2010年06月17日

[寿々](溜池山王)

ネタも酒もいいもの使っているね


靴を脱ぎ、畳の上を歩いて一番奥の席におさまった。座敷ではなくカウンター。京都や福岡で似たような造りの店に行ったことがあるが東京では初めて。
適当につまみを「造ってくれる?」と頼むとホタルイカが出てきた。プックラとして味付けもいい。

マコガレイの刺身は漆塗り(?)のカウンターの上に直接置かれた。続いて愛知産の煮あさり。いいものを仕入れている。いい仕事をしている。

ほんわかと湯気が立ち上るシャコ、プリッとした赤貝。脂の乗ったノドクロ、品のいいメジマグロ。名刺を交換して「ご主人ですか?」と聞いたのは社交辞令。入口近くの席の4人を前にしているのが店主。我々の担当は小笠原さんだ。

鯵は鹿児島産で素晴らしい脂の乗り。昆布〆のキス。日本酒もいいものを揃えている。獺祭の純米大吟醸二割三分を奮発したら、精米歩合のサンプルを見せてくれた。店主が酒にこだわっているのが嬉しい。最後まで店主と話が出来なかったのは残念だったけれど…

トリ貝はシャリの上で羽を広げる活きの良さ。終わりにかけて仕事をしている江戸前寿司を握ってもらった。


じきに新子の季節がやってくる。しかし脂が乗ったコハダは今が一番の食べ頃かも。芝エビがたっぷり入った玉子が実に美味しい。

アナゴは煮つめと塩で。店主は銀座久兵衛の出身らしいが、もう随分行っていない。渋谷の秋月も久兵衛の出身で両方の店には通じるものがある。そう言えば秋月でも店主と言葉を交わす機会がなくて残念だった。

最後にほおずきを食べてお開きにした。靴を履いて外に出る。店の人たちはみんな満席の客に忙しそうだった。


寿し処 寿々
東京都港区赤坂2-9-4
03-3586-1010
http://www.geocities.jp/suzu_akasaka/

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2010年05月10日

[伊勢廣ニューオータニ店](赤坂)

焼き鳥を食べるならカウンター


伊勢廣本店は2007年11月27日に紹介した。京橋の本店には何度か行っているが、支店は初めて。ニューオータニには高級店が多数出店しているが、Sさんは気を遣ったのか焼き鳥がいいと言う。意外なことに空いていた。仕事より食い気優先でカウンターを選んだ。

本店で食べた時に量が多過ぎる記憶があったフルコースを頼んだ。大食漢のS氏は苦もなく平らげるはずだ。ささみ、きも類、鶏スープ、すなぎも、玉子、ねぎ巻き、だんご、胡瓜、かわ、もも肉、あいがも、手羽の順番に出て来る。

きも類の串には肝臓・心臓・じん臓の3種類が刺さる。皮にはくびの肉が混ざる。最近流行の焼き鳥屋では別々の串になる部位をうまく食べさせてくれる。フルコースを食べると一羽分になるというのも頷ける。

客が少ないといっても焼き場の料理人は煙に巻かれて忙しそうだ。こちらの方を向かせる台詞を考えた。しばらく観察していると質問が浮かんできた。「随分と近火なんですね」と聞くと、「遠火でゆっくり焼くと身が固くなってしまいますから」と答える。中まで火を通すなら遠火でなければ焦げてしまう。
「生でも食べられる鶏肉を使っているからできる技ですね」と褒めた途端に料理人との距離が縮まったように思えた。それでも焦げないように集中して焼くのは大変だ。

伊勢廣本店では、いつもテーブル席か座敷だった。ニューオータニ店で初めてカウンターに座ったが、そのせいか本店より美味しく感じた。

「本店より美味しいですね」とは言い過ぎだっただろうか。しかし、ニューオータニ店を任されているのは焼き歴20年前後のベテランばかり。本店の味と遜色なくても不思議ではない。

なかなか美味しかった。銀髪もフルコースをペロリと食べ切った。やはり焼き鳥はカウンターである。

伊勢廣ニューオータニ店
東京都千代田区紀尾井町4-1 ホテルニューオータニ東京 アーケード階
03-3221-4101

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2010年05月06日

[うまい鮨勘]③(赤坂)

娘と乾杯!


我が家のゴールデンウイークはこの数年「旅行の代わりに美味しいものを食べに行こう」ということになる。一軒目は近場でコルカッタに行った。2軒目は昨年と同じうまい鮨勘赤坂店である。

店に入って家族全員がカウンターの板前さんたちを見る。「居ないね」落胆の色がありあり。初回、2回目に相手してくれた田村さんが見当たらない。板さんが「田村は辞めました」と言うので「どこに行ったの?」と聞いても「忘れました」とつれない。

パートナー殿はイカ尽くし、長女は貝尽くし、次女は鮭尽くし。田村さんが居なくなっても我が家の連中がやることは以前と同じ。高級店や回転寿司と違い、それぞれが勝手に遊べるのが鮨勘のいいところ。銀髪は鯖、ほっけ、鯵の青魚尽くしで対抗した。

鮨勘にはぶどう海老、馬肉寿司、鮭皮炙りなど我が家のチャレンジャー達が喜ぶような寿司もある。家族が喜べば銀髪も満足である。

いつもは左端がパートナー殿、その右に長女、次女、銀髪の順番でカウンターに座るのだが今回は長女と次女が入れ替わった。長女が「お父さんと日本酒を呑む」と言ったためである。ビールの後に、4度見事な表面張力に拍手した。さらに300ml瓶のにごり酒を飲んだ。息子と ♪酒場で二人飲みたいものだー♪ と歌った河島英五が見たら苦笑するかもしれない。

♪ いいかー 女は生意気ぐらいが丁度いいー いいかー 女は大きな夢を持てー 野風増 野風増 女は夢を持てー ♪ なんちゃってね。


うまい鮨勘 赤坂店
東京都港区赤坂3-13-10
03-3560-6711
http://www.sushikan.co.jp/

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2010年01月11日

[フリッツ](赤坂)

明るいとんかつ屋(?)


美味しいとんかつ屋のイメージが頭にあった。テレビで見たのか、グルメ雑誌で見たのか覚えていない。「赤坂の客先に同行お願いします」と部下に言われてフリッツのことを思い出した。アポは11時なので30分で切り上げれば丁度いい。

法人回りの営業マンをしていた15年ほど前、ランチの店を決めてから訪問先を選んだものだ。顔繋ぎが目的だけで客のところに行くのは気が重い。ランチのついでと考えれば何とか重い腰を上げることができた。ランチの楽しみがあれば客先への足取りも軽くなる。

綺麗な店で驚いた。くたびれた暖簾、すすけた感じのカウンター、カツを揚げる職人肌のオヤジの店と思っていた。己の記憶力のなさ、甚だしい勘違いに少し呆れた。入居しているビルからも容易に想像できたはずだ。「とんかつ屋に行くぞ!」と連れて来られた部下も意外そうな顔をしていた。

店名の前に「洋食 とんかつ」と書いてあるのにメニューの筆頭はハムカツ。次が名物ビーフカツなので何を食べるか迷った。熟考の末、ランチ限定のロースカツを食べることにした。部下はミンチ&メンチを頼んだので味見をすることが出来た。

まず部下のミンチ&メンチを少しずつ、まだきれいな箸で銀髪の皿に取り分けた。次いで銀髪のカツを一切れ部下の皿に移した。ミンチとメンチ、どちらも美味しい。次に何もつけずにトンカツを噛む。フワーッといい香りが口に広がる。銀髪より先に「これは美味いですね」と部下が言った。

入り口に近いテーブルでは4人が肉厚のトンカツを食べていた。店員が豚の産地を言って置いて行ったので一番高いロースカツと特上ヒレカツのようだ。揚げ時間は約20分のはずが入店して10分足らずで食べ始めたので、あらかじめ電話で注文して来たのだろう。
右隣に座った客たちは迷わずビーフカツを頼んだ。3人連れのおばさま達は仲良く日替わりを食べていた。

ハンバーグもコロッケも美味そうだ。ハムカツも食べなければならない。ラーメンもある。再び部下が同行訪問を頼みに来るのはいつになるか。それが問題だ。


フリッツ
東京都千代田区永田町2-13-10 プルデンシャルタワー1F
03-3500-3755

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2009年11月25日

[喜久好](赤坂)

本物を味わう


静かですね」椅子に座るなり声をかけた。「明日は予約で一杯なんですけどね。こんな日もありますよ」と主人。「高級ってのがいけないんじゃないですか?」と表の看板のことを口にすると、「うちはそんなに高くありませんよ」と看板の意味するところを説明してくれた。

精悍で男前の主人を前にすると誰もが緊張するだろう。銀髪の軽口に連れはヒヤヒヤしているようだ。写真撮影を許してもらった後、名刺を渡した。主人も仕事の手を止めて名刺を銀髪にくれた。

ひらめの煮こごりと聞いて驚いた。ふぐなどはよく食べるがひらめは恐らく初体験。続いて出たひらめの刺身の確かな歯応え。感激していると、主人の顔が徐々におだやかになってきた。「髪は染めているのですか?」と聞くと笑って首を振る。70歳にはとても見えない。

それ大好きなんですよ」さよりの皮を串に巻くのを見て嬉しくなる。さよりの身の厚さに感心すると、「かんぬき」だからねと説明してくれた。大きなさよりを閂に例えて呼ぶそうだ。いなだもこんなにしっかりとした身のものは食べたことがない。4時過ぎに起きて、5時半頃には築地の行きつけの中卸で仕入れする。何十年来の習慣があってこそ上物を手にすることが出来る。

鮟鱇?」「ひらめの肝です」「松輪?」「松輪のサバは夏。これはシャコで有名な小柴産」「スミイカも大きくなってきましたね」「そうだね」。丁々発止の会話が続く。連れはもう安心して食べている。「昔はもてたんでしょうね」と持ち上げると、「忙しくてそんな暇はなかった」と修行時代の話。親方に包丁の背で叩かれた指の傷跡を見せてくれた。「今の若い奴は…」彼の技を盗む若手は横に居ない。それにしても職人の手のなんと凄いことか。

同じ魚なのにどうして寿司にするとこんなにも味が変わるんですかね」と言うと、主人は大きく頷く。3日漬けた鮪のづけ、中トロ、すみいか、見て美しく、食べて美味い。しゃりを包むように握るために仕込んだ切り身を見せてくれた。手の平に乗せるとすべてきれいに収まる。「しゃり少な目」と言われれば応じるが、ネタも小さくしなければ美しくない。実に面白い。

海老が凛々しく美しい。キリリとした寿司とは対称的に場はますます和んできた。「あれは握と書いてあるんですか?」と料理を離れて壁の書のことを質問する。将棋の故大山康晴15世名人が40年前の開店祝いに書いてくれたもの。花柳界華やかなりし頃、政財界をはじめ多くの名士たちが喜久好で舌鼓を打ったそうだ。


最後に頼もうと思ったコハダと穴子は言わなくても出てきた。このコハダは堪らない。ひらめの椀物、玉、柿を食べてお開きになった。ふと目を上げると主人が名刺を差し出している。「あれっ?最初に交換したのに」と思ったが、素直に受け取った。先ほどのは単に銀髪に応じたもの。今回は主人の心からのものと勝手に解釈した。

「いやー、いろいろ勉強になりました」と頭を下げると「こちらこそ、お客様から教えてもらうことが多いんですよ」謙虚さも名人の条件と唸らせる。奥様に見送られながら店を出た。
ビール1本、日本酒三千盛2合を含めて2人で2万8千円弱と、主人が言ったようにそんなに高くはない。本物の職人、技に出会えたと思えば安いものかもしれない。

喜久好
東京都港区赤坂3-16-2 栄林会館B1
03-3585-2478

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2009年09月06日

[波留乃屋](赤坂)

不思議な蕎麦屋


ミャンマー料理シュエジンヨウで食べたのは2品だけなので、お腹が泣いていた。〆の代わりにラーメンかそばを食べようと思ったら、目の前に不思議な蕎麦屋があった。一見したところ飲み屋のようなので通り過ぎようとして、シュエジンヨウで缶ビール2本とそば焼酎1杯しか飲んでいないことを思い出した。

ワインを頼んだ。チャージ料200円を取られる代わりに揚げたそばの小さなサラダが出てきた。左隣に座っている3人の若者が食べるそばを見ることができたのは幸運だった。大盛りに見えたが普通盛りのようだ。迷わずスモールサイズを選んだ。

板そばスモール

のりごまそばスモール

そばが隠れるほどの海苔を連れに分けてあげた。連れはつけだれに鼻を寄せた後、箸の先にちょっとつけて味見している。そば通を自認しているだけあって、表情が曇っていくのが面白い。銀髪だって受け容れ難いが、相手の顔を見ると楽しくなってくるから不思議だ。

