2006年03月22日

デバガメ現る?!(後編)

私たちの部屋の前に立つ黒装束の男。
薄笑いを浮かべながら、こっちへ来いと手招きしている。
のぞき……痴漢……変質者……
いずれにしても関わりたくない人であることに変わりはない。

しかしそういうわけにはいかなかった。

深夜1時過ぎ、外の気温-7℃、2月の一番寒い時期だった。
友人たちの部屋をノックし、今度は私たちのところに来たデバガメ。
私は恐怖でどうしたらよいか分らなかったが

「もしナイフとか持ってたら危ないしさ、絶対出ちゃダメだよっ!」

と外に出そうになる彼を必死で止めた。
しかし、すでにY子たちはパジャマ姿で出ている。
なぜかY子は右手にドライバーを持っていた。
部屋で素振りでもしていたのだろうか?
先に言っておくが、こちらの男性2人はやたら喧嘩が強い(現在進行形)。


「あのデバガメも気の毒になぁ・・・俺らんとこ来たのはマズかったよねぇ。」

あーあ、やっぱり行っちゃった。2対1だけど大丈夫だろうか?
代わりにY子が私の部屋に入ってきた。
私とY子はすぐフロントに電話して助けを呼ぼうと思ったが誰も出なかった。

「ったくこんな大事な時に!」

その後何度かけても無反応だった。こんな夜中にホント最悪……

パジャマ姿で出ていた2人は、あまりの寒さにとりあえず男を部屋に入れた。
細身だが背はかなり高い。しかも酔っ払っている。やっぱり怖い。
とにかくその場に正座させたが、その男の口から出た言葉が

「オレが何したって言うんだよぉ~勘弁して下さいよぉ~。」

その言葉を聞いて2人がキレたのは言うまでもない。
オリャ~ッ!ドスッ…ドスッ…(さて何の音でしょう?)
Y子はどさくさに紛れて後から飛び蹴りしていた。

「だからオレは何もしてないって、何にも悪くないよぉ~。」

まだ言うかっ!ドスッ、ドスッ、ドスッ(昔の話なので勘弁して下さい)。
ホテルの従業員もいないしこの男、どうしようか。
プールに投げ込みたいほど頭に来ていたが
そんなことしたら確実に心臓麻痺であの世行き決定!
しかしこのまま朝まで部屋にいられるのは困るし・・・

いろいろ考えた末、私たちは110番通報して警察を呼んだ。
とりあえず警察が来るまでの間、フロントで待ってようということになったが
男は歩こうとしなかったので、2人がかりでズルズル引きずって行った。

何分待っただろうか。
音はしなかったが赤灯を回したパトカーが敷地内に入ってきた。
私たちは男を連れて外に出た。

「大丈夫ですか?どうしました?」

お巡りさんに聞かれてこれまでのことを話した(殴ったことは報告してませんが)。

「お巡りさ~ん、僕たち本当に怖かったんです!
夜中に突然部屋をノックされて・・・背はデカイし、全身黒ずくめで気味が悪いし。
凶器でも持ってたらと思うと恐ろしくて恐ろしくて。早く連れてって下さい!」

とY子の彼。私は噴き出しそうになるのをグッとこらえた。


あれ?さっきまでそこにいた男がいない!
うそ…マジで!?まさか逃げたわけじゃあるまいし。
次の瞬間、私たち4人は唖然とした。

私たちがお巡りさんと話をしている間に
殴られ、蹴られ、ボコボコにされかけた男は身の危険を感じ
自らパトカーのドアを開けて乗り込んでいたのだ!!

それを見た彼氏たちはムカついたらしく

「テ~メ~ッ!ふざけたマネしてんじゃね~よっ!!」

さすがはお巡りさん、すぐに状況がつかめたらしく苦笑い。
よ~く見ると男の顔は腫れ上がっていた・・・

「まぁまぁ、とにかく連行しますので。みなさんご苦労さまでした。」

「(全員で)よろしくお願いします!」

ホッとした私たちはすぐに部屋に戻り
翌日(正確には6時間後)のラウンドに備えてすぐに寝た。


朝、チェックアウトの際に昨夜の出来事を報告しようとしたら

「昨夜は大変申し訳ございませんでした。」

と先にフロントの女性が言った。
朝早くに警察から連絡があり、ホテル側も事情を知ったらしい。
私たちは、夜中に従業員が誰もいないというホテル側の体制を厳しく非難した。
その女性は何度も頭を下げ謝った。

クラブハウスのロッカーに荷物を入れてレストランへ朝食を食べに行った。
しばらくするとテーブルに支配人が来た。

「昨夜は大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ございませんでした。
周りのお客様からもお2人が警察に突き出してくれたので
安心して眠ることができましたと聞いております。」

なんとあのデバガメ、端の部屋から順番にノックしていたのだ。
で、最後に私たちの部屋で御用となったわけ。
中には若い女性だけの部屋や老夫婦の部屋もあった。
周りから拍手が湧き起こり、彼氏たちはたちまちヒーローとなった。

さらに驚いたのは、あのデバガメも宿泊客の1人で連れが3人いたこと!!
ってことは・・・あの騒ぎの中、連れの3人は知らん顔してたのだ。
それを聞いてまた腹が立った。

「ちょっと支配人!まさかラウンドさせるわけじゃないだろうね。
そんなの許されないよ。あんなヤツらがいるようなゴルフ場じゃ怖くて
みんなラウンドなんかできないよっ!」

「全員お帰りいただきましたのでご安心下さい。」

と支配人。またまた周りから拍手喝采。
あんなに気分が良かったことはなかった。


食事中、彼氏たちが

「もしかしたら少し安くしてくれるかなぁ…次回の無料券とかくれちゃったりして。
だったら嬉しいよね。あんなにたくさんの人たちを助けたんだからさぁ。」

と勝手に想像して喜んでいると、またまた支配人がテーブルにやって来た。
みんな期待に胸が膨らんだ♪♪

「本当にありがとうございました。
これはほんの感謝の気持ちです、どうぞ召し上がって下さい。」

とガラスの器を置いた。
早速朝食で食べ物のサービス!気が利いてるよね。
さぞかし美味しいものを・・・と器の中を見た。何度も見た。目を疑った。

オニオンスライス1人前だった

別にオニオンスライスが悪いわけじゃない。美味しいと思う。
でも朝から食べられるもんじゃないよねぇ。
ちょっと寂しかったが、折角いただいたんだからと4人で仲良く1人前を食べた。


無事1Rして帰り際に清算したが、やはりオニオンスライス以外何もなかった・・・
ちょっと期待しすぎかな?でももうちょっと何かあっても良さそうだけど。
まぁ結構デバガメのこと殴っちゃったし
バレバレだったけどお巡りさんには大目に見てもらったから良しとするか!

私はあの事件を“デバガメ事件” ではなく“オニスラ事件”と呼んでいる。

2006年03月22日 12:30