723
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2007年05月30日
[さんだ](赤坂)
内臓肉が好きな人は行くべし

欧米に比べて豊かな海産物に恵まれた日本には動物を食い尽くす知恵が欠けている。もつ鍋などもあるが、焼肉以外で内臓肉を食べる機会は殆どない。従って、さんだの料理も創作料理が多い。新鮮な牛の様々な部位をどのように使うのか、ワクワクして出かけた。
赤坂見附の駅から一ツ木通りを少し歩くと右側に黒い塀が見えた。お目当てのさんだはすぐに見つかった。6時前なので一番乗り、カウンターの中の板さんを独占した。板さんはなんとミャンマー人のTunさんで、日本滞在5年、日本語も流暢に操る好青年だった。
アキレス腱、ハツモト、つくね

アキレス腱はふぐの皮のようだ。ハツモトは大動脈のことで、コリコリとした食感がいい。喉の軟骨入りのタンのつくねはかつおと昆布のスープで煮込んである。
ハチノス、レバー、子袋

ハマグリの器は女性自身と子袋の子宝盛り。以前は男性自身と3点盛りにしていたそうだが、男性に評判が悪くて2点盛りになってしまったとか。Tunさんではなく女将が楽しそうに解説してくれた。
刺身三種ハラミ、ハツ、レバー

新鮮な肉は美しい。素材に対するこだわりはよく分かる。
牛すじ、ほほ肉、みの

ヤーン(2~3胃袋の継ぎ目)、すい臓、鍋

タン、ギアラ、シビレ

鍋でタンのしゃぶしゃぶなどを作ってくれた後に、ラーメンを食べる。デザートは胡麻のアイスクリーム。
あれこれ味を説明するのは難しい。興味のある人は行くべし。6,500円のコースのみなので、注文に悩むことはない。Tunさんの人柄にも惹かれた。独身の彼に合う人はいないかな?
さんだ
東京都港区赤坂3-19-3
03-5570-1129
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2007年03月20日
[ラビーノ](赤坂)
比較的気楽なイタリア料理店

ラビーノはリストランテだという。イタリアに行ったことがないので偉そうなことは言えないが、オーストラリアではリストランテはかなり高級でマナーにうるさい店と思っていた。ネクタイ、ジャケットの着用が義務付けられており、料理にスパゲッティなどのパスタ類はわずかしかなかった。
リストランテは日本で言えば料亭に当たると思っているので、どうもラビーノがリストランテと言われてもピンと来ない。気軽でリーズナブルな料亭なんてあまり聞いた事がない。
もっともランチに行ったので店の本当の評価はできない。真価は夜に見せると怒られるかもしれない。
サラダ、パスタ

魚料理、肉料理

2,000円のランチコースは魚か肉かどちらかを選ぶことになっている。立派なパンも出てきたのでかなりお腹は一杯になる。1,500円の飲み放題をつけて意地汚くビールをたらふく飲んだので腹は満杯になった。
それでもスパゲッティを食べたいをと言う輩がいて、コース外で注文することにした。リストランテだろうが何だろうが、とにかくイタリア料理屋でスパゲッティを食べないと気がすまないのだ。こんなところにも、日本でリストランテがスパゲッティをメニューから外せない理由がある。郷に入れば郷に従えだ。
ちなみにイタリア料理店にはリストランテ、トラットリア、ピッツェリア、オステリアなどの種類がある。トラットリアとは食堂、気軽に入れる店でフランス料理屋ならビストロに相当する。オステリアとは居酒屋や大衆食堂を意味する。ピッツェリアはピザやスパゲティの専門店で日本で言えばお好み焼き屋や町の中華料理屋さんのイメージだ。料亭にラーメン・餃子がなくて怒る人はいない。以上が教科書的説明。
結局、スパゲッティはサービスにしてくれて追加料金は取られなかった。こんなところにも、ラビーノは格式張ったところがなくて好感が持てた。
デザート

最後にデザートを食べてお開きに。リストランテと言おうが言うまいが日本で気にする人はそんなにいない。要は美味しく楽しく食べられればそれでいい。
日本人で料亭に行ったことがない人が多いように、イタリア人でもお国でリストランテに行ける人は少数だろう。日本でリーズナブルにリストランテに行けて感激するかもしれない。
リストランテ ラビーノ
東京都港区赤坂4-2-3 ディアシティー赤坂一ツ木館2F
03-3582-6111
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2007年03月19日
[たん良]④(赤坂)
今シーズンのスッポンもそろそろ終わり、春の献立も楽しい