生卵をボッチャンして、ラー油の浮いたつゆにそばをドンブリコと浸して食べた。それを見て連れも何とか挑戦意欲を掻き立てられたようだ。何と言っても空腹という強い味方が後押ししてくれる。

右隣の2人の若者は飲み放題60分980円の有効活用に必死だ。時間切れを前にして追加注文をした。数分後、1人がまたも追加注文をすると「すいません、1時間過ぎてしまいました。30分500円で延長されますか?」と店員が言う。渋々OKすると「お連れ様はどうしますか」と聞かれ、これも断り切れないでいる。店員が姿を消すと「俺のはまだたくさん入っているんだぜ」「いいじゃないか、頼んじゃったんだから」と不機嫌そうな会話が聞こえてきた。

そばを食べ切るのも辛かったが、隣の会話が聞こえない振りをするのも辛かった。このタイプの店があちこちに出来ているという。いい経験をした。


波留乃屋
東京都港区赤坂2-15-12 パーク赤坂ビル1F
03-5229-0750

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2009年09月05日

[シュエジンヨウ](赤坂)

初めてのミャンマー料理


シュエジンヨウは赤坂の裏通りにあるビルの2階にある小さな店だった。店には男性4人と女性3人の2つのグループが居た。オーナーシェフの女性イーイーオンさん一人が、キッチンとテーブル席を忙しそうに往復していた。

メニューをもらってしばらく経っても注文を取りに来てくれない。注文するタイミングを見計らっていると、ミャンマービールを持ってやって来た。「いいですよね」と言われて素直に応じた。とりあえず、お奨めを2品注文して待った。瞬く間にビールを飲み干し、ミャンマー産のそば焼酎を追加した。

ラベットゥー(お茶の葉のサラダ)

店に入ってから20分ぐらい経っていただろうか、「空芯菜まだですか?」女性グループの一人が唐突にイーイーオンさんに問いかけた。「すいません、こちらに一品出してから作ります」と我々の方を見る。一番のお奨め料理ラベットゥーは美味しかったが、次の料理にありつくまで30分以上はかかりそうだ。

「ミネラルウォーターください」と女性客が言う。「すいません、1本しかなかったので」イーイーオンさんは申し訳なさそうだ。それを聞いて男性客が半分ほど残った大瓶のミネラルウォーターを女性客に譲った。どの客も苛立ちを表に出すことはない。イーイーオンさんが一生懸命なのは百も承知である。銀髪もみんなに倣った。

チェッウーチョー(ミャンマー風たまご焼き)

次の料理が来るまで30分と予想したが、我々の順番は一つ飛ばされてしまった。新たにカップルが入ってきたためだ。今度は我々がカップルに一品運ばれるのを待つことになった。

「ミャンマー人は知的で礼儀正しいので使いやすい」軍事政権誕生後、亡命して日本にやってきた知識人たちだからとか、信仰心の厚い仏教徒だからと飲食業を営む友人が随分前に教えてくれた。イーイーオンさんも、友人が言ったような生真面目で人柄がいい人のようだ。汗だくで動き回る彼女に文句を言える人が居るはずがない。しかし、更に30分以上待って3品目を食べる余裕はなかったので、勘定をしてもらった。他の客も競争相手が減って喜んでくれたに違いない。

たまたま店員が休んでしまった日だったのかもしれない。口コミ情報ではかなり評判のいい店である。イーイーオンさん、頑張ってね。


シュエジンヨウ
東京都港区赤坂2-15-16 ハイツサト赤坂2F
03-3583-9597

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2009年07月12日

[うまい鮨勘]②(赤坂)

回転寿司が物足りなくなった人に


都議選の投票用紙が届いた。宛名が4つもあるので首を傾げた。一瞬考えて気がついた。回転寿司を喜んでいた下の娘も20歳になったのだ。
「誕生祝いはどこでする?」と聞いたら鮨勘がいいと言う。板さんに声をかけるのが嫌だと言っていた娘も、前回行って鮨勘は気に入ったようだ、すねかじりの新成人にとってはちょどいい寿司屋である。

上の娘はもちろん親の助けなどいらない。前回と同じように貝ばかり食べている。今回は担当が違うにもかかわらず、いつの間にか前回の担当に握ってもらっていた。

銀髪はいつものように刺身で酒を飲む。次に鮭の皮目を焼いてもらう。箸を伸ばすのはいつも下の娘。パートナー殿と上の娘は我が道を行く。

パートナー殿がメゴチの天ぷらを頼んでしまった。親切にも1枚分けてくれると言う。天ぷらは天麩羅屋で食べた方がいいと言おうとして口をつぐんだ。口は災いのもと。
ビールだけでなくワインも鮨勘ブランドがある。頼んだ後に甘口であることが分かった。一口飲んで娘たちに渡した。まだ甘い酒が好きな大人だ。

金目鯛でダラダラ飲んでいる間に、女性3人の注文するスピードが落ちてきた。アボガドの巻物を頼んだので、一つもらった。目の前にあった巻物が変わっているので注文した。高菜巻きだと言う。4個ぐらい来るかと思ったら1個だけ。それならそれで有難い。

そろそろ握ってもらう頃だが、既にみんなはお帰りムード。銀髪がダラダラやってお腹一杯の幸せな気分を壊す愚は犯せない。勘定をしてもらった。

今日も鮨勘はみんなを楽しませてくれた。ありがとう!

うまい鮨勘 赤坂店
東京都港区赤坂3-13-10
03-3560-6711

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2009年05月25日

[うまい鮨勘](赤坂)

家族で寿司カウンター


我がパートナー殿がお仲間と行った熱海で気に入った店が鮨勘だと仰る。前に二人で行った新橋店に今度は家族で行こうと提案された。ホームページで調べて、結局赤坂店に予約を入れた。

ながーいカウンターのほぼ中央に座った。最初にオーダーしたのは銀髪。お任せで刺身を作ってもらった。

カラーのメニューは子供にとって分かりやすくて有難い。1個からオーダーが出来ると知って、上の娘が4種類の貝を頼んだ。これを見てパートナー殿がいか尽くし、下の娘が鮭尽くしを頼む。隣に座った下の娘の食べたものだけ写真に撮った。鮭の後はヒラメとカレイのエンガワの味比べと遊んでいる。

上の娘は2回目も貝にこだわる。パートナー殿は海老尽くし。板さんはオーダーが分かりやすいと感謝している。鮨勘は豊富なネタが自慢だ。ぶどう海老など幻の高級海老もある。フカヒレ寿司は笑わせる。馬肉の刺身も面白い。

下の娘が今度はポン酢味の寿司を5種類頼んだ。他にタコの吸盤、鮪ユッケなど遊び心を満たして喜ぶ。

銀髪は再び刺身を注文した。カウンターの中を覗いて今度は自分で魚を選ぶ。鯛の湯引き、トロサーモン、アジにイワシ鯨を加えた。

そろそろみんなが満足したようなので、銀髪は穴子の寿司を頼んだ。半身を煮つめで、残りを塩味にしてくれる気遣いが有難い。

店独自のビールが2本あり、それぞれ個性があってなかなかいい。日本酒の品揃えも悪くない。

勘定をして店を出た。「妙な注文の仕方で変わった家族と思われただろうね」と言うと「寿司屋さんで刺身ばかり食べている方がよっぽど変わっている」と言い返された。

いずれにせよ好き勝手に注文できて、しかもリーズナブルで美味しいと好評だった。担当してくれた板さんがイケ面だったのも彼女らのご機嫌の理由。みんなが喜んでくれれば銀髪も嬉しい。


うまい鮨勘 赤坂店
東京都港区赤坂3丁目13-10 赤坂Bizタワー向い
03-3560-6711
http://www.sushikan.co.jp/

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2009年01月09日

[ちゃんこ屋 六福](赤坂)

カレー鍋はいかが?


羽田空港から車を飛ばして六福に30分遅れで店に入った。「今、始まったところですよ」と幹事役が嬉しそうに手を振った。もともと欠席の予定だったので、ドタキャンの一人分を銀髪が埋めることになった。幹事役が喜ぶのは無理もない。幹事さんは大変だ。

我々のグループが占拠した中央の大きな正方形のテーブルには、食べ散らかされた皿が並んでいた。生ビールがやってきたところで乾杯!最初に来た人は何度目の乾杯だったろうか。グラスがぶつかり合い、笑顔が弾けた。

鳥たたき、揚げゴボウ

まるでカウンターに座っているよで、一つの皿に箸が届くのは3人まで。テーブルが大きすぎるので向かいに座った人と話すには大声を出さなければならない。それでもみんなの顔が見えるのは悪くない。

六福には4種類の鍋がある。人数が多いため4種類全てを頼んで試食したいと思うのは当然である。ところが主に食べたい物を聞くと全員がカレーに手を上げた。カレーちゃんこと塩ちゃんこを交互に置くことでみんな妥協した。トマト鍋と薬膳鍋は葬り去られた。

塩ちゃんこ

黒カレーちゃんこ

幹事の案内ではカレーちゃんこが名物と書いてあったので、銀髪もカレーに手を上げた。しかし、メニューの最初にあるのは塩ちゃんこなのが不思議だった。通常、看板料理が最初に来るからだ。

実際に食してみると、確かに塩ちゃんこの方が美味い。黒カレーちゃんこも悪くないのだが、国民食のカレーには誰しも一過言を持っているから難しい。自分流に味付けした我が家のカレー鍋の方が美味いかもしれない。

おじや

残ったスープにごはんとチーズを入れてリゾット風に仕上がった。単純に白いご飯で食べたがる人も多いだろう。辛さを加える香辛料などがもっとあれば良かった。カレー談義は尽きない。

賑やかで楽しい食事会だった。何よりのご馳走は久し振りに会った昔の仲間たちの明るい笑顔。どんな美味しい料理もかなわない。


ちゃんこ屋 六福 赤坂店
東京都港区赤坂2-14-28 鳳月堂ビルB1
03-3560-1850

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2008年12月24日

[たん良]最終回 

ありがとう、たん良


銀髪グルメ紀行の最終回ではないのでお間違えなく。大好きな赤坂「たん良」は今週末で閉店する。ご主人の体調不良のためだが、残念で仕方がない。見た限りはいたって元気そうで、回復に向かっているのがせめてもの救いだ。

ぐじ(あまだい)の刺身を初めて食べたのが10年前のたん良だった。メジマグロを京都ではヨコワと言うのもたん良で教わった。本格的なグルメ旅はここから始まったのだ。

藤九郎で銀杏にも名産地があることを知った。鮒寿しはここで好きになった。男たちは嫌がるのに、連れて来た女性たちはみんな喜んで食べた。女性のチャレンジ精神、適応力の凄さを知った。

琵琶湖名産のもろこもたん良で初めて食べた。琵琶湖の汚染やブラックバスの影響でいつまで食べられるか分からない貴重な魚だ。

いつも蒸し物、煮物中心に食べていたので、焼き物は避けてきたきらいがある。滋賀産と聞けば食べたのに鴨もうずらも最初で最後とは泣けてくる。

鯛の皮がパリッと煎餅のようになるのは今も不思議だ。これも食べられなくなる。トホホ…

まる鍋や、ああまる鍋や、まる鍋や。あー残念、残念。

最後の最後は葛きり。かぶら蒸しや吉野煮などなど、今回食べ損なった料理は多い。それでも最後の週に来れたのはラッキーだった。大物政治家も芸能人も、予約が取れずに涙をのんでいる。

壁にかかった銀髪の提灯を取り、紙袋に入れた。「元気になって、復帰してくださいね」と言って主人、女将さんと握手を交わす。
店を出ると見送りに出てきたご夫妻が頭を下げる。「おおきにー」の声を背中に聞く。振り向くと再び頭を下げてくれる。すべてがいつもと同じなのに、「また来ます」と言えないのが辛かった。


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2008年12月14日

[室町 砂場 赤坂店](赤坂)

メチャクチャ美味いのかな


口コミ情報の食べログで明治2年創業の室町 砂場本店より赤坂店の方が高い評価なのが気になっていた。赤坂に寄ったついでに念願の赤坂店に行った。

開店時間の11時半に到着。店の前の通りに黒塗りの車がたくさん停まっているが、口コミの言うように開店を待っているわけではなく、向かいの鹿島建設を訪れたようだ。一軒家のような小さな店に入ったら先客は普段着の1組のみだった。

かきあげがつゆに浸かって出てきたところで砂場の天ぷらがどんなものか思い出した。比較したいと言いながら、記憶が薄れてしまってからやって来るとは我ながらいい加減だ。そばの量にはあらためて驚かされた。疲れた胃を休ませるにはちょうどいい。

それにしてもそばの味はよく分からない。香りには敏感なつもりでいるが、そばの香りを嗅ぎ分けることができる人を尊敬してしまう。つゆはもう少し濃い方が好きだ。後味が悪くないのはいい。本店との優劣はおろか、星をいくつつけるべきか判断できない。

酒を頼まなかったことを後悔した。銀髪の後に入ってきた夫婦はビールを、その後に来た枯れた感じのおじさんは日本酒を頼んだ。近隣のサラリーマンよりグルメ本を頼り来たような客が多い。鹿島建設で会議を終えた黒塗りの主と思われる紳士が、数人を引き連れて座敷に上がる。12時過ぎにはほぼ満席になった。

「寿司幸本店」に置いてあるような爪楊枝には感心した。名前だけで高い値段を取っているわけではない。料理の素材はもちろん、随所に名店のこだわりがあるのだろう。

それでもやっぱり星の数は分からない。


室町 砂場 赤坂店
東京都港区赤坂6-3-5
03-3583-7670

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2008年11月19日

[コール・ド・ルージュ](赤坂)

カジュアルな赤坂のマキシム


自他共に認める天邪鬼。話題の赤坂サカスなんか行くもんか、と思っているうちに時が過ぎた。マキシムの銀座本店から赤坂店に異動になった店員に「必ず行くからね」と約束したことは、ずっと気になっていたけれど…

赤坂でふぐでも食べようかと歩いていたらきらびやかな建物が目の前に現れた。「これが赤坂サカスか」と好奇心で目を輝かせているとワインバーから声がかかった。ワイン好きの相手をおだてると、簡単に宗旨替えをした。

ビールで喉の渇きを癒やした後、ワインに取り掛かる。ワインメニューは遊び心があって実に面白い。グラスの足に上の写真のような名刺大の札が掛けられている。もちろん、記念に持ち帰ることが出来る。

生ハムサラダ、バーニャカウダ

カジュアルな店に合わせて気楽な料理を頼んだが、思ったより美味しい。バーニャカウダのソースを余らせてはもったいないので頼んだパンが、滅茶苦茶いけると連れが感激する。

パン、牛肉のカルパッチョ

肉に合わせてちょっと高めの赤ワインを頼んだ。食べながら、飲みながら、話しながら、ワインリストを何度もめくる。オーパスワン、ラトゥール、ムートンなど後ろのページになるほど高級になり、100万円弱のロマネコンティまである。

赤坂でこんな高いワインを飲む客がいるのだろうか。湧き上がった好奇心に突き動かされて一番利発そうな店員をつかまえた。「赤坂にも私が勤めていた銀座の店以上のお客様がいます。恐るべし赤坂ですね」と言う。「銀座のどこに勤めていたの?」「マキシムです」「エッ!?」と名札を見る。何と「必ず行くからね」と約束した落合さんである。いや、落合君と呼ばせてもらおう。実に気持ちのいい若者である。

「入店されたときから分かっていました」と言われたら会わす顔がない。自分から声をかけるのは失礼だと思い遠慮していたとのこと。「カジュアルなユニフォームなので見違えた」と言い訳した。それからの会話の楽しかったこと。2階のレストランも見学させてもらった。

高級ワインがあるのも、パンが美味しいのもマキシムの支店なら不思議ではない。コール・ド・ルージュは銀座のマキシムの水準を求める客には物足りなく、赤坂の若い客には高すぎるかもしれないが、これからどのように折り合いをつけていくか楽しみではある。

何の気なしに入った店に落合君がいた。神様の存在を信じてもいいような気がした。

コール・ド・ルージュ
東京都港区赤坂5-3-1 赤坂Bizタワー マキシム・ド・パリ1F
03-5545-4505
http://www.maxim-s.co.jp

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2008年10月21日

[たん良]⑥(赤坂)

名店の味を記憶に留めたい


料理屋ではたん良が当ブログ最多出場を誇る。過去3年で800軒以上で夕食をとったが、依然として好きな料理屋トップテンに居る。そのたん良から葉書が来た。季節柄「松茸が入りました」「天然ふぐ始めました」などの案内が多いので、たん良なら「まる鍋始めました」かなと思ったら違っていた。

ご主人の体調不良のため12月26日を以って店を閉めると書いてある。驚いたのなんのってすぐに電話をしたら女将さんが出てきた。早速行くことにした。もちろん既にまる鍋は始まっている。

お通し、刺身盛合わせ

たん良は季節ごとに異なる料理以外は殆どメニューに変化はない。従って行く度に違うお通しは楽しめる。もっとも定番の料理が中心といっても、種類が多いので一度に食べきれるわけではない。

鯛の皮、松茸フライ、かぶら蒸し

初めての人には必ずかぶら蒸しを頼んであげる。伝統の料理をいつも客の記憶どおりの味に仕上げる腕にはいつも感心する。ご主人は、薬を飲んでいないので味覚は研ぎ澄まされたままと嬉しそうに笑う。針による治療と休養でゴルフができるまでに体力は回復してきたという。

藤九郎、土瓶蒸し、稲穂

松茸がたっぷり入った土瓶蒸しは、これまで食べたものとは別物と連れが感嘆する。鯛の皮、藤九郎銀杏、揚げた稲穂、初めての人は誰でも喜ぶ素材、技術、遊び心である。

まる鍋、卵

雌のすっぽんだったそうで、卵を食べる幸運に恵まれた。鍋に入れると熱ではじけるので慎重に慌てて食べる。

「ご主人が休養中に丸なべが食べたくなったらどの店に行ったらいいんですか?」と聞いたが答が返ってこない。「治ったらまた店を再開します」の言葉を信じて待つしかなさそうだ。

壁にかかる銀髪の名が書かれた提灯を記念に持って帰ってくださいと言われたが、「年内にまた来ますよ」と断った。閉店まで2ヶ月余もあるというより、たった2ヶ月しかない。いろいろな思い出と共に、名人の味をしっかりと記憶に残していきたいものだ。

赤坂 たん良
東京都港区赤坂3-7-15
03-3586-1914

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2008年06月28日

[木都里亭](溜池山王)

健康保険組合の料理屋


飲み放題付きの食べ放題が何と3,000円。鯛の活き造りや一匹丸ごとの香草焼がデーンと構える。刺身、オードブルなど前菜類が豊富にある。

別のコーナーでは料理人がサービスしてくれる。しゃぶしゃぶ、天ぷら、寄せ鍋、ビーフシチューもある。


安かろう悪かろうではない。素材も味も悪くない。これなら絶対お奨めだと言いたいところだが、誰でも行ける訳ではない。関東ITソフトウェア健康保険組合の被保険者やその扶養者のための保養施設なのだ。

この組合は(社)日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会を設立母体として昭和61年に設立された。大企業を含め福利厚生施設を売却したりする組合が多いのに、さすがに新しい業界は勢いがある。

数十年前になるが、以前勤めていた会社の保養(宿泊)施設を何度か利用した。まだ若かったので、食堂で一緒になるのは年上ばかり。大企業なので面識はないけれど、いつか直属の上司になるかもしれない人を前にして気疲れしたものだ。
もっと嫌だったのは施設の管理人(兼料理人)の横柄さ。彼らも社員なので、若い人に偉そうにしたがる。もちろん素晴らしい管理人が殆どだが、嫌な奴に当たったら悲劇だ。

関東ITソフトウェア健康保険組合には約5,500社が加盟しているというから、大企業の組合と様子が違うようだ。同じ会社の人と鉢合わせすることは滅多にない。羨ましい限りだ。
一般人でも木都里亭を利用する方法はある。被保険者と一緒に行けば1,000円増しで楽しめる。

他にも似たようなところがあるはずだ。探してみよう。持つべきものは友達だ。

木都里亭
東京都港区赤坂2-5-6 山王健保会館
03-5570-1803

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2008年06月12日

[ストックホルム](赤坂)

スウェーデン料理のバイキング


昭和30年代前半、帝国ホテルが食べ放題のことをバイキングと名付けて世に広めた。そのモデルとなったのがスモーガスボード。スウェーデンなど北欧の料理なので、帝国ホテルは日本人が覚えやすい「バイキング」にしてしまった。今ではバイキングよりビュッフェの方が一般的になり、本家本元のスモーガスボードの呼称は脇にやられてしまったままである。

レストランストックホルムは日本で唯一のスモーガスボード専門店とのこと。前々から行きたかった店である。ようやく1700年代より伝わるスウェーデンの伝統料理・スモーガスボードを味わうことができた。

常時60種類以上の料理がある。スウェーデン料理の代表的なものがニシンを使ったもので、上の写真の皿の手前に6種類並べた。基本はマリネ・酢漬けで、これをマスタード、ハーブ、トマト、ホースラディッシュ、バルサミコ酢など色んなソースに漬け込んだものがある。

せっかくだから、お代わりの皿にもニシンを乗せて、スモーク鱈、スモークサーモン、グリーンランド産甘海老ボイルなどたくさん盛った。
2皿目をたいらげながら、テーブルの上に置いてあるスモーガスボードの食べ方・解説書を読んだ。

「スモーガスボードの食べ方には、スウェーデンの伝統的な様式があり、例えばお皿の数が多ければ多いほどマナーが良いとされている、などがあります。たくさんの料理を少しずつ味わっていくことが重要となりますので、一度にたくさんの料理を取らずに、お皿には少しずつ盛りつけていき、テーブルとスモーガスボードを何度も往復しましょう。」

今更分かってももう遅い。「お皿をたくさん汚したら、使う洗剤も多くなり環境汚染につながる。」と負け惜しみを言って自らを慰めた。

温かい料理もなかなかボリュームがある。白いソースをかき回してスパゲティにかけたら、丸ごとのホタテがごろんと転がり落ちた。

最後はチーズ。ノルウェーのゴートチーズ、デンマークのクリームチーズやブルーチーズなどを食べる。もちろんケーキやアイスなど甘いものもある。ここまで来ると腹が重くて動くのが嫌になる。

ホテルのバイキングと比べると、こじんまりした空間で最初は拍子抜けするが、内容はこちらの方が上と思う。海賊よろしく豪快にスウェーデン産のリキュール・アクアビット(生命の水)をあおれば、楽しさは倍増する。


レストラン ストックホルム
東京都千代田区永田町2-14-3 赤坂東急プラザ1F
03-3509-1677
http://www.stockholm.co.jp/

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2007年11月28日

[十和田](紀尾井町)

ホテルニューオータニにあるそば割烹・十和田に行った


十和田の浅草本店は漫画「美味しんぼ」で紹介された名店だそうで、家に帰ってネットでチェックして初めて知った。浅草本店に以前行ったことがあると気付いたのは、さらに地図を見てからというのだから迂闊だった。ホテルに支店があるぐらいだから、浅草本店もかなり立派な店と勘違いしていた。

ニューオータニ店は「樹齢400年の秋田杉の薫り漂う店内」と紹介してあるように、ごつごつした椅子まで立派である。違和感のある重い杉の木の椅子に、5分もすれば慣れてしまうのだから我が臀部も適応力があり立派である。

海外からのお客様と昼飯に入ったので、ちょっと通ぶる。「そば屋では酒を飲まなければならない」と真面目な客を説得し、メニューを開いて驚いた。エビスの小瓶が840円もする。ビールで喉を潤し日本酒に進んだが、どれもビールと同じ驚きを突きつけられた。
ホテル料金の高級そば屋だとこのとき初めて気付いたアホな銀髪。

客を説得した手前引き下がれずに、仕方なく高額な日本酒を頼んだ。お通しのそばみそに怪訝そうな顔をする客を見て、気を取り直して講釈をたれ始めた銀髪。なかなか気に入ったようだ。

野菜の天ぷらを食べながらしばらく飲んでから、そばを食べることにした。

もりそばを勝手に頼む。。「なぜ海苔が乗っていないのか?」と聞いてくれるので、ますます楽しく通の食べ方の講釈をする。素直にうんちくを聞く客に銀髪はご満悦である。

パンフレットを見ると、「十和田のそば粉は、十和田湖周辺のものを仕入れて、ホテル内の製麺室で打ったうち立てのそばを使用する」とのこと。海苔を乗せなかったのが良かったのか、これまで食べたそばの中で一番美味しいと客も上機嫌である。調子に乗って十割そばや、二八そば、更科などの説明を長々としてしまった。

伝票を取って立ち上がり、出口で料金を払った。店員に「ここは十割? 二八?」と聞いたが答えられず、慌てて調理場に走ろうとするので制止して店を出た。

もしかしたら店員はホテルマン? 経営はホテル? 「浅草」の文字は間違いなく銀髪を惹きつけた。ニューオータニにしてやられたのかもしれない。

夜のメニューを見ると神戸牛、比内地鶏、河豚など高級食材が並ぶ。浅草本店は大衆的なそば屋だが、ニューオータニ店は「高級割烹で美味しいそばも出す店」と心得た方が良さそうだ。

浅草 十和田 紀尾井町店
東京都千代田区紀尾井町4-1 ホテルニューオータニ・タワーロビィ階
03-5276-5050

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2007年11月26日

[たん良]⑤(赤坂)

口は災いの元? 福の元?