先日京都の「たんたか」に行ったのにスッポンの丸なべを食べ損なった。もうじきスッポンもシーズンが終わるので、たん良に行くことにした。
店に入りカウンターに座るや否やたんたかの名を出した。大将、女将さんと共に大いに盛り上がった。待ち合わせのお客様が来るまでビールを頼むのすら忘れていた。
お通し、お造り

お造りはかつお、たい、ぐじ(甘鯛)。かつおは8キロもある大型のもの。銀髪にとっては初がつおだ。「たんたかでヨコワガツオというのが出たけれど、メジマグロだと思った」と言ったら大将は「そのとおりです」と言う。たんたかでは言下に否定されたが、京都人はメジマグロの名称に馴染みがないらしく、銀髪の言ったのが正しかったのだ。我が舌を自画自賛。
鯛の皮、もろこ

鯛の皮焼きはいつもながらピンと張って美しい。くるまらずにせんべいのように焼けるのが本当に不思議だ。
もろこは子持ち。腹にはパンパンに卵が詰まっていた。
みぞれ蒸し、蛤

吉野煮に良く似ているが、蛤、あさり、聖護院蕪などが入り、吉野葛でとろみをつけることはない。立派な蛤で実に美味い。この他に定番の蕪蒸しや鮒寿司を食べて、最期はお目当てのスッポンの丸なべ。
まる鍋

「いつまでやるんですか?」と聞いたら、「4月一杯まで出来ると思います」との返事。スッポンの終了日を決めるのは服部さんとのこと。どこの服部さんかというと浜松の服部中村養鼈(べつ)場のことで静岡県浜松市舞阪町で103年の養鼈の歴史を誇る。化学飼料、化学物質は一切使用せず、3年4年と冬眠を重ねてじっくり育てるそうだ。
ここが各料亭などへの供給時期や供給量を決める。年中供給されるのは京都のスッポン専門店「大市」だけ。この店は元禄年間に創業以来330年、スッポンのみを扱っている老舗中の老舗。京都百味會http://www.digistyle-kyoto.com/hyakumikai/hyakumikai.htmにも名を連ねている。
多分、今冬最後のまる鍋を楽しんで、京都の料理屋の情報も仕入れた。相変わらずの楽しい会話と確かな料理。いつ来ても満足するたん良であった。
たん良
東京都港区赤坂3-7-15
03-3586-1914
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2006年11月28日
[たん良]③ (赤坂)
冬のたん良がやってきた。
はもが美味しい夏のたん良、土瓶蒸が嬉しい秋のたん良もいいが、やはりたん良は冬がいい。11月になるとすっぽんの丸なべが食べられるようになる。大事な相手との食事なら、たん良に行けば必ず満足してもらえる。
付け出し(栗、白和え、にし)

栗の渋皮を思わず剥きそうななるが、これはそのまま食べる料理。甘い栗はどちらかと言えば苦手な食べ物だが、これなら問題ない。
鯛の兜焼き、お造り

焼くのに時間がかかる兜焼きは、予約のときに頼んでおいた。出自がちゃんとしている上等な鯛なら味は保証つきだ。目と口のゼラチン質が堪らなく美味いが、今日は譲って我慢した。
お造りはかつお、たい、ぐじ、赤貝。魚に合わせて醤油、ポン酢などの小皿が出される。今まで気にしていなかった付け合せも、相手が食通だと違った展開になる。山椒の花は高価なものらしく、残さず食べるべきものと知った。飾りと思ってこれまで食べなかった超ミニの胡瓜をかじってみると、しっかり胡瓜の味がして驚いた。
ぎんなん(岐阜の藤九郎)

箸休めに何気なく頼んだぎんなんも、「トークローです」と言われて出されたら興味が湧いてくる。岐阜産のぎんなんは粒が揃っていて光沢がある。収穫量が少ない高級品である。焼き鳥屋で串に刺されて出てくるものとは物が違う。
吉野煮、蕪蒸し

芳野煮とは吉野葛でとろみをつけた料理だが、紅葉の京都を連想させる美しい一品である。
蕪蒸しは銀髪一押しの料理だが、蕪は形をとどめていないため、吸い物に近い料理に思える。鯛、鰻、百合根が味にアクセントをつけている。茶碗蒸しのような容器を使うのが「たん熊」系の特徴。蕪蒸しの容器で京料理老舗のどの系統か分かるそうだ。
丸なべ

さてメインの丸なべ。これまで出た料理に満足気なゲストも、一口飲んで陶然とした。色んなところですっぽんを食べたことがあるそうだが、この丸なべを食べると他店の色が褪せる。
すっぽん雑炊