仕事の話のつもりがいつの間にか食べ物の話になる。いつもお決まりのパターンである。最初は相手の話を聞いているが、「スッポンなんか美味しくない!」なんて言われるともう堪らない。「それじゃあ、今度連れて行ってあげますよ!」と言ったところで相手の策略に嵌まったことを知る。

たん良は変わらない。メニューは夏の鱧、冬のすっぽんなど季節で少し変わるが、基本的にはいつも一緒だ。大将も女将さんも齢を取らない。壁の提灯が少し増えたようで、年に数回しか来ない銀髪の提灯も同じところにある。

お通し

季節を感じさせるお通しだけは毎回違う。

刺身

よこわ(メジマグロ)、ぐじ(アマダイ)、赤貝、鯛、貝柱。刺身の盛合わせでも京料理の伝統を守っている。

フナ寿司

たん良で食べさせると誰もが美味しいと言う。1年物なので臭みが少ないとそうだが、品質の違いもあるのだろう。

吉野煮、蕪蒸し

二つとも葛粉でとろみをつけて似ているが、具の違いを楽しめる。

まる鍋

いつもと変わらぬ澄んだスープ。プリンプリンの癖のないスッポンの身とタップリのコラーゲン。どうだ参ったか!

相手の笑顔を見たら懐の寒さは気にならない。いつものように大将・女将2人の「おおきに、おおきに」の声に見送られて外に出た。まる鍋で温まり、外気の寒さも気にならない。

さて、これからどこに行こうかと思案していたら、なんと相手が次の店は持ってくれると言う。口は災いの元のはずが、転じて福となった。これも美味しいたん良の料理のお陰だろう。

メデタシ、メデタシ

たん良
東京都港区赤坂3-7-15
03-3586-1914


PS
江戸ねぎまさんのコメント、ドンピシャのタイミングでした。たん良ともども銀髪グルメ紀行をよろしくお願いします。

ミシュランより銀髪グルメ紀行を愛してくれる皆様、本当にありがとうございます。これからも食べ歩き頑張ります。ミシェランではなくミシュランでしたね。優しい皆様、重ねてありがとうございます。

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2007年08月22日

[Botanica ボタニカ](東京ミッドタウン)

大好きなウエイターを追っかけて


グルメ紀行を始めてフロアスタッフの重要性に気付いた。教えてくれたのは「SHIZUO TOKYO」の中田さんだった。高名な井上静雄シェフの料理の妙だけでなく、自らの思いも的確に伝えてくれたことにより料理に命が宿り、店は輝きを増した。その中田さんが店を替わると手紙をくれた。しばらくして彼が移った店がオープンした。東京ミッドタウンの予約が取れない店「Botanicaボタニカ」だった。彼と再会するのが至難だと知って失望した。

ミッドタウンのオープンから4ヶ月以上が経過した。相手の都合で8時を回ってしまったため、もしやと思って行ってみるとピークを過ぎた店内は空き始めていた。入り口で中田さんを呼んでもらった。数分後に現れるなり笑顔が満面に広がった。がっちりと握手をする。嬉しい再会だった。

オリーブ、パン

中田さんのサービスで心地よい食事がスタートした。
数種類のオリーブを食べながらビールを飲む。そば粉を交ぜて焼いたパンをオリーブオイルにつけて食べる。塩気はオーストリア産のローズソルトで補う。
テーブルの飾りかと思ったグラスの中のハーブ(タイム、ミント、ローズマリー)をちぎってオリーブオイルにアクセントをつけるように奨められた。店名のボタニカは植物を意味する。ハーブ類は窓の外の菜園でスタッフが育てたものだ。どれもこだわりがある。

キッパーとジャーマンポテトサラダ フライドエッグと共に

自家製の燻製にしん(キッパー)が美味い。もちろん添えてある野菜も。

フォアグラのリゾット トリュフソース

1品を2つに分けてもらうには10%の上乗せ料金を払うのがこの店のシステムだ。SHIZUO TOKYOのような高級店に比べると、ボタニカは意外とカジュアルで席数も多い。10%はサービスの公平感を維持する面白いシステムだ。
濃厚に感じるリゾットの一皿は半分で丁度いい量だった。大変美味しい。

ボタニカ特製のローストビーフ

ボタニカはフレンチの「ひらまつ」のグループ店だが、イギリスのコンラングループとのコラボレーションで生まれた店でもある。そこで自慢料理はローストビーフ。ソースを断り、塩胡椒、ホースラディッシュ、マスタードで食べてみたが、この店のローストビーフはソースをかけて完成品のようだ。ソースをかけた方が美味い。

ハーブティー

お茶を頼んだら数種類の茶葉が入った箱を見せられた。ハーブティーはボタニカのオリジナル品。お茶好きの人は小躍りしそうだ。

食事の間、常に中田さんが目を配ってくれた。ゆっくりサービスできる時間帯だったのが幸いした。それでも彼が忙しいときは星野支配人がカバーする。20年近くコンビを組んで来たと言うだけに、2人は信頼と尊敬で結ばれているようだ。
食後にデザートを頼もうとしたら既に中田さんは料理長に頼んで立派なものを用意してくれていた。フロアと調理場のコミュニケーションも素晴らしい。

食事が終り、ガーデンテラスを案内してもらった。4階とはいえ高台にあるため素晴らしい夜景が広がる。秋風が吹く頃には店内よりも人気になるだろう。

忙しい一日が終りに近づき、安堵と満足感を漂わせるスタッフたちがお見送りしてくれた。「やっぱり中田さんが僕にとってはナンバー1です」と言ったら、「褒めすぎですよ」と星野支配人が笑う。
本当に楽しい夜だった。

ボタニカ
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガーデンテラス4階
03-5413-3282  
http://www.conran-restaurants.jp/botanica/

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2007年07月28日

ローストビーフ 赤坂プリンスホテル

バイキングでローストビーフ


バイキングやパーティーでの主役は昔も今もローストビーフ。牛肉の輸入解禁は1991年だから、それ以前のローストビーフはもちろん和牛。牛肉を食べることは年に数度しかなかった。

すき焼きで肉を奪い合った思い出を持つ人は多いだろう。1978年、就職が内定して会社からご馳走になったのがすき焼き。貧乏学生には美味し過ぎてコロリと懐柔された。入社後は地獄の日々が待っていた。

輸入牛も日本向けの穀物飼育で美味くなり、「わらじのような」という表現もなくなった。もっとも、わらじを食べた人が居たとは思えない。チャップリンは黄金狂時代で靴底を煮て食べたけれど。

赤坂プリンスホテルの昼食バイキングに行った。昼食なので値段が安いが料理の種類も少ない。まずはオードブルなどを数種類食べたが、目玉になるような料理はローストビーフしかない。

ローストビーフ

「オージー・ビーフですか?」と聞いたらちょっと間を置いて頷いた。別に引け目を感じることはない。帝国ホテル、第一ホテル、ホテルニューオータニ、どの一流ホテルもオージービーフを使っている。

1985年からオーストラリアに住んだが、日本からの出張者を必ずローストビーフの店に連れて行った。牛肉に飢えた彼らを喜ばすためだが、量の多さに音を上げるのを笑うためでもあった。銀髪も赴任してすぐに連れて行かれて笑われた。そして教えられたのが、よく焼けた端っこが美味いということだった。

端っこ

塩・胡椒をすり込み、落ちた肉汁を丹念にかけられた外側の肉が一番美味しいところだ。ステーキでは敬遠するウェルダン(well-done)だが、ローストビーフではここが一番いい。オーストラリアでよくしたように、ソースは遠慮してマスタードを持ってきてもらった。ミントのゼリーでもあれば、ホースラディッシュと3種類の味を楽しめ、オーストラリアの思い出に浸れたかもしれない。

和牛のローストビーフの外側(カブリ)を最近では唯一「SHIZUO TOKYO」で食べた。あれは滅茶苦茶美味かったなー。


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2007年06月22日

[千羽鶴](ホテルニューオータニ東京)

料亭の千羽鶴に行った訳ではないけれど…


稚鮎

赤坂のホテルニューオータニで開かれたパーティーに行った。会場を一回りしてこの日一番の目玉が料亭「千羽鶴」の出し物・稚鮎の塩焼きと決め付けた。主催者の挨拶が終わるやいなや、稚鮎に直行してまず一尾を食べた。

それから会場を2周ほど回った。毎年招かれるパーティーだが、年々知った顔がいなくなる。ひととおり知った顔と会話をした後の関心は食事に向かう。

カツサンド

ニューオータニの洋食・カフェ部門からの出張のようだが、目の前でトンカツを揚げ、熱々のカツサンドを供するとは珍しい。滴るソースが服を汚さないようにして一流の味を楽しんだ。

そば

浅草十和田もニューオータニに店を構える。客が寄りつかず可愛そうなので一つもらった。「お店の人?」と聞いたらアルバイトだった。一流の経済人が集まるパーティーで、アルバイトの店員に任せるとは大胆な店である。つゆで蕎麦をほぐすのに苦労した。客が来ないのも頷ける。

テーブルに並んだ料理をいくつか食べて、再び稚鮎の焼き場に向かった。この時期にしか食べられない貴重な稚鮎なのにまったく人気がない。もう一尾食べたところで、板さんに声をかけた。千羽鶴に所属するものの、主にパーティーの担当だそうで、名前は峰岸さん。卵はいらないからと断り、今度は2尾を皿に盛ってもらった。

食べて、喋っている間に誰もやってこない。峰岸さんの嘆くこと、嘆くこと。折角の季節の物を日本人は知らない・食べたがらない。「先日のパーティーで6尾も食べた人がいた」と峰岸さんが言うので、もう2尾を食べた。これでタイ記録だ。峰岸さんが喜ぶのでもう1尾。これで新記録。ようやく客が1人やってきて2皿(1尾ずつ)を持って行った。「骨も食べられますか?」と聞くのでちょっと驚いた。

峰岸さんが新たに焼き始める。オイオイ、そんなに焼いてどうするの?

焼きあがっても誰も来ない。このまま冷めるにまかせるわけにはいかないと、もう2尾食べた。「凄いですねー」の峰岸さんの声に乗せられて更に2尾。全部で11尾を食べてしまった。「この記録は絶対破られませんよ!」と言われて有頂天になったアホな銀髪。

和歌山産の稚鮎は朝まで泳いでいた上物らしい。料亭「千羽鶴」で食べたらいくら取られるのだろうか。

お腹一杯になったので、パーティー会場を出てニューオータニの見事な庭園を散歩した。

数組の恋人たちを追い抜きながら、1人で歩くのはちょっと寂しかった。

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2007年06月21日

[明治記念館ビアテラス 鶺鴒(せきれい)](信濃町)

クーラーの風を逃れて庭園でビールを


最後にデパートの屋上で大ジョッキを飲んだのはいつのことだったろうか。昔は夏になると涼を求めてよく行った。特大の大ジョッキに枝豆、焼き鳥、唐揚げ、フライドポテト、焼きそばなどのしけたつまみでも嬉しかったが、やがてどの店にも空調が完備するようになって廃れていった。多数の大ジョッキを1人で運ぶ名人芸を見ることもなくなった。

「ビアガーデンに行こう!」と連れて行かれたのは明治記念館。結婚式場の印象しかなかったが、和洋中と立派なレストランがたくさんある。ビアテラスは緑の芝生がまぶしくて、想像以上にいい雰囲気である。

ソーセージ盛合せ

ビールならソーセージ。パブロフの犬さながらによく躾けられたのん兵衛だ。レストランの思惑にまんまとはまる。

冷しトマトと白アスパラ

いまだにトマト1個に数百円を支払うのに疑問を持つが、肌にいいリコピンが豊富と聞けば頼んでしまう。男だってエステに通う時代である。
最近流行りの白アスパラには素直に喜んでしまう浅はかさ。昔は缶詰が高級品で憧れだった。

庭園ではショータイムが始まった。2人の芸者さんが芝生の上で日本舞踊を踊りだす。あまりに遠くて美人かどうか判別できないのがいいのか悪いのか。品の良さと話を邪魔しない雅楽が好ましい。

オクラの揚げ物

何がなんでも変わったものを食べなければならないのが銀髪の宿命。オクラは蓮根をすり潰したもので覆われ、海苔を巻いて揚げてある。これは美味い。今度家でやってみよう。

山芋ステーキ

これも家のレシピに加えることが出来そうだ。最近、鉄板焼きなどにする機会が多いので予想どおりの料理だが、味付けは参考になった。

トイレを我慢できる程度のビールでお開きにしてタクシーに乗った。品のいい庭園で飲むには丁度いい量だと思ったが、二次会の目的地に着いたらわれ先にトイレに駆け込んだ。明治記念館のきれいなトイレで済ませればいいのに、まったく酔っ払いはしょうがない。


明治記念館ビアテラス 鶺鴒(せきれい)
東京都港区元赤坂2-2-23
03-3746-7723

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2007年05月30日

[さんだ](赤坂)

内臓肉が好きな人は行くべし


欧米に比べて豊かな海産物に恵まれた日本には動物を食い尽くす知恵が欠けている。もつ鍋などもあるが、焼肉以外で内臓肉を食べる機会は殆どない。従って、さんだの料理も創作料理が多い。新鮮な牛の様々な部位をどのように使うのか、ワクワクして出かけた。

赤坂見附の駅から一ツ木通りを少し歩くと右側に黒い塀が見えた。お目当てのさんだはすぐに見つかった。6時前なので一番乗り、カウンターの中の板さんを独占した。板さんはなんとミャンマー人のTunさんで、日本滞在5年、日本語も流暢に操る好青年だった。

アキレス腱、ハツモト、つくね

アキレス腱はふぐの皮のようだ。ハツモトは大動脈のことで、コリコリとした食感がいい。喉の軟骨入りのタンのつくねはかつおと昆布のスープで煮込んである。

ハチノス、レバー、子袋

ハマグリの器は女性自身と子袋の子宝盛り。以前は男性自身と3点盛りにしていたそうだが、男性に評判が悪くて2点盛りになってしまったとか。Tunさんではなく女将が楽しそうに解説してくれた。

刺身三種ハラミ、ハツ、レバー

新鮮な肉は美しい。素材に対するこだわりはよく分かる。

牛すじ、ほほ肉、みの

ヤーン(2~3胃袋の継ぎ目)、すい臓、鍋

タン、ギアラ、シビレ

鍋でタンのしゃぶしゃぶなどを作ってくれた後に、ラーメンを食べる。デザートは胡麻のアイスクリーム。

あれこれ味を説明するのは難しい。興味のある人は行くべし。6,500円のコースのみなので、注文に悩むことはない。Tunさんの人柄にも惹かれた。独身の彼に合う人はいないかな?


さんだ
東京都港区赤坂3-19-3
03-5570-1129

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2007年03月20日

[ラビーノ](赤坂)

比較的気楽なイタリア料理店


ラビーノはリストランテだという。イタリアに行ったことがないので偉そうなことは言えないが、オーストラリアではリストランテはかなり高級でマナーにうるさい店と思っていた。ネクタイ、ジャケットの着用が義務付けられており、料理にスパゲッティなどのパスタ類はわずかしかなかった。

リストランテは日本で言えば料亭に当たると思っているので、どうもラビーノがリストランテと言われてもピンと来ない。気軽でリーズナブルな料亭なんてあまり聞いた事がない。

もっともランチに行ったので店の本当の評価はできない。真価は夜に見せると怒られるかもしれない。

サラダ、パスタ

魚料理、肉料理

2,000円のランチコースは魚か肉かどちらかを選ぶことになっている。立派なパンも出てきたのでかなりお腹は一杯になる。1,500円の飲み放題をつけて意地汚くビールをたらふく飲んだので腹は満杯になった。

それでもスパゲッティを食べたいをと言う輩がいて、コース外で注文することにした。リストランテだろうが何だろうが、とにかくイタリア料理屋でスパゲッティを食べないと気がすまないのだ。こんなところにも、日本でリストランテがスパゲッティをメニューから外せない理由がある。郷に入れば郷に従えだ。

ちなみにイタリア料理店にはリストランテ、トラットリア、ピッツェリア、オステリアなどの種類がある。トラットリアとは食堂、気軽に入れる店でフランス料理屋ならビストロに相当する。オステリアとは居酒屋や大衆食堂を意味する。ピッツェリアはピザやスパゲティの専門店で日本で言えばお好み焼き屋や町の中華料理屋さんのイメージだ。料亭にラーメン・餃子がなくて怒る人はいない。以上が教科書的説明。

結局、スパゲッティはサービスにしてくれて追加料金は取られなかった。こんなところにも、ラビーノは格式張ったところがなくて好感が持てた。

デザート

最後にデザートを食べてお開きに。リストランテと言おうが言うまいが日本で気にする人はそんなにいない。要は美味しく楽しく食べられればそれでいい。
日本人で料亭に行ったことがない人が多いように、イタリア人でもお国でリストランテに行ける人は少数だろう。日本でリーズナブルにリストランテに行けて感激するかもしれない。


リストランテ ラビーノ
東京都港区赤坂4-2-3 ディアシティー赤坂一ツ木館2F
03-3582-6111

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2007年03月19日

[たん良]④(赤坂)

今シーズンのスッポンもそろそろ終わり、春の献立も楽しい


先日京都の「たんたか」に行ったのにスッポンの丸なべを食べ損なった。もうじきスッポンもシーズンが終わるので、たん良に行くことにした。
店に入りカウンターに座るや否やたんたかの名を出した。大将、女将さんと共に大いに盛り上がった。待ち合わせのお客様が来るまでビールを頼むのすら忘れていた。

お通し、お造り

お造りはかつお、たい、ぐじ(甘鯛)。かつおは8キロもある大型のもの。銀髪にとっては初がつおだ。「たんたかでヨコワガツオというのが出たけれど、メジマグロだと思った」と言ったら大将は「そのとおりです」と言う。たんたかでは言下に否定されたが、京都人はメジマグロの名称に馴染みがないらしく、銀髪の言ったのが正しかったのだ。我が舌を自画自賛。

鯛の皮、もろこ

鯛の皮焼きはいつもながらピンと張って美しい。くるまらずにせんべいのように焼けるのが本当に不思議だ。
もろこは子持ち。腹にはパンパンに卵が詰まっていた。

みぞれ蒸し、蛤

吉野煮に良く似ているが、蛤、あさり、聖護院蕪などが入り、吉野葛でとろみをつけることはない。立派な蛤で実に美味い。この他に定番の蕪蒸しや鮒寿司を食べて、最期はお目当てのスッポンの丸なべ。

まる鍋

「いつまでやるんですか?」と聞いたら、「4月一杯まで出来ると思います」との返事。スッポンの終了日を決めるのは服部さんとのこと。どこの服部さんかというと浜松の服部中村養鼈(べつ)場のことで静岡県浜松市舞阪町で103年の養鼈の歴史を誇る。化学飼料、化学物質は一切使用せず、3年4年と冬眠を重ねてじっくり育てるそうだ。
ここが各料亭などへの供給時期や供給量を決める。年中供給されるのは京都のスッポン専門店「大市」だけ。この店は元禄年間に創業以来330年、スッポンのみを扱っている老舗中の老舗。京都百味會http://www.digistyle-kyoto.com/hyakumikai/hyakumikai.htmにも名を連ねている。

多分、今冬最後のまる鍋を楽しんで、京都の料理屋の情報も仕入れた。相変わらずの楽しい会話と確かな料理。いつ来ても満足するたん良であった。


たん良
東京都港区赤坂3-7-15
03-3586-1914


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2006年11月28日

[たん良]③ (赤坂)

冬のたん良がやってきた。

はもが美味しい夏のたん良、土瓶蒸が嬉しい秋のたん良もいいが、やはりたん良は冬がいい。11月になるとすっぽんの丸なべが食べられるようになる。大事な相手との食事なら、たん良に行けば必ず満足してもらえる。

付け出し(栗、白和え、にし)

栗の渋皮を思わず剥きそうななるが、これはそのまま食べる料理。甘い栗はどちらかと言えば苦手な食べ物だが、これなら問題ない。

鯛の兜焼き、お造り

焼くのに時間がかかる兜焼きは、予約のときに頼んでおいた。出自がちゃんとしている上等な鯛なら味は保証つきだ。目と口のゼラチン質が堪らなく美味いが、今日は譲って我慢した。
お造りはかつお、たい、ぐじ、赤貝。魚に合わせて醤油、ポン酢などの小皿が出される。今まで気にしていなかった付け合せも、相手が食通だと違った展開になる。山椒の花は高価なものらしく、残さず食べるべきものと知った。飾りと思ってこれまで食べなかった超ミニの胡瓜をかじってみると、しっかり胡瓜の味がして驚いた。

ぎんなん(岐阜の藤九郎)

箸休めに何気なく頼んだぎんなんも、「トークローです」と言われて出されたら興味が湧いてくる。岐阜産のぎんなんは粒が揃っていて光沢がある。収穫量が少ない高級品である。焼き鳥屋で串に刺されて出てくるものとは物が違う。

吉野煮、蕪蒸し

芳野煮とは吉野葛でとろみをつけた料理だが、紅葉の京都を連想させる美しい一品である。
蕪蒸しは銀髪一押しの料理だが、蕪は形をとどめていないため、吸い物に近い料理に思える。鯛、鰻、百合根が味にアクセントをつけている。茶碗蒸しのような容器を使うのが「たん熊」系の特徴。蕪蒸しの容器で京料理老舗のどの系統か分かるそうだ。

丸なべ

さてメインの丸なべ。これまで出た料理に満足気なゲストも、一口飲んで陶然とした。色んなところですっぽんを食べたことがあるそうだが、この丸なべを食べると他店の色が褪せる。

すっぽん雑炊

あの丸なべのスープで作る雑炊が不味いわけがない。器が可愛いいだけの料理でないことは言うまでもない。

大将と女将の応対もいつもながら心地良い。アー、いい店だ、満足、満足。「お前が満足してどうするんだ!」って? もちろん、ゲストの嬉しそうな顔を見ることができたのが一番の満足なんですよ。


たん良
東京都港区赤坂3-7-15
03-3586-1914

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2006年10月25日

[兄夫食堂] (赤坂)

今度は典型的な現代の韓国家庭料理を食べに行った。

毎朝、ヤクルトおばさん(お姉ちゃん?)がやって来る。大の韓国びいきの彼女に美味しい韓国料理屋を聞いたら、新橋「梁(ヤン)の家」がいいと言う。2日後の飲み会は4人だったので韓国料理は絶好に思えた。電話を入れたら韓国語で通じない。日本語の分かる店員に代わってホッとしたら、返事は予約で満席。已む無く赤坂の兄夫食堂に行くことにした。
兄夫食堂もテレビで再三紹介されており、いつか行こうと思っていた店だった。それに今日のスポンサーは長兄である。店の名前にマッチしているではないか。

千代田線赤坂駅からすぐに店はあり、ビル一棟が全部兄夫食堂になっている。他のビルにも系列店があり、随分と儲かって拡張していったのだろう。入り口には韓国の有名人が多数訪れたようで、色紙がたくさん貼ってあった。韓流ファンなら大喜びだろうが、我々4人誰一人としてファンではなく色紙の名前を見てもチンプンカンプンだ。

あれこれ選ぶのも面倒くさいので、2,800円のコースを食べて、足りなければ追加することにした。注文は4人前からなのでちょうどいい。

付け出しを食べている間にチジミが出てきた。つなぎの溶き小麦粉が少ないので海鮮自体の味が楽しめる。揚げたようにカリッとしたチジミもいいが、これも悪くない。

厚焼き卵はとにかくでかい。どうやって焼いているのだろうか。チャプチェにもちょっと驚いた。自分の知るチャプチェより随分と汁気が多い。その割に味が濃く、意外といける。

ポサムは蒸した豚バラ肉や他の具を白菜に巻いて食べる。兄が大好きで、これが入っていたので2,800円コース料理を頼むのに納得したのも頷ける。

メインは鍋料理で数種類から選べるが、お店の人の推薦に従ってコップチャン鍋を食べることにした。

韓国もつ鍋と言ったところで、テッポウやハチノスなどの内臓が入っている。
唐辛子やコチジャンの辛さが銀髪にはちょうどいいが、他の3人は「美味い、辛い」を繰り返している。
これだけ食べるとさすがにお腹が一杯になってきて追加オーダーをする気がなくなった。厚焼き卵と鍋が少し残ったぐらいだ。

コースにはアイスクリームが付くが、4人なので4種類頼んで食べ比べをした。追加でかぼちゃのアイスクリームを頼んだが、味見したみんながかぼちゃは入ってないと言う。そんなはずはないと店員に尋ねたところ、明確な答えは返ってこなかった。「かぼちゃに入ったかぼちゃもどきのアイスクリーム」と結論付けた。

兄夫食堂は各階で雰囲気が違う。1階に入るとまるで韓国にいる雰囲気だ。銀髪はソウルに何度も行ったが、韓国庶民が行く店が一番好きだ。アメ横みたいなところで食べた時は楽しかった。

兄夫食堂はそんな思い出をちょっと呼び起こしてくれる店だった。


兄夫食堂
東京都港区赤坂2-13-17 シントミ赤坂第2ビル1F
03-5575-3884
http://www.hyungboo.com/2006/main/

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2006年10月19日

[祢保希](赤坂)

土佐料理を食べた。

日本全国回っているが、高知県に行く機会がない。接待となれば相手の意向が一番だが、ここは我がままを言わせてもらって土佐料理を食べることにした。祢保希の赤坂店はなかなか立派な店構えだ。名前を告げると2階の個室に通された。

掘りごたつ式の個室ではあるが、隣の席との壁は薄い。隣は外人客を接待しているらしいが、聞き覚えのある訛の英語がビンビン聞こえてくる。そう、オーストラリア人だ。陽気なオーストラリア人が一人でしゃべっており、日本人の声は殆ど聞こえない。「グッダイ マイト(Good Day Mate)!」と言って闖入したい気持ちをなんとか抑えた。