あの丸なべのスープで作る雑炊が不味いわけがない。器が可愛いいだけの料理でないことは言うまでもない。
大将と女将の応対もいつもながら心地良い。アー、いい店だ、満足、満足。「お前が満足してどうするんだ!」って? もちろん、ゲストの嬉しそうな顔を見ることができたのが一番の満足なんですよ。
たん良
東京都港区赤坂3-7-15
03-3586-1914
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2006年10月25日
[兄夫食堂] (赤坂)
今度は典型的な現代の韓国家庭料理を食べに行った。
毎朝、ヤクルトおばさん(お姉ちゃん?)がやって来る。大の韓国びいきの彼女に美味しい韓国料理屋を聞いたら、新橋「梁(ヤン)の家」がいいと言う。2日後の飲み会は4人だったので韓国料理は絶好に思えた。電話を入れたら韓国語で通じない。日本語の分かる店員に代わってホッとしたら、返事は予約で満席。已む無く赤坂の兄夫食堂に行くことにした。
兄夫食堂もテレビで再三紹介されており、いつか行こうと思っていた店だった。それに今日のスポンサーは長兄である。店の名前にマッチしているではないか。
千代田線赤坂駅からすぐに店はあり、ビル一棟が全部兄夫食堂になっている。他のビルにも系列店があり、随分と儲かって拡張していったのだろう。入り口には韓国の有名人が多数訪れたようで、色紙がたくさん貼ってあった。韓流ファンなら大喜びだろうが、我々4人誰一人としてファンではなく色紙の名前を見てもチンプンカンプンだ。
あれこれ選ぶのも面倒くさいので、2,800円のコースを食べて、足りなければ追加することにした。注文は4人前からなのでちょうどいい。
付け出しを食べている間にチジミが出てきた。つなぎの溶き小麦粉が少ないので海鮮自体の味が楽しめる。揚げたようにカリッとしたチジミもいいが、これも悪くない。

厚焼き卵はとにかくでかい。どうやって焼いているのだろうか。チャプチェにもちょっと驚いた。自分の知るチャプチェより随分と汁気が多い。その割に味が濃く、意外といける。

ポサムは蒸した豚バラ肉や他の具を白菜に巻いて食べる。兄が大好きで、これが入っていたので2,800円コース料理を頼むのに納得したのも頷ける。

メインは鍋料理で数種類から選べるが、お店の人の推薦に従ってコップチャン鍋を食べることにした。

韓国もつ鍋と言ったところで、テッポウやハチノスなどの内臓が入っている。
唐辛子やコチジャンの辛さが銀髪にはちょうどいいが、他の3人は「美味い、辛い」を繰り返している。
これだけ食べるとさすがにお腹が一杯になってきて追加オーダーをする気がなくなった。厚焼き卵と鍋が少し残ったぐらいだ。
コースにはアイスクリームが付くが、4人なので4種類頼んで食べ比べをした。追加でかぼちゃのアイスクリームを頼んだが、味見したみんながかぼちゃは入ってないと言う。そんなはずはないと店員に尋ねたところ、明確な答えは返ってこなかった。「かぼちゃに入ったかぼちゃもどきのアイスクリーム」と結論付けた。

兄夫食堂は各階で雰囲気が違う。1階に入るとまるで韓国にいる雰囲気だ。銀髪はソウルに何度も行ったが、韓国庶民が行く店が一番好きだ。アメ横みたいなところで食べた時は楽しかった。
兄夫食堂はそんな思い出をちょっと呼び起こしてくれる店だった。
兄夫食堂
東京都港区赤坂2-13-17 シントミ赤坂第2ビル1F
03-5575-3884
http://www.hyungboo.com/2006/main/
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2006年10月19日
[祢保希](赤坂)
土佐料理を食べた。
日本全国回っているが、高知県に行く機会がない。接待となれば相手の意向が一番だが、ここは我がままを言わせてもらって土佐料理を食べることにした。祢保希の赤坂店はなかなか立派な店構えだ。名前を告げると2階の個室に通された。
掘りごたつ式の個室ではあるが、隣の席との壁は薄い。隣は外人客を接待しているらしいが、聞き覚えのある訛の英語がビンビン聞こえてくる。そう、オーストラリア人だ。陽気なオーストラリア人が一人でしゃべっており、日本人の声は殆ど聞こえない。「グッダイ マイト(Good Day Mate)!」と言って闖入したい気持ちをなんとか抑えた。
仲居さんが皿鉢(さわち)料理や鍋を薦めようとするが、単品を頼むことにした。
外せないのは鰹のたたき。四万十川のうなぎを使ったうざく、ごりの唐揚はすぐに決まった。

戻り鰹は脂が乗って美味い。しかし、テレビの料理番組において、豪快に藁で焼くシーンが目に焼きついているためか、期待を満たしてはくれなかった。ごりの唐揚はいい。これは期待してなかっただけに嬉しい。
珍味三種はさえずり(鯨の舌)、どろめ(かたくち鰯の稚魚)、酒盗(鰹の胃袋の塩辛)。
この中ではどろめが美味い。