仲居さんが皿鉢(さわち)料理や鍋を薦めようとするが、単品を頼むことにした。

外せないのは鰹のたたき。四万十川のうなぎを使ったうざく、ごりの唐揚はすぐに決まった。

戻り鰹は脂が乗って美味い。しかし、テレビの料理番組において、豪快に藁で焼くシーンが目に焼きついているためか、期待を満たしてはくれなかった。ごりの唐揚はいい。これは期待してなかっただけに嬉しい。

珍味三種はさえずり(鯨の舌)、どろめ(かたくち鰯の稚魚)、酒盗(鰹の胃袋の塩辛)。
この中ではどろめが美味い。

コースターが面白いと言ったら、土佐の偉人5種類があるとのことで、もらって帰ってきた。

さて、次はかつおのコロッケ、と言ったところで相手が渋り始めた。これ以上、見慣れないものを食べたくないようだ。もう限界なのかもしれない。

鰹はらんぼ、青さのりの天ぷら、四万十川の川海老、ちゃんばら貝、めしいか、うつぼ、鯨各種部位、まだまだ試食したいものがたくさんあったが我慢した。
かつおのコロッケ、さつま揚げ、天ぷらを頼んだ。コロッケ以外は特別変わったものではない。

祢保希は赤坂だけでなく銀座、丸の内、渋谷、新宿などにもある。新メニューとして長須鯨すき焼きなどもある。すべて調査捕鯨の鯨と断っている。鯨は調査捕鯨以外に混獲で誤って網にかかったものも売られているが、混獲と称して実際は狙って獲っているものも多いらしい。祢保希の鯨は合法的に獲られたものということだろう。

土佐には司牡丹や酔鯨などいい酒もある。やっぱり現地で飲み食いしたいものだ。高知担当の部下の尻を叩かなくっちゃ。

土佐料理 祢保希 赤坂店
〒107-0052 東京都港区赤坂3-11-17
03-3585-9640
http://www.kazuoh.com/

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2006年09月11日

[成屋](赤坂) ジンギスカン

ラム肉は臭くないよ!

赤坂見附駅を出て溜め池方面へ赤坂田町通りを歩いた。この通りには大好きな京料理「たん良」 や、「叙々苑・游玄亭」など馴染みの料理屋があるが、今日はちょっと違うものを食べようと思った。韓国料理屋、イタリアン、どれも気分が乗らない。ふと左手を見るとジンギスカン料理屋の看板が目に入った。ブームと言われるジンギスカンだが、東京の店に行ったことはない。決めだ!

思ったより小さな店だ。6時を過ぎていたが先客はいない。カウンターを見てもジンギスカン鍋は置いていない。クーラーの冷気が来る中央辺りに陣取り、オーダーをした。
店員がカウンターの板を外すと、七輪がきれいに収まる空間が現れた。さすがに札幌と違ってオシャレだ。

お奨めに従って「はじめのセット」を頼んだ。赤生ラム(もも)・白生ラム(肩ロース)・野菜の三点セットだ。

メニューのラム肉はわざわざ「生」を強調している。テレビ番組で羊肉を食べると必ず「意外と臭くないですね」とコメントされる。戦後、肉不足の日本人に大貢献した羊肉は、数十年を経ても未だに不名誉な評判を引きずっている。
確かに昔は粗悪なマトンだったかもしれないが、脂身を削いだラム(子羊)肉が臭いはずがない。

「はじめのセット」を食べ終えて、ラムタンを頼んだ。ラムのタンは初めてだが、牛や豚より食べやすいかもしれない。お値段は1,250円で他の部位800円に比べると高い。

カウンターで食べるので、若い店員と会話しながら食べることが出来て楽しい。北海道出身の若い二人のうち佐藤さんが我々の担当となった。ムスッとした札幌の評判店のおじさん、おばさんよりずっといい。味も東京らしく洗練されている。

佐藤さんのお奨めに従って味付け塩生ラムとピリ辛ハンバーグを食べた。ハンバーグは焼き方が下手だったせいか崩れてしまったのが残念だった。

北海道から毎日空輸している海鮮もあるが、やっぱりここに来たら羊肉だろう。我々の後からカップルが一組入ってきた。ジンギスカンは初めてだと話しているのが聞こえる。
「臭くないわー」などと喜んでいるが、臭くないんですよ!お嬢さん!

でも、マトンの臭いを消すためににんにくを入れた醤油だれに漬けて、換気のいい(本当のところは隙間だらけの)室内で、煙モウモウの中を争って食べた昔が懐かしい。
ジンギスカン鍋の溝をつたい周りに落ちて溜まったタレで、炒めた玉ねぎやもやしも美味かったよなー


成屋 JINYA
東京都港区赤坂3-6-18 ニューロイヤルビル1階
03-3586-0377

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2006年08月09日

[叙々苑・游玄亭](赤坂)

お相手次第で食事風景はガラリと変わる。

Tさんと食事に行くことになった。Kは游玄亭銀座並木通り店に行くと言ってきかない。電話をすると満席。常連だから自分が言えば無理が利くと電話を代わるがやっぱり無理。店長は気を遣い、「叙々苑・游玄亭」有楽町店に電話をしてくれた。そこもダメだったらしくお節介なことに赤坂を予約したと言ってきた。そこまで面倒をかけたら断れない。

最初から焼肉は嫌だったので予約が取れないことを願っていたが、遠く赤坂まで行って焼肉を食べることになってしまった。不愉快極まりない。Kは退社が遅れると言うので一足先に出たが、店に着いた頃にKから電話。他の約束が入り、行けなくなったとのこと。ますます怒り心頭である。

赤坂游玄亭は並木通り店や有楽町店より雰囲気があり好きな店だ。階段を下り、日本料理屋を思わせる個室を両側に見て、飛び石の通路を歩く。落ち着いた佇まいで、奥の部屋に入ったときには頭に上った血も引いてきた。

冷静になるとK抜きの焼肉もいいかもしれないと思った。いつもはKがオーダーを仕切って余計なものまで頼むため、最後の方では料理を嫌々腹に詰め込むことになる。しかし、今日は自分たちの好きなものを頼むことが出来る。Kが居たらやたらと急かせてゆっくり食べることができないが、今日は自分たちのペースで食事が出来る。

サラダとキムチを頼むのはいつもと変わらない。

中国産ではあるが、シーズン入りの前、早々に松茸を焼いて食べた。

肉は3人で少量多品種を食べることにして1人前ずつ頼んだ。特上のタン、ロース、ハラミ、レバーなどなど、美味しかったものは追加する。Tさんの好きな上ミノは游玄亭ならではのサクッと噛み切れる絶品物。もちろんこれも追加した。

上ミノ

Kが居たら大皿の肉をすべて一度に網にぶちまけるが、今日は一枚ずつ焼く。食べては焼いて、焼いては食べる。焼けるのが遅いミノも時間差を置いて一人2個まで網に乗せる。游玄亭でこんな食べ方初めてだ。

静かな雰囲気だが話は弾み、酒もすすんだ。Kが居たらとっくにお開きになっている時間だが、Tさんはまたもお酒を追加した。

游玄亭がこんなに落ち着いて食事が出来るところとは思わなかった。美味い食事、旨い酒、そしていいお相手。銀髪のプロフィール欄に書いていることを今更ながら思い出した。Kが居ると楽しいが、居なければまったく違う楽しみ方もある。面白いもんだ。

並木通り店長のお節介が素晴らしい気遣いに思えて、感謝して店を出た。


游玄亭赤坂
東京都港区赤坂3-11-3 赤坂中川ビル
03-3582-8989

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2006年07月13日

[ジュンバタン メラ](赤坂)  インドネシア料理

暑い日々にうんざりしたら、暑い国の料理を食べよう!

赤坂は面白い街だ。狭いエリアに種々雑多な料理屋がひしめき合う。一番多いのが韓国料理屋だが、他にも面白い店は多い。赤坂見附駅を出て田町通りを少し歩き、坂を上り一ツ木通りに入ってすぐ左のビルの地下にジュンバタンメラはある。

階段を降りると除々に異国情緒が漂ってくる。店は意外と広く、右手にはステージがある。日によって生演奏があるようだ。インドネシアの音楽といえばバリ島のケチャが有名で、是非行きたいと思っていたが未だ実現していない。最近ではテロが頻発して物騒なので、観光客も減っているだろう。

メニューを開くと懐かしさが込み上げてくる。インドネシアには行ったことがないが、サテなどの代表的な料理はシンガポールでも食べられる。屋台ではこのインドネシア風焼き鳥がメインとなっている。シンガポールへは何度も行っているので、懐かしいという訳だ。

酒はまずビール。インドネシアのビール「ビールビンタン」を飲んだ。暑い日に向いているビールだ。ビールの後は椰子の酒「アラック」にした。甘いのかと思ったら、結構強いスピリッツ系の酒だ。焼酎を飲んでいるような気になる。

ビールビンタン、アラック

サテは一皿2本でいずれも500円。まず4種類の串を頼んだ。シンガポールのサテはもっとピーナッツソースが効いていたように思うが、この店のサテはサッパリ系だ。

サテアヤム(鶏)、サテサピ(牛)

サテタンブリナス(鶏、辛い)、サテカンビン(羊)

鶏の辛い串焼きは本当に辛くて口の中がヒリヒリした。ビールを飲んでいる間に冷え切ってしまった体から、再び汗がドッと噴出してきた。

シンガポールを懐かしんでばかりもいられない。インドネシアの代表的な焼きそばを頼んだ。

バミゴレン(焼きそば)

そして、忘れてならないものはインドネシアの伝統食品テンペだ。テンペとは大豆の煮豆を発酵させたもので、食感はしっかりしている。肉の代用品として使われることも多いが、大豆だけに健康食品である。

これを焼き鳥風にした串焼きと、カレーのような煮込み料理を2品頼んだ。ココナツの入った煮込み料理はタイのレッドカレーに似て辛くて美味い。白いごはんに良く合った。

サテテンペ、サンパル ゴレン テンペ

アー、バリ島に遊びに行きたいなー


東京都港区赤坂3-20-8
03-3588-0794
http://www.jbm-gr.com/jbm/index.html#

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2006年06月26日

[たん良](赤坂)②   夏のたん良

冬のたん良は以前紹介した。→「たん良」  今回は夏のたん良だ。

銀髪のもっとも好きな日本料理屋がたん良である。冬のすっぽん「丸なべ」は特に美味い。丸なべは寒くなるまでお休みとなり、夏の主役は何てったってはもである。

お通しはゆば揚げ、ずいき(はすいも)の白和え、蛸わさび



お造りははもを入れた盛り合わせ。注文するとご主人が目の前で骨切りをする。シャリッ、シャリッと骨を切る音が心地良い。はもは肉厚で花が開いたように美しい。
これを梅肉で食すと、主役を張るに充分な美味しさの鯛やかつおを脇役に押しやってしまう。

はもは日本のかなり広い範囲で獲れ、韓国産も出回っているが、たん良で使うはもは瀬戸内産の800~900グラムの大きさのもの。他のはもは皮が固くて美味しくないという。

この時期、はもと並んで食べなければならないのが鮎。鮎を頼んで焼きあがる間に八幡巻きを食べた。京都八幡市のごんぼう(ごぼう)を浜名湖産のうなぎで巻いたもの。ふくよかな味のごぼうと、うなぎがうまくマッチしている。うなぎの焦げたところが香ばしい。

八幡巻きを食べ終わる頃に鮎が出てきた。和歌山県紀ノ川産の鮎はいい型なので、一人前2匹は多いかな、頭から食べるのは辛いかな、と思ったが苦もなく食べることができた。
身はふっくらとして、はらわたも嫌な苦味がない。これを食べると、なだ万の鮎も分が悪い。Yにとっては塩焼きならさんまが1番、鮎が2番だそうだが、この鮎を食べた後も順番は変わらなかっただろうか。

さて、ボチボチ銀髪のうんちくタイム。はもは湯引きだけだと思っているYに、はもには色んな料理があることを説明した。たん良のご主人も、女将も同調してくれた。京都に行ったらはもの専門店に行くように奨められた。色んな料理を楽しむことが出来るそうだ。
たん良のメニューにはも焼きがあったので、これを頼んだ。ふたたびシャリッ、シャリッと骨切りの音がする。

銀髪にとっても初めての料理。蒲焼風だがうなぎとはまったく違う。天ぷらで食べたことがあるが、焼いてもはもは美味しいことが確認できた。Yもはじめてのはも焼きを気に入ったようだ。

「先日、来られたときは満席で満足な応対ができなくて申し訳ありませんでした」と店に入るなり謝られたが、鮎を食べる頃には今日も満席になって大忙し。「銀髪さんが来られるときはいつも一杯で、申し訳ありません」とまた謝られてしまった。

こちらにとっては忙しくても充分なサービスを受けていると感じる。店を出ると、ご主人が外まで見送りに出て、我々に深々と頭を下げてくれた。少し歩いて振り向くと、再び頭を下げる。

これだけの料理を出してくれる超一流の腕前に、超一流の応対。まったくこちらが頭が下がる思いだ。

夏が終わると松茸、土瓶蒸が主役になる。次はいつ来ようか。


たん良
東京都港区赤坂3-7-15
03-3586-1914

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2006年06月22日

[なだ万]   有名店で会食

仕事の話をするので静かなところを選んだつもりだったけど‥

なだ万のホテルニューオータニ店に行った。美しい庭園が見下ろせる奥の席に通されたが、その近くの席に10人を超える団体さんがいた。最初は静かだったが、我々がビールを飲みだす頃には何人かが立ち上がって「カンペイ(乾杯)!」を始めた。中国人のグループだ。我々は景色を放棄して、別の席に移動した。

バブルが始まった約20年前、シドニーに居たとき度々このような光景を目にした。団体客は中国人でなく日本人だった。母がシドニーに来たとき、高級中華料理店「インペリアル北京」に連れて行った。「最近、日本人観光客が多くて恥ずかしいんだよ」と話していたところに団体客がなだれ込んできた。銀髪の同胞に対する不満を、外国かぶれと苦々しく聞いていた母は、団体客の振る舞いに目を丸くしていたが、やがて銀髪の言を理解した。

バブルがはじけてからの失われた10年間は、香港人・台湾人・韓国人に取って代わられた。白人にはアジア人の区別がつかない。しばらくは、団体客はすべて日本人と間違われたが、今でも同じだろうか。

席を移ってからは静かな食事になった。なだ万の会席は品があって美しい。どれも期待通りのレベルだが、逆にそれがつまらなくなってしまうから不思議だ。
出てきた料理を順番に見てもらおう。

胡麻豆腐を始め、どれもいいお味です。汁物がとくに良かった。

しんじょとじゅん菜の吸い物がいい。まぐろはちょっと?かな。

鮎は養殖だが季節感がある。こんなに塩を振るんだよなー。ウニもなかなかでした。

安心して商談が出来るお食事でした。

外国人にとって、この繊細な日本料理は美しく、感動的なものであろう。件の中国人団体客は長居をすることなく、ガヤガヤと大声で談笑しながら我々の席の側を通り帰って行った。

料理に満足しただろうか。会席料理、日本庭園、日本らしさを満喫したのか、食べた気がしなくて失望したのか、聞いてみたかったが中国語はできないので止めにした。


なだ万
http://www.nadaman.co.jp

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2006年05月26日

[叙々苑・游玄亭](有楽町) 今日はメチャ高い

自腹で行こうとは思わないが、ついて来いと言われれば断る理由はない。

若い女性タレントが憧れる焼肉屋が叙々苑・游玄亭らしい。テレビで「游玄亭に連れてってくださーい♡」などと言っているのを何度か見たことがある。昭和51年六本木に開店してから30周年を迎えた叙々苑だが、数ある叙々苑の中で最高クラスが游玄亭である。

游玄亭は新宿、赤坂、西麻布、有楽町マリオン、銀座並木通りの5店舗がある。銀座並木通り店が一番高く、特選○○焼が一皿7,500円もするので、銀髪が頻繁に行ける店ではない。
値段の違いなど分からないままに有楽町マリオン店に行ったら、ここの特選○○焼は5,500円で、肉の質は銀座並木通りと同じとのこと。店が新しくて部屋の造りも違うため見栄を張っての接待なら銀座で、そうでなければ他の4店がお値打ちと説明を受けたが、5,500円では特をした気分にはなれない。

特選ロース薄切り焼き、壺漬カルビ

何はともあれ今日はスポンサーがいるのだから遠慮なく食うべし。スポンサーに任せるととんでもない量をオーダーするため制御するのが大変だが、今日はお客様の意向を配慮して頼んでいるので一安心。それでも、彼の近くには座らない。余った焼肉をてんこ盛りされる惧れがある。

特製タン塩焼

最高級品を頼むか、ちょっと下のランクを頼むか思案のしどころだ。最高級品は脂が多いためしつこ過ぎて量が食べられない。程よいクラスの肉であれば量が進む。結局年寄りにとってはどちらを選んでも料金は同じになる。

ユッケとレバー刺し

游玄亭でのお奨めは生肉である。特にレバーが美味い。レバーが嫌いな人も、游玄亭のものならきっと好きになる。もっとも、好きになるためには一口でも食べなくては始まらない。見た目や、食感を嫌いな理由にされたら、どんなに味が良くても好きにはなれない。もったいない話だ。

ミノ焼、チヂミ

次にお奨めはミノ焼きだ。普通の店でミノを食べると、固くて顎が痛くなる。大きなものを頬張ったら吐き出すのは気が引けるし、飲み込むこともままならない。ところが游玄亭のミノはサクッと噛み切れる感じがする。

一度は来たい游玄亭だが、銀髪が好きなのは牛タン、レバー、ミノと内臓ばかり。カルビやロースは最高級品でない方がいい。

控えめに頼んだつもりが、やっぱり余ってしまった。あと30分もあれば、食べ尽くせると思うのだが、スポンサー氏は勘定を始めてしまった。

お客様も、銀髪も従順に席を立った。泣く子と、スポンサーには勝てない。

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2006年05月08日

[伊兵衛](赤坂)  創業萬治二年、加賀料理

萬治二年と言われても何のことやらさっぱりわからない。要はかなりの伝統ある料理屋さんらしい。

1659年に創業したのは加賀藩中荷物御用「浅田屋伊兵衛」で、旅人宿「浅田」の創業が1867年。いずれにしても料理屋ではない。赤坂浅田の開業は昭和46年2月だから、料理屋の歴史は35年ということになる。萬治二年を持ち出すまでもなく、バブルもバブルの崩壊も経験しての34年は誇れるものである。

ビルが老朽化したので順次改修してようやく最近全館完了したそうで、地下1階から6階まで多数の座敷を有する立派な料亭である。赤坂田町通りは数え切れないほど歩いたが、行く機会がなければ気付かないものだと我ながら呆れた。素材を金沢から直送するという浅田屋の「加賀会席」は12,600円が最低で、上は29,400円。季節限定のもっと高い料理もあるようで、行く機会がなかったのも頷ける。

今日はHさんのご招待で、同じビルの1階にある系列店「伊兵衛」に行った。気軽に利用できるカウンター席とテーブル席があり、お値段も「浅田屋」に比べるとグッと親しみやすい。Hさんのお勧めもあり5,775円のお好み「金沢」を頼むことにした。先付け、お造りの後に近江町市場直送素材を使った料理20品から4品を選ぶことができる。

銀髪の4品(鮎の唐揚・地鶏の冶部煮・山菜天ぷら・車麩卵とじ)

我ながらいい4品を選んだと思う。先日の金沢出張が生かされた。冶部煮は金沢の代表的な料理だし、金沢の野菜は評判が高く名物とも言える。車麩はたっぷり吸ったスープを卵でとじて美味。

Hさんの4品。(黒むつの味噌塩焼き・大羽鰯の塩焼き・蛤の天ぷら・新もずくと白魚)

Hさんの鰯の大羽とは産地ではなくて大きい鰯を指すらしく、それも美味しそうだった。

Hさんはコースとは別に近江牛のステーキとあわびのバター焼をオーダーした。久しぶりのあわびは最高の味。

最後に手打ち蕎麦を食べた。2種類のそばつゆがあり、銀髪は珍しい白つゆで食べた。薄味かと思ったが結構しっかりした味だ。昼間はこのそばが人気メニューらしい。常連のHさんはこの店の何を食べたらいいかよく知っている。

いつものようにデザートをちょっとずつ味見して帰ろうかと思ったら、板さんの三浦さんが大根のかつら剥きをしているのに目が止まった。包丁さばきが見事なのは当然だが、持っている包丁が美しい。はがねだけで打ったという包丁は1本8万円とのことで、刺身包丁と同様に研ぎ澄まされて本当に美しい。
ひとしきり包丁やその研ぎ方を教わって帰ろうとすると、三浦さんは「ちょっと待っていてください」と奥の部屋に消えた。戻ってきた手にあるのは紙やすり。「これでこすれば素人でも簡単に包丁が研げますよ」とプレゼントしてくれた。

昼は三浦さんが蕎麦を打っているのが見られるそうだ。やはり、いい店のカウンターはいい職人と話ができて最高に楽しいね。


赤坂 浅田・伊兵衛
東京都港区赤坂3-6-4
03-3585-6606
http://www.asadayaihei.co.jp

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2006年04月11日

[ボンファム](赤坂)   しっかりしたフランス料理

銀座線溜池山王駅より約3分。路地を歩くと風に揺られているフランス国旗が見える。

子供地球基金の鳥居さんをこだわりインタビュー出演のお礼を兼ねてディナーにお招きした。フランス滞在経験6年のKがアレンジした店がボンファムだった。ソースの中野と呼ばれているというシェフはKの住むマンションのお仲間。

開店してから24年というから東京のフランス料理屋としては老舗の部類に入るのだろう。落ち着きのある洒落た雰囲気の女性好みの店内。店主の南さんがサービスをしてくれた。南さんは若いときフィンランド、ハンガリー、フランスなどを渡り歩いて語学も堪能。開店当初は日本人よりフランス人の客の方が多かったとのことで、本格的なフランス料理を出す店と期待は高まった。

料理が出る前にKが白と赤のワインを一本ずつ頼んだ。赤はデキャンタに移され、白を飲んでいる間に飲み頃になる。Kも店側も作法どおり立派なもんだ。

下の写真が4人の前菜。グルメ紀行の取材に協力してくれたのか、いつものことなのかは分からないが全員が違うものを頼んだ。

鳥居さんはメニューには載っていない今日のお勧めの白アスパラガスを頼んだ(4月末頃まで)。
左上からエスカルゴのラタトゥイユ仕立て(3,000円)、スッポンのポトフー仕立て(3,400円)
白アスパラガスの茹でたてレモン風味のムースリーヌ(?円)、フォアグラの温製(3,500円)


メインも4人が別々のものを頼んだ。8種類を全部つまみたいところだが、向かいの席までフォークを伸ばすと行儀悪い奴だと思われそうなので、両脇の人のだけ味見をさせてもらった。従って6品の味を確かめたことになる。

左上から仔羊のロースト ディジョン風(3,800円)、スズキの厚切りローストに黒米の赤ワインソース(3,600円)
和牛タルタルステーキと小さなサラダ(3,800円)、フランス産青首鴨のロースト サンチュベールソース(4,500円)


前菜とメインのお値段はわずかしか変わらない。ボリュームも同じようなものだ。前菜はシェフの遊び心や旬の素材を使った日替わり品を配す店が多いが、ボンファムでは老舗のスタイルを貫いているように見える。これらをKは「しっかりした料理」と評したが、その台詞に南さんも満足気に微笑んだ。

銀髪はフランスには1回行っただけで、そのときも本格的なフランス料理は食べ損ねた。本場のレストランがどんなものか知らないため評価のしようがないが、フランス通のKとお客様はとても喜んでいたので、こんな感じの料理が多いのだろうか。

3人が立派なデザートを食べている間、銀髪はカルバトス(りんごを原料としたブランデー)を飲んだ。

鳥居さん、秘書の永田さんとの会話は楽しかった。長居しすぎたせいか、Kの友人のシェフは出かけてしまって顔を合わせる機会がなくて残念だった。


ビストロ 「ボンファム」
東京都港区赤坂1-3-13
03-3582-0200
http://www.bonnefemme.net

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2006年04月01日

[TANTE](赤坂)   アイラ・ウイスキー

最近ウイスキーを飲む人が増えてきた。高級クラブでもブランデーよりウイスキーの方が粋に見えるそうだが…

約20年前、オーストラリア・カンタス航空のビジネスクラスに初めて乗ったときのこと。もちろん会社の経費で。 「ウイスキー・オン・ザ・ロック(Whisky on the rock)、プリーズ」と頼んだ。スチュワードは「スコッチ、ウィズ、アイス?(Scotch with Ice ?)」と聞き返した。なるほどそういう風に言うのかと感心すると同時に、スコッチなら高級輸入ウイスキーだと喜んだ。

スチュワードが持ってきたグラスを見て驚いた。氷は2~3個しか入っておらず、大きなグラス一杯にスコッチ・ウイスキーが入っていた。こんな濃い酒は飲めないと思っていたのに、すぐにお代わりをしていた。

メインの食事が終わったらチーズが乗ったワゴンがやって来た。「ブランデー、プリーズ」と言おうか、飲み過ぎだからやり過ごそうかと悩んでいたら、スチュワードと目が合った。「コニャック?」と聞かれ、思わず「イエース!」と言っていた。なるほどいいブランデーはコニャックと言うんだと感心しながら飲んで、またまたお代わりした。飛行機がシドニーに着いた時には飲みすぎで頭がガンガンしていた。