コースターが面白いと言ったら、土佐の偉人5種類があるとのことで、もらって帰ってきた。
さて、次はかつおのコロッケ、と言ったところで相手が渋り始めた。これ以上、見慣れないものを食べたくないようだ。もう限界なのかもしれない。

鰹はらんぼ、青さのりの天ぷら、四万十川の川海老、ちゃんばら貝、めしいか、うつぼ、鯨各種部位、まだまだ試食したいものがたくさんあったが我慢した。
かつおのコロッケ、さつま揚げ、天ぷらを頼んだ。コロッケ以外は特別変わったものではない。
祢保希は赤坂だけでなく銀座、丸の内、渋谷、新宿などにもある。新メニューとして長須鯨すき焼きなどもある。すべて調査捕鯨の鯨と断っている。鯨は調査捕鯨以外に混獲で誤って網にかかったものも売られているが、混獲と称して実際は狙って獲っているものも多いらしい。祢保希の鯨は合法的に獲られたものということだろう。
土佐には司牡丹や酔鯨などいい酒もある。やっぱり現地で飲み食いしたいものだ。高知担当の部下の尻を叩かなくっちゃ。
土佐料理 祢保希 赤坂店
〒107-0052 東京都港区赤坂3-11-17
03-3585-9640
http://www.kazuoh.com/
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2006年09月11日
[成屋](赤坂) ジンギスカン
ラム肉は臭くないよ!
赤坂見附駅を出て溜め池方面へ赤坂田町通りを歩いた。この通りには大好きな京料理「たん良」 や、「叙々苑・游玄亭」など馴染みの料理屋があるが、今日はちょっと違うものを食べようと思った。韓国料理屋、イタリアン、どれも気分が乗らない。ふと左手を見るとジンギスカン料理屋の看板が目に入った。ブームと言われるジンギスカンだが、東京の店に行ったことはない。決めだ!
思ったより小さな店だ。6時を過ぎていたが先客はいない。カウンターを見てもジンギスカン鍋は置いていない。クーラーの冷気が来る中央辺りに陣取り、オーダーをした。
店員がカウンターの板を外すと、七輪がきれいに収まる空間が現れた。さすがに札幌と違ってオシャレだ。
お奨めに従って「はじめのセット」を頼んだ。赤生ラム(もも)・白生ラム(肩ロース)・野菜の三点セットだ。

メニューのラム肉はわざわざ「生」を強調している。テレビ番組で羊肉を食べると必ず「意外と臭くないですね」とコメントされる。戦後、肉不足の日本人に大貢献した羊肉は、数十年を経ても未だに不名誉な評判を引きずっている。
確かに昔は粗悪なマトンだったかもしれないが、脂身を削いだラム(子羊)肉が臭いはずがない。
「はじめのセット」を食べ終えて、ラムタンを頼んだ。ラムのタンは初めてだが、牛や豚より食べやすいかもしれない。お値段は1,250円で他の部位800円に比べると高い。

カウンターで食べるので、若い店員と会話しながら食べることが出来て楽しい。北海道出身の若い二人のうち佐藤さんが我々の担当となった。ムスッとした札幌の評判店のおじさん、おばさんよりずっといい。味も東京らしく洗練されている。
佐藤さんのお奨めに従って味付け塩生ラムとピリ辛ハンバーグを食べた。ハンバーグは焼き方が下手だったせいか崩れてしまったのが残念だった。

北海道から毎日空輸している海鮮もあるが、やっぱりここに来たら羊肉だろう。我々の後からカップルが一組入ってきた。ジンギスカンは初めてだと話しているのが聞こえる。
「臭くないわー」などと喜んでいるが、臭くないんですよ!お嬢さん!
でも、マトンの臭いを消すためににんにくを入れた醤油だれに漬けて、換気のいい(本当のところは隙間だらけの)室内で、煙モウモウの中を争って食べた昔が懐かしい。
ジンギスカン鍋の溝をつたい周りに落ちて溜まったタレで、炒めた玉ねぎやもやしも美味かったよなー
成屋 JINYA
東京都港区赤坂3-6-18 ニューロイヤルビル1階
03-3586-0377
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2006年08月09日
[叙々苑・游玄亭](赤坂)
お相手次第で食事風景はガラリと変わる。
Tさんと食事に行くことになった。Kは游玄亭銀座並木通り店に行くと言ってきかない。電話をすると満席。常連だから自分が言えば無理が利くと電話を代わるがやっぱり無理。店長は気を遣い、「叙々苑・游