言うまでもなく、ウイスキーやブランデーは酒の種類の名前。その中でスコットランドウイスキーがスコッチ、フランスのコニャック地方のブランデーがコニャックと言う。最近ではスコッチも更に分類されるようになってきた。

スコッチの代表的なものはジョニ黒などのイランド・ウイスキーである。ハイランドがあるならロウランドもあるが、ロウランド・ウイスキーを置いているバーはスコッチ・ウイスキーにこだわりがある店と言える。グレンフィディックに代表されるスペーサイドもあるが、これを言うとかなりスコッチ通のように見える。
そして最近酒飲みたちに人気なのがアイラである。スコットランドの西に位置する島がアイラで、ここで造られたものがアイラ・ウイスキーである。

アイラを教えてくれたのは、新宿パークハイアットのバーテンダーだった。ピークバーの酒は端から端まで殆ど飲んだが、ある日「いいのが入ってきました。口に含むとわずかに塩の味がしますよ」と勧められた。暗示にかかったのか確かに塩の味がするような気がする。ヨード臭のある極めて個性的な味のインパクトは強烈だった。それから、銀髪はアイラの伝道者と化した。

赤坂見附のバーに行った。黒ビールを飲んで、アイリッシュ・ウイスキーを飲んだところで帰ろうとしたが、運悪くアイラの話になった。バーテンダーの斉藤さんの目が光った。アイラの品揃えには自信がありますと言う。カリーラ(Caolila)が出てきた。ボウモア、ラフロイグ、ラガブーリン、アードベッグと飲んできたが、アイラは他にカリーラ、ブルイックラディ、ブナハーベンがある。年代ものはハイランド・スコッチより高い。

斉藤さん自慢のレア物アイラをいくつも勧められて飲んだ。キリがないので何とか振り切って勘定にしてもらった。哀れ我が財布。支払いが済んで財布の中には、寒々とした空間が広がっていた。


TANTE
東京都港区赤坂3-20-2  藍花ビル2F
03-5570-2244

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2006年03月02日

[モティ](赤坂)  ほうれん草のカレー

やっぱりカレーは辛いほうがいいと思ってインド料理屋に行くことにした。インド人がやっている店ならほうれん草のカレーを食べたい。

オーストラリアに居たときはしばしばランチでインド料理屋に行った。他の店では缶ビール1本を飲むが、カレーの時は2~3本飲んだ。大好きなほうれん草カレーは羊肉がゴロゴロ入っていて、食後は腹一杯になって動きたくなくなる。会社に戻っても仕事にならない。「良かったなー、あの頃は」とインド料理屋に来る度に思い出す。

本格的なインド料理屋にはビーフカレーはない筈だと議論した。ヒンズー教では牛は神聖な生き物。これを食べるはずがないのにたまに置いてある店もあった。仏教徒のスリランカ人か回教徒のパキスタン人に違いないと勝手に納得していた。一番喜ぶのは日本人。

モティは店員全員がインド人のようだ。メニューに牛肉料理はない。まずパパダンを頼む。塩と胡椒が効いた薄焼きせんべいのようなものだがビールに良く合う。メニューにはPapod(パーボード)とあるがインドではこう呼ぶようで、パパダンはスリランカでの呼称らしい。銀髪はこれさえあればあとはカレーだけでもいいが、客は不満だろうから別のものもオーダーする。

客に合わせてタンドーリを頼んだ。タンドーリは円筒状の土釜のこと。代表的なタンドーリ・チキン、それとタンドーリ・プラウン(海老)、フィッシュ・ティカ、シークカバーブなどが入ったバーベキューセットを頼んだ。

シークカバーブは羊のひき肉を焼いたソーセージのようなものだが、トルコ料理のシシカバブと起源は一緒だろう。串のことをシン、焼肉のことをカバブと言うらしい。大きな肉の塊にして回転(ドネル)させて焼くのがドネルケバブで、そぎ切って小麦粉を焼いたものにくるんだものをオーストラリアでよく食べた。これに似たスブラキはギリシャ料理。
インド、トルコ、ギリシャ、アラブ諸国。チンギス・ハンが広めたのか、他の遊牧民がシルクロードに乗せて広めたのか、似たような食べ物があちらこちらにある。

最後にお目当てのほうれん草カレー=サグマトン。もちろん羊肉マトンが入っている。辛くしてくれと頼んだのでちょっと赤いが、普通はほうれん草の緑色が濃いカレーだ。オーストラリアではカシミアンカレーと呼んでいた。カシミアとはインド北西部にある高級羊毛の産地。

モティはインド北部の家庭料理をウリにしているようなので、サグマトン(カシミアンカレー)があって当然。インド料理屋でも南と北ではかなり違うようだが、日本人には区別がつかない。麹町のアジャンタは南インド料理でスープ系のカレーが多い。

インドビール2本とワイン1本飲んで8,000円弱。カレーを食べるとお腹一杯になるので安上がりでいい。ナンも美味しいが、これも結構な量である。

インド料理屋はあちこちにあるが、昼時にはバイキング形式で人気の店も多い。スパイスが効いているため、あたりははずれが少ないのもいい。食べ過ぎてしまうのがちょっとつらい。


インドレストラン モティ
東京都港区赤坂3-8-8 赤坂フローラルプラザ2F
03-3584-3760

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2006年02月20日

[グレイス](赤坂) 蔘鶏湯(サムゲタン)

赤坂のAさんの会社をRさんと一緒に訪ねた。ミーティングを終えて行くのはもちろん韓国料理。ここは赤坂だ。

なぜ赤坂には韓国料理屋が多いのだろう。焼肉中心の店だけでなく、家庭料理や宮廷料理もある。AさんとRさんは共に辛いのは苦手である。韓国料理と聞いてちょっと不安気な表情をする。ご心配なく。韓国料理でも辛くない料理はある。今日は蔘鶏湯だ。

初めて食べたのは7年ほど前、やはり赤坂だった。韓国の土鍋に音が聞こえるかのごとくグツグツと煮立った蔘鶏湯が出てきた。中には鶏が丸ごと入っていた。鶏は中ににんにくやなつめ、そして朝鮮人参米などが詰められて長時間煮込まれる。一種の薬膳鍋だ。

これにはまった。赤坂で、人形町で、新宿でと韓国料理屋に入ってメニューを受け取るとまず蔘鶏湯の文字を探した。韓国に行ったときも高級店で、或いは市場の食堂で食べた。

鶏は長時間煮込んでいるため、スプーンや箸で簡単にほぐれる。店によっては骨も食べられるほどだ。ちょっとした韓国料理屋ならどこでも置いてあるが、AさんもRさんも食べたことがないとのことだったので、ハズレがないように気を遣う。

事前にネットで調べてきた店はグレイス。蔘鶏湯が看板料理と謳っているのでここにした。
本店は麻布十番にある。「昔は韓国の王様しか食べられなかった王朝料理、それが“蔘鶏湯”です。
今でも、医食同源の思想が受け継がれているお隣韓国の食卓では、“補薬”とも呼ばれ、体に良い栄養食として大変親しまれている料理なのです。」とのこと。

グレイスお勧めの料理をいろいろ聞いたが、結局一人前4,000円のコースにした。韓国風冷奴、ナムル、韓国風魚刺身、チャンジャ、チジミ、明太子サラダ、蒸し豚のスライス、みの焼、最後に石焼ビビンパ、生姜茶、アイスクリームがつく。これを韓国のどぶろく「マッコリ」を飲みながら食べる。


さて目玉の蔘鶏湯。写真を撮る前に店員にほぐされてしまったが、ちょっと小ぶりの若鶏が丸ごと入っている。今まで食べた中では品がある味に仕上がっていた。韓国の市場で食べた野卑な蔘鶏湯も好きだが、グレイスの蔘鶏湯は誰でも受け容れることができそうだ。

スープは毎日半日かかって仕込む。鳥は2時間以上煮る。他の韓国料理のメニューも豊富だが、蔘鶏湯を看板にする以上は鶏の選択が難しい。鳥インフルエンザを克服していい蔘鶏湯を作り続けた欲しい。

さて、どこの蔘鶏湯を選ぶか。強烈なインパクトを望むか、品の良さを望むか。いずれにしても焼肉とキムチだけが韓国料理ではない。


蔘鶏湯料理「グレイス」赤坂店
東京都港区赤坂3-13-6 国際天野ビル2F
03-3224-0775

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2006年01月11日

[近江湖東](赤坂)  近江牛肉料理

各地に和牛の銘柄牛がある。松坂、神戸、米沢、飛騨、佐賀などなど。松坂などと並んで最高級とされるのが近江牛だ。

店名は滋賀県の和牛産地そのまま「近江湖東」。近江牛についてあれこれ言うのはよそう。オーナー、シェフ、みんなが自慢の肉だ。銀髪がウンチクを言う必要はあるまい。

鉄板カウンター席の楽しみはシェフのナイフさばきを見ることだ。ステーキよりもあわびや伊勢海老をあざやかに料理する様がいい。ハンサムでやさしい顔のシェフは女性の客にも人気があるに違いない。

ステーキの後にはガーリック・ライス。和牛は脂が美味しいので鉄板焼きの後はガーリック・ライスが欠かせない。

最後に立派な鮒寿司をご馳走になった。

鮒寿司の産地はもちろん滋賀県。京料理の店ならともかく、和牛を食べさせる店で鮒寿司を置いてある店は珍しいが、近江湖東であれば当然か。
鮒寿司は匂いがきついことで有名な食べ物だが、何度も食べているうちにすっかり好きになった。一匹もらうとさすがにこたえるが、薄切りにして数枚であれば絶好の酒の肴になる。

ぐるなびを見てもメニューに鮒寿司はない。鮒寿司を目当てに行く店ではないだろうが、目がないと言う人はシェフに聞いてみたらいい。森伊蔵、伊佐美、佐藤などといった有名焼酎も置いてあるので、きっといい酒盛りができるだろう。
銀髪はやっぱり熱燗で鮒寿司が一番合うと思うけれど‥

近江湖東
東京都港区赤坂4-2-8 赤坂金春ビル2階
03-3505-9988
(ぐるなび) http://r.gnavi.co.jp/a407600/

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2005年11月15日

[たん良](赤坂) 日本一の丸なべ(すっぽん) 

2000年の銀髪レストラン・オブ・ザ・イヤーが たん良 だった。今も変わらないお気に入りだ。

赤坂見附駅から田町通りを数分歩くと左側にたん良がある。ドアの取っ手の辺りに「予約制」の文字が見える。2000年の冬、この文字に多少ひるみながらも足を踏み入れた。

京料理の店。初夏の鱧、秋の松茸、冬のすっぽん。季節の刺身、煮物、焼き物。湯葉、豆腐。お吸い物、ご飯もの、漬物。メニューにある料理すべてが美味しい。
鯛の皮をピンとカリッと焼いたものなど、メニューにない料理も美味しい。

今日は食通のAさん、Mさんをご招待した。何度かご馳走になったお返しだが、お二人に連れて行ってもらう店はいつも素敵だ。なんとか対抗しないといけない。そこでたん良。

付き出しの後に刺身。鯛、帆立、赤貝、鰹、平目。どれも美しい。

鯛の兜煮、湯葉の煮物、蕪蒸しを食べて、鮒寿しを挟む。

鮒寿しと聞いただけで尻込みする人は多いが、伊豆諸島のクサヤ、中華の腐豆腐、ブルーチーズ、韓国のエイなど腐臭と旨みが絶妙のバランスを持つ食品は多い。人種を越えて同種の味が愛されているのは面白い。

たん良が初めての人には必ず鮒寿しを勧める。いろいろ食べたがこの店の鮒寿しは食べやすい。鮒を漬けて発酵した米も美味い。Aさんは気に入ってくれたようだ。

グラグラ煮立った丸なべ

最後に本日のメインの丸なべ。
25年程前、浜名湖に会社の保養施設があり、そこに泊まる度にすっぽんを食べた。鰻とすっぽんを食べて、麻雀をやり、翌日ゴルフをやるパターン。もちろん鰻、すっぽんは浜名湖産。
それ以来あちこちですっぽんを食べた。主に鍋料理として。嫌いではないが、思い出の料理として食べていた気持ちが強い。

ところがたん良の丸なべを食べて衝撃を受けた。水より酒を多めに煮込んだすっぽん。スープは透き通っている。すっぽん鍋を泥臭いと思っている人も多いが、このスープは上品だ。すっぽんのゼラチン質、身がいい。スープを吸い込んだ葱がいい。餅もいい。

素焼きで冷めない鍋がいい。店主と女将さんが最高。気持ちがいい。

Aさん、Mさん、満足してくれただろうか。

常連客の名を書いた提灯が壁を飾る。銀髪の名も左に。

たん良
東京都港区赤坂3-7-15
03-3586-1914

